ブランクを価値に変える――“人生迷子上級者”たちの物語を紡ぐ『My TOP』の挑戦
PROUDERS合同会社 CEO Piro Uchida氏
PROUDERS合同会社は、「ブランクを市場価値に変える」をコンセプトに、キャリアの空白期間を強みに変える伴走型サービス「My TOP」を展開しています。留学や休職、出産など、これまで評価されにくかった経験を“プロジェクト”として再構築し、新たなキャリアへとつなげる独自のブランディング支援が特徴です。Piro Uchida氏は自身の経験をもとにこの事業を立ち上げたと語っています。本記事では、サービスの背景や価値観、組織づくり、今後の展望について伺いました。
目次
ブランクを“実績”に変える「My TOP」の仕組み
――現在の事業内容や特徴について教えてください。
現在は「My TOP」というサービスを提供しています。「ブランクを市場価値に変える」をテーマに、履歴書に書けない空白期間を強みに変える伴走型のサブスクサービスです。
例えば留学の場合、単に語学を学ぶだけで終わらせるのではなく、「語学学校PR支援」のように一つのプロジェクトとして自身の役割と留学の目的を明文化します。渡航中、ガントチャートやWBS、オンラインの伴走支援でTo Do管理し、「認知度〇%向上、」「〇人へのインタビュー」といった行動を実績として残していく。
帰国時、実績をそのまま職務経歴書へダイレクトに落とし込み、市場価値を最大化させるブランディング支援をしています。
――なぜ「ブランク」に焦点を当てたサービスを展開しているのですか。
従来のキャリア支援では、ブランクはなかったことにされがちです。ですが、留学・出産や介護・休職・アスリートとしてスポーツに打ち込んだ期間にも必ず得ているものがあると考えています。
それにもかかわらず「職務経歴書にブランク期間を書かないでください。もし書くなら1、2行で」と言われることに違和感がありました。キャリアは企業に属していないと成立しないのか、という問いもあります。
その期間に取り組んだことを正しく言語化し、「この時間にこれをやった」と自分を誇れる形にする。それが次のキャリアにつながると考えています。
原体験から生まれた事業――“人生迷子上級者”のための居場所づくり
――今の事業を立ち上げたきっかけを教えてください。
自分自身がいわゆるブランクの多いキャリアでした。休学や退学、休職、退職、留学やワーキングホリデーと、いろいろな経験をしてきています。
その中で、本当に語りたい経験ほど隠されてしまうことに違和感を持ちました。現地で働いた経験や積み上げた実績があるのに、それを表に出せない状況があったからです。
だからこそ、その濃密なストーリーをきちんと価値として伝えたいと思い、この事業を始めました。
――サービスに込めている価値観や大切にしている考えは何でしょうか。
この事業は文化をつくるものだと思っています。就職や塾の前に「まずはMy TOPで自分の人生をプロジェクト化する」という選択肢を当たり前にしたい。
世の中に正解はないと考えていますが、唯一それを正解にできるのは熱意だと思っています。この領域にかける思いは誰にも負けません。
「もっとできるはずなのに居場所がない」と感じている人たちに、挑戦できる場所をつくる。その人の10年を見据えて伴走することを大切にしています。
“役割ではなく物語”で動く組織づくり
――現在のメンバー構成や、チームとして大切にしている考えを教えてください。
現在は5名体制で運営しており、それぞれが異なるブランクを経験しています。出産、休職、アスリートとしての引退、そして自身の留学経験と、それぞれが違う背景を持っているのが特徴です。
もともと一緒に働いていたメンバーも多く、過去の関係性の延長線上で集まったチームでもあります。
このメンバーをつないでいるのは、「My TOP」という考え方です。「私の1番」と思えるものをつくり切ることに全員が向き合っています。人はつい「もっとできる」と先を追いがちですが、本当に大切なのは、自分が納得できる1番をつくることだと考えています。
また、自分の中では「伏線回収」という言葉がしっくりきています。過去に感じた悔しさや迷いを、次の世代に繰り返させない。その思いを仕事として形にしている感覚です。
だからこそ、このサービスを通じて「大丈夫だよ」と伝えられる居場所をつくりたいと考えていますし、このメンバーで進めていることに大きな意味を感じています。
――社内コミュニケーションで大切にしていることは何ですか。
コミュニケーションの中では、「その人自身の物語をどう引き出すか」を意識しています。
具体的には、全員にキャッチフレーズを持ってもらっています。「人事」や「広報」といった役割ではなく、「自分は何を体現する人なのか」という言葉で動いてもらう形です。
キャッチフレーズを実現するために何が必要かを自分で考え、主体的に動いていく。そのプロセスを尊重しています。
自分はそれを支える立場であり、機会や環境を用意することが役割だと捉えています。
もともと脚本を書くことが好きなので、メンバー一人ひとりが主人公として輝くストーリーを描くような感覚に近いです。それぞれが自分の役割ではなく、自分の物語を生きられるように関わることを大切にしています。
BtoB展開とグローバルへの挑戦――次のステージへ
――今後の展望や取り組みたいことを教えてください。
今後は、現在のBtoC向けサービスに加えて、企業や大学のキャリアセンターなどへの導入も進めていきたいと考えています。
My TOPは、自分の人生をパーソナルプロジェクトとして捉え、「何を実現したいのか」を形にしていく支援です。休職者が復職する際に、会社でどのように歩んでいくかを伴走する仕組みにもつなげたいです。
さらに将来的には、日本に留学やワーキングホリデーで来ている海外の方の「逆ブランク」を解消する就労支援や実績づくりにも取り組みたいと考えています。かつて私自身が海外で経験した悔しさを、次世代の挑戦に伴走するための“伏線回収”として昇華させ、日本を「世界のリスタート支援のグローバル拠点」へと変革していきます。
――現在向き合っている課題と、その解決に向けた取り組みは何ですか。
サービスが新しい分、認知と普及が課題です。自分の存在意義と向き合う機会が少ない中で、その必要性を伝えきれていないと感じています。
だからこそ、「なぜMy TOPが必要なのか」を一つひとつ丁寧に伝えていくしかないと考えています。自分の最高傑作と思える時間をつくる、その価値を広げていきたいです。
一瞬を一生に変えるために――経営者としての信念
――仕事以外でのリフレッシュ方法を教えてください。
「過去の自分を、今の自分が救いにいくストーリー」を、脚本家として日々描くことが一番のリフレッシュになっています。
かつてできなかったことが、今の自分ならできるようになっている。人生のあらゆる挫折や空白は、すべて今日のための「伏線」だったんだと、物語を通して回収していく。そのために、メンバーとの会話を重ね、「人について徹底的に考える時間」を何より大切にしています。
一人ではできないことも、みんながいれば必ず成し遂げられる。たとえ挫けそうになっても、共に迎える明るい未来を思い描けば、それがまた原動力になる。
仲間と創る人生の物語こそが、経営者としての「My TOP」です。
――最後に、読者の方へメッセージをお願いします。
「一瞬を一生に」という言葉を、私はとても大切にしています。経営者の何気ない一言や出会いが、誰かにとって10年後も支えになることがあるからです。
だからこそ、ただ会う、ただ仕事をするのではなく、その人の今この一瞬が、後から振り返ったときに力になる時間でありたいと思っています。
読者の皆さんも、それぞれの立場で誰かの一瞬を一生に変えられる存在だと思います。一つひとつの出会いや言葉を大切にしながら、誰かの未来に残る関わりをともにつくっていけたら嬉しいです。