車を愛する人のために──技術・製品・運営ノウハウを武器に世界へ挑む

株式会社ジャパンケミカルズ 代表取締役 文成 守氏

洗車・コーティングの施工から製品開発、そして海外フランチャイズ展開までを手がける株式会社ジャパンケミカルズ。最大14ヶ国・600店舗規模の展開を経験しながらも、ゼロからの再出発を選んだ背景には、譲れない信念がありました。本記事では、代表取締役の文成守氏に、事業の現状や強み、組織づくり、そして今後の展望について伺いました。

施工・製品販売・海外展開の三本柱で築く現在地

――現在の事業内容と経営方針について教えてください。

私はもともと、洗車やコーティングの施工業からスタートしました。現在は、施工部、製品の製造販売部、そして海外事業部の三本柱で事業を展開しています。

経営において最も大切にしているのは、「車を愛する人のためのブランドである」という点です。株式会社である以上、利益の追求は当然ですが、利益を優先するあまり本質を見失わないよう、譲れないラインを守りながらブランドとしての価値を築いていくことを重視しています。

施工現場から始めた経験があるからこそ、製品開発においても“机上の空論”ではなく、本当に現場で使えるものを追求しています。カーライフを心から楽しんでいる人の役に立つ存在でありたい――それが事業の根幹です。

――海外展開の実績について教えてください。

現在のブルネイをはじめとした海外展開は、過去に14ヶ国・600店舗規模までフランチャイズを拡大した経験を土台としています。製品開発だけでなく、現場での豊富な施工経験を重ねる中で、各国で通用する技術と運営ノウハウを磨いてきました。

これらの知見を活かし、自社ブランドであるCAR WASH JAPANでは、立ち上げ当初から海外フランチャイズ展開を進めています。フランチャイズ店舗の立ち上げ時には、私自身が現地に入り、技術者とは同じ目線の一人の技術者として「技術」で向き合います。一方で、現地の管理者とは経営者として、文化や市場に適した運営方針を共に構築していきます。

こうした現場と経営の両面から関わる姿勢があるからこそ、無名のブランドであっても現地パートナーとの信頼関係を築くことができました。

社内体制の見直しにより海外展開は一時的にペースを落としていますが、再び成長軌道に乗せるための準備を着実に進めています。

代表取締役から専務取締役へ──拡大の最前線で得た経験

――これまでのキャリアについて詳しく教えてください。

私は21歳でこの業界に入り、24歳で車のコーティングとカーフィルム施工を行う会社として独立しました。日々現場で車を磨き続ける中で、「本当に使いやすい製品とは何か」「現場が求めているものは何か」を肌で学んできました。

その後、洗車用品の製造販売会社と合併し、製品開発やネット販売にも携わることで事業の幅を広げていきました。

現場だけでなく、製品づくりや販売の仕組みに関わったことで、ビジネス全体を俯瞰する視点が身についたと感じています。合併後は専務取締役として経営にも関わり、現場感覚を持ちながら意思決定を行うという貴重な経験を積みました。

――ゼロから再スタートした理由は何だったのでしょうか。

前職では会社規模も拡大し、外から見れば順調に見えていたと思います。しかし、経営判断の中でどうしても譲れない部分がありました。

私は、社内に対してもお客様に対しても、関係性を丁寧に積み上げていくことを大切にしています。

事業が拡大する中で、より自分の理想とする価値観を体現したいという思いが強くなり改めてゼロからやり直す道を選びました。

すべてを手放しての再出発は決して容易ではありませんでしたが、それ以上に「本当に大切にしたいもの」を守りたいという気持ちが、それを上回りました。

――海外展開を進める中で、どのような経験をされましたか。

14ヶ国・600店舗規模という実績から、国内では「一発で成功した」という見方をされることもありました。しかし実際には、多くの問い合わせの中からごく一部が形になった結果に過ぎません。

華やかに見える海外展開の裏側には、粘り強い交渉と信頼構築の積み重ねがあります。渡航しても成果が得られず帰国することや、予定していた相手と会えないといったこともありました。

そうした一つひとつの経験が、現在の事業の土台となっています。

適材適所で「好き」を伸ばす組織づくり

――社員との関係づくりで大切にしていることは何ですか。

働く人が幸せな生活を送れる会社であることを重視しています。外からどれだけ成功して見えても、内部が疲弊していては長く続く企業にはなりません。そのため、スタッフ一人ひとりが能力を発揮しながら、互いに支え合える組織づくりを目指しています。

特に重視しているのが「適材適所」です。人それぞれに異なる強みがあり、それを活かせる環境を整えることで、より高い成果につながると考えています。

個々が平均的に力を発揮するよりも、互いの長所と短所を補い合いながら成長できる組織を理想としています。

――印象的なエピソードはありますか。

製品の製造・出荷を担当するスタッフは、私にはできない高い正確性を発揮しています。ネット販売においても、細やかな対応によりクレームはほとんどありません。

私はどちらかというと、新しい価値を生み出すことが得意な一方で、同じ作業を継続することはあまり得意ではありません。だからこそ、着実に業務を積み上げる力を持つスタッフの存在は、組織にとって欠かせないものです。

自分にない強みを持つ人たちと協働することで、会社は成り立っていると実感しています。

経営者としての決断とリフレッシュ

――経営者としての原動力は何でしょうか。

前職では複数の決裁者がいる環境も経験しました。その中で感じたのは、経営において重要なのは規模や表面的な成功ではなく、自分自身が納得できる判断を継続できるかどうかだということです。

その軸を持ち続けられることが、私の原動力になっています。

――リフレッシュ方法を教えてください。

車が好きで、綺麗にすること自体が楽しみでもありますが、体を動かすことも大切にしています。キックボクシングやスキー、スノーボードなどで汗を流す時間は、夢中になれる良い気分転換になります。

また、自分で豆を挽いてコーヒーを淹れるゆったりとした時間も大切にしています。計量しながら抽出する工程は、理科の実験のようで楽しさを感じています。

お気に入りのコーヒーを飲みながら、のんびりと読書をする時間は、とても贅沢なひとときとして大切にしています。

車を綺麗にすることから始まった私たちの事業は、現在では海外にも広がり、多くの人に価値を届けられるようになりました。

それでも根底にあるのは、「好き」を突き詰めること、そして関わる人が幸せであること。この軸はこれからも変わりません。

今後も車を愛する人のために、そして共に挑戦する仲間のために、信念を貫きながら新たな国・新たなステージへと歩み続けていきます。

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