信頼関係を土台に、農業者の挑戦を支える
合同会社てらサポ 寺端 祐介 氏
合同会社てらサポは、農家や酪農家、事業者に向けて、有機JASの認証手続きや補助金申請、事業計画づくりなどを支援している会社です。寺端氏が大切にしているのは、単なる手続き代行にとどまらず、相手の状況に寄り添い、信頼関係を築きながら事業を支えること。過去に経営の中で苦労を重ねた経験があるからこそ、同じような思いをする人を減らしたいという考えがあります。現在は、別業種であるメンテナンス会社の経営も担いながら、今後の事業のあり方を模索しています。
農家や事業者を支える、幅広いバックアップ業務
——現在の事業内容について教えてください。
現在は、オーガニック認証に関する手続きの仕事が中心です。農家さんや加工会社などに向けて、認証に関するサポートをしています。
そのほかにも、営業や調査のような仕事もあります。たとえば、農家さんを調査して、こちらからアプローチし、「認証を取りませんか」「有機のじゃがいも原料があれば受け入れますよ」といった形で声をかけることもあります。そういった調査や営業代行も行っています。
また、農家さんが融資を受けたい、金融機関から資金を借りたいというときに、事業計画を作るお手伝いをすることもあります。補助金の申請支援も行っていて、現在は酪農家さんが新たに牛乳を作りたい、加工施設を作ってアイスクリームを作りたいという話があり、設備導入費や営業費用、広告費用などに関する補助金申請を一緒に進めています。
——仕事をするうえで、強みやこだわりはありますか。
やはり、最後まできちんとやることと、お客さんとの信頼関係を大事にすることです。
私は現在、もう一つ会社をしています。以前は雇われ社長として経営に関わっていましたが、その中で大きな借金を抱えることになり、いろいろと大変な経験をしました。
会社を経営していると、社長の周囲にはいろいろな人がおります。良いときは人が集まり、悪いときは人が離れる。そういう状況を見てきたので、お客さんである社長さんが安定的な経営が出来るように、社長さん本人や会社が被害を受けないように相談に乗ったり、必要なことを伝えたりしたいという思いがあります。
業務そのものだけではなく、仕事を通じて出てくる相談にも向き合い、会社を守ることにつながるような支援をしたいと考えています。
——コンサルティングに近い仕事でもあるのでしょうか。
そうですね。実際にてらサポはコンサル会社として立ち上げています。ただ、自分では特別に話が得意だとは思っていませんし、知識が豊富だと言えるわけでもありません。
それでも、一つの業務を通じていろいろな話を聞く中で、コンサル業務のような形になっていけばいいなと思っています。
苦しい経験を経て見えた「人を手伝う仕事」
——経営者になられたきっかけを教えてください。
もともとは、別業種であるメンテナンス会社で、雇われ社長として代表を務めていました。その会社は現在も運営していますが、以前は、エネルギー関係の設備販売や工事なども幅広く行っていました。また、自ら農業にも取り組み、いろいろなことに手を広げた結果、多額の借金を背負うことになりました。
正直、私はもともと社長をするつもりではありませんでしたが、流れの中で周囲におだてられて、私が代表を務めることになったという経緯があります。一時は、会社が倒産する寸前まで経営が危機的な状況となりましたしたが、なんとか現在も経営が続けられています。
その過程で、最終的に自分一人で切り盛りするようになりました。どうせやるなら、自分が本当にやりたかったこと、自分にできる仕事は何かを考えました。そのときに、人のお手伝いをすることしかないなと思ったんです。人の話を聞いて、それに対してできることを手伝う仕事。それが、今の合同会社てらサポにつながっています。
お客さんを利用しない。みんなが良い形になる仕事を
——経営の中で、絶対に譲れない思いはありますか。
自分自身が過去の経験において、失敗したことや人に迷惑をかけてしまったこと、思いがけず人に助けられたことがあったこともあり、お客さんである社長さんや会社が被害を受けるようなことは絶対にあってはならないと思っています。
また、商売はうまく伝えて利益を得るという側面もあると思いますが、だからといって、お金のためにお客さんを利用するようなことはしたくありません。メリットだけでなくデメリットもきちんと伝えたうえで、理解してもらって進めることが大事だと思っています。
また、仕事を通じて関わるのは、お客さんだけではありません。いろいろな人が関わる中で、みんなが良い形にならないといけないという思いがあります。自分だけが良ければいいという仕組みにはしたくありません。
——今、課題に対して取り組んでいることはありますか。
正直に言うと、コンサル系の仕事については、お客さんからの依頼があって動く形が多く、自分から大きく動けているわけではありません。ただ、今のお客さんとはこまめに連絡を取り、新たに仕事があれば「こういうことをやりますか」と常に提案しながら働きかけています。
また、オーガニック認証を取得している農家に対し、「有機の原料を高く買い取りますよ」といった営業文を送ることもあります。昔ながらのやり方かもしれませんが、北海道の農家さんはSNSが得意な方ばかりではありません。電話や文章で連絡し、興味がありそうであれば直接会いに行く形で営業しています。
今は、日常的に関わっているお客さんから追加で仕事をいただくための動きのほうが多いです。現在、来年に向けて、いろいろと新たな取り組みを検討しており、今後、仕事の切り出し方や任せ方も含めて模索していきたいです。
家族との時間と、次につながる学び
——お休みの日やリフレッシュの時間は、どのように過ごしていますか。
休みの日は、家族サービスが中心です。子どもと遊ぶことが多いですね。
また、一人でいるときは、勉強をしています。今は仕事に生かせる専門的試験に向けて勉強中です。趣味があまりないので、勉強に没頭することで集中できる感覚があります。
それがリフレッシュにもなりますし、次の仕事にもつながる可能性があるので、勉強時間は大切にしています。