人生に寄り添う、あなただけのアートを。Jane・江口氏が描く表現と経営のかたち
合同会社Jane Art Works Jane・江口(ジェーン)氏
アートを単なる装飾としてではなく、その人の人生に寄り添い、背中を押す存在として届ける。Jane氏は「オーダーメイドアート」と代表作の「ラブフラワー®︎」アートを軸に事業を展開しています。作品づくりへの純粋な思いと、経営者としての葛藤。その両方を抱えながら前へ進むJane氏に、事業の特徴や理念、今後の展望について伺いました。
目次
人生の物語を、一枚の作品に込める
——現在の事業内容について教えてください。
オーダーメイドアートと、「ラブフラワー®︎」アートを中心に展開しています。
「オーダーメイドアート」では、あなたの本質や理想の未来、言葉にならない感情まで丁寧にくみ取り作品として可視化します。
自分の軸を思い出したいとき、大きな決断の前に、人生の節目の記念として……。「あなただけの物語を、1枚の作品に」を掲げています。
多くの方に「人生のパートナー」として選ばれています。その方の本質や、将来こうありたいと願う姿、見えている未来のビジョンを可視化する作品を制作しています。
もう一つの「ラブフラワー®︎」は、見た人に小さな幸せを届けることをテーマにした作品。見る人の心をふっと軽くするアートです。
忙しい日々の中で、ほんの少し肩の力が抜ける瞬間を、日常にやわらかな余白を届けます。
——理念として大切にしていることは何ですか。
理念として大切にしているのは、アートを通して、その人が本来の自分に戻るきっかけをつくることです。現代は忙しさの中で、自分の気持ちを置き去りにしてしまう方も多いと思います。
そうした中で、アートを通して心が軽くなったり、自分と向き合える時間を届けたいという想いがあります。
また、日本ではまだアートに対して、特別なもの、少し距離のあるものという固定観念が強いと感じています。そこを、よりナチュラルなものへと変えていきたいと考えています。
誕生日にその人に合ったアートを贈ることが当たり前になるような文化が生まれたり、アートが人生と向き合うきっかけとして、もっと自然に生活の中にある状態を目指しています。
ものづくりへの思いを手放さず、形にしてきた道のり
——会社を立ち上げるまでの歩みを教えてください。
名古屋モード学園でファッションの歴史やデザイン、マテリアルなどを幅広く学びました。昔は人と話すことに緊張してしまう面があったのですが、ファッションに出会い、自分を表現する手段として強く惹かれるようになりました。
卒業後は就職せず上京、アルバイトをしながら当時立ち上げていたブランドで東京で勝負したいと考え、自分で創ったものをSNSで発信したり、イベントの物販に応募したりしながら活動していました。
ただ、当時はなかなか軌道には乗りませんでした。それでも、ものづくりをしている時間は自分にとって本当に幸せでした。誰かが面白いと言ってくれたり、自分の作ったものを身に着けてくれたりすることが嬉しくて、その気持ちは捨てきれませんでした。
その後、二十代後半で初めて会社員として働く経験もしましたが、誰かが作ったものを営業することに気持ちが乗らず、やりがいを感じることができませんでした。
一方で、絵を描く創作活動は続けており、ノートなどに描きためていた作品を少しずつ発信するように。そこから個人事業主として活動し、確定申告業務等も自分で行い少しずつ事業としての形を整えていきました。
クオリティを守るために、断る勇気を持つ
——経営において大切にしている判断軸はありますか。
経営判断で大切にしているのは、断る勇気です。
営業の話やさまざまなお話をいただくことがありますが、自分が売りたくないもの、少しでも心がざわつくものについては、丁寧にお断りすることを意識しています。
特に、値下げの交渉などは判断が難しいところです。ただ、どこまでならできるのか、自分の中のラインを見極めておかないと、経営理念とずれてしまいます。
オーダーをたくさん受ければ資金は入ってくるかもしれませんが、一人ひとりにしっかり向き合えなくなれば、作品のクオリティやお客様の満足度、パフォーマンスが下がってしまう。それは自分が本来やりたいことではありません。
大きな作品であれば、1クライアントにつき2ヵ月ほどかけることもあります。アトリエにこもって描く時間は、自分にとって幸せな時間です。だからこそ、数を増やしすぎるのではなく、自分が納得できる形で届けることを大切にしています。
経営者としての不安や向き合い方
——経営者として、不安や難しさを感じることはありますか。
何かを作ることは自由に楽しくできますが、経理や会計、決算といった事務的な仕事は得意ではありません。そこには実際不安もあります。
ただ、スタッフに任せるにしても、まずは自分で確定申告や税務処理をやってみたい気持ちもありました。そして、分からないことがあれば、自分で動いて何とかしていくという姿勢は昔から変わりません。好奇心は旺盛です。
ただ、絵を描くことと経営を同時に進めるのは、頭の使い方がまったく異なるため、難しさも感じています。だからこそ、自分を追い込みすぎず、勇気を出してアウトソーシングしていくことも大切にしています。
自分のイライラを周囲に与えてしまうと信頼が減り、結果として売上や自由も減っていく。
反対に、人に対して安心や喜びを与えることができれば、信頼が増え、売上も上がり、自由度も広がっていく。その感覚は、自分の中でとても大切な学びになっています。まだまだ未熟なところが多いですが、常に自分と向き合い続けています。
相手の気持ちを主役にするコミュニケーション
——仕事で人と関わるときに大切にしていることを教えてください。
レスポンスは丁寧に、できるだけ早く返すことを大切にしています。また、気になったことがあれば待たずに、自分から確認するようにしています。
以前はスピードを優先しがちでしたが、最近は先回りして相手に確認することを心掛けています。
それから、相手の気持ちに寄り添い、その人が主役になるように関わらせていただきたいと考えています。オーダーメイドアートは、その人のことを深く知り、自分からその人を好きにならないとできない仕事だと思っています。
だからこそ、まず自分がその人のファンになるという気持ちで向き合っています。
楽しく話していただけるように質問を投げかけたり、少しでも気持ちが明るくなるような一言を添えたりすることも大切にしています。
アートをもっと自然に、人生のそばへ
——今後取り組んでいきたいことはありますか。
今後は、理念を共有する企業様とのコラボレーションや、百貨店での展示・ライブペイント(パフォーマンス)などを通じて、より多くの方にこの価値を届けていきます。
アートは特別なものではなく、もっと自然に人生のそばにあっていいもの。あなたの人生に寄り添う渾身の一枚を、届けられたら嬉しいです。
何もしない時間が、次の表現につながっていく
——日々のリフレッシュ方法について教えてください。
自分磨きの時間は人生の楽しみでもあります。足つぼマッサージやヘッドスパ、部屋の掃除なども好きです。
また、散歩であえて何も考えない時間をつくるようにしています。そうした時間が、次の表現へとつながっていく感覚があります。