お客様に寄り添う理念を受け継ぎ、財務を軸に挑戦を続ける――新経営サービス清水税理士法人が描く次代の経営支援

新経営サービス清水税理士法人 代表社員 中村 和弘氏

新経営サービス清水税理士法人は、創業からまもなく70年を迎える歴史ある税理士法人です。2026年1月に従業員承継という形で代表社員に就任した中村和弘氏は、創業者から受け継がれてきた考え方を大切にしながら、時代に合わせた変革にも取り組んでいます。本記事では、中村氏に事業の強みや組織づくり、今後の展望などについて詳しく伺いました。

お客様の課題解決に向き合う税理士法人として

――現在の事業内容について教えてください。

当社は税理士法人として税務業務を中心に行っていますが、単に税金計算や記帳だけを行うのではなく、お客様の経営課題の解決に踏み込んだ支援を大切にしています。

昔の税理士は、税務処理をしていれば喜ばれる時代もあったと思います。しかし当社では、かなり早い段階からそれだけではお客様の満足は得られないと考え、経営支援に力を入れてきました。お客様がどのようなことで困り、何を課題に感じているのかを直接お聞きし、それに対する解決策を提案することを重視しています。

また、税理士だけでなく、社会保険労務士や司法書士、行政書士、弁護士などとも連携し、ワンストップサービスとして幅広い支援を行ってきたのも特徴の一つです。

――現在の事業の強みについてもお聞かせください。

一番の強みは、創業者が残した理念や考え方が今も根底にあることだと思います。具体的には、必ず月1回お客様のもとへ伺い、どのようなことで困っているのか、何に悩んでいるのかを直接お聞きします。そのうえで必要なソリューションを提供するといった姿勢が事務所全体に浸透していることは、今も当社の強みとして生きていると感じています。

――理念にはどのような想いが込められていますか。

当社には、大きく2つの考えがあります。1つ目は「自利利他」です。周りの方にとって利になることが、自分にとっての利にもなるという考え方です。自分たちだけがよければいいというわけではなく、周囲の役に立ってこそ結果がついてくる――そうした考え方が事務所内に根付いています。

もう1つは、「常時知悉(じょうじちしつ)」です。当社では、「常にお客様のことをことごとく知る」という意味合いで捉えています。創業者の言葉として、「お客様の冷蔵庫の中身まで知りなさい」「お客様のことを恋人のように思いなさい」という教えがあり、お客様を深く知り、真剣に向き合う姿勢が、当法人の風土や理念の根底にあります。

受け継ぐ立場として、法人への愛情と恩義を胸に

――代表社員に就任されたきっかけを教えてください。

もともと学生時代や働き始めたころには、いずれ税理士として独立したいという想いを持っていました。ただ、今の事務所で働き始めて20年ほど経つなかで、いつからか独立したいという想いはなくなっていったんです。

理由は、やはりこの事務所のことが大好きなんですよね。一緒に働く人たちは協調性があり、お互いを気遣いながら働ける人が多いですし、当社がお客様に提供しているサービスにも誇りを持っています。後継者として指名を受けたことが大きなきっかけではありますが、それを引き受けた背景には、事務所や一緒に働く仲間、お客様への愛情と恩義がありました。

同じ目線で意見を拾い上げる組織づくり

――事務所内のコミュニケーションで大切にしていることは何でしょうか。

コミュニケーションにおいて大切にしていることは、「相談しやすい関係性」であることです。私は従業員承継で事業を引き継ぎましたが、数年前までは一社員として皆と同じように働いていました。いろいろな経緯で役割が変わっただけだと捉えていますので、これまでの関係性を改めて役職名で呼んでほしいという考えもなく、代表社員に就任する際にも職員の皆さんには「「中村社長」や「中村代表」と呼ばなくていい、これまで通り「中村さん」と呼んでください」と伝えました。

自分には、カリスマ性で引っ張るようなリーダーシップがあるとは思っていません。だからこそ、できるだけ多くの人の考えや意見を拾い上げながら、組織としてよりよい方向を探っていきたいと考えています。不満や愚痴も気軽に伝えてほしい――そのためにも、自分自身をできるだけ皆と同じ目線に置きたいと思っています。

――採用で「一緒に働きたい」と感じるポイントはありますか。

一番見ているのは、「人間性」です。自分さえよければいいという考え方の人は、当社には合わないと思います。周りの人に喜んでもらいたい、お客様に感謝していただくことに喜びややりがいを感じられるといった人と一緒に働きたいですね。一言でいうと、「お節介」な方がいいです。

面接では、学生の方に「親友はどのような人ですか」と聞くことがあります。なぜなら、自分ではない他者にどれだけ関心を持てているか、その方の価値観を知りたいからです。親友の良いところを熱く語れる人は、当社との親和性が高いと感じています。

財務を軸に、営業・組織・業務効率を見直す

――今後取り組んでいきたい挑戦について教えてください。

当法人は歴史が長い分、守るべき部分と変えていくべき部分があります。現在は、営業、組織・人事、業務生産性の3つの視点で法人経営を見ています。

営業面では集客が弱くなっていると感じているため、Webでの集客を強化していきたいです。そのためには、当社の強みや特徴を外部に明確に発信する必要があります。これまでの歴史の数だけノウハウや実績があることには自信を持っていますが、何が一番強いのかが見えにくくなっている面もあるため、今後は「財務」を切り口に当社の強みとして表現したいと考えています。

――なぜ財務に注力されるのでしょうか。

税理士法人ですので、税務が本業であることは間違いありません。ただ、お客様が本当に困っているのは、「税金を減らす」ことだけではなく、「どうすればお金を残せるのか、どうすれば資金を得られるのか」という点だと感じています。

中小企業にとって、会社を存続させるための資金調達や資金管理は非常に重要です。赤字企業にとっても財務は大切ですし、黒字企業にとっても余剰資金をどう活用するかは財務の領域です。そのため、今後は事務所内でも財務に関するノウハウを蓄積し、共有していきたいと考えています。

――最後に、お休みの日はどのように過ごされているかお聞かせください。

3歳の双子の娘がいますので、休みの日はほぼ娘たちと過ごしています。リフレッシュになっているのか、逆に体力を使っているのかはわかりませんが、娘たちのおかげで頑張れている部分もあります。

学生時代はバドミントンをしていましたので、時間ができればまた身体を動かしたいと考えています。今は趣味に使う時間はほとんどありませんが、家族との時間を大切にしながら、事務所経営とお客様に誠実に向き合っていきたいです。

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