“地方から、日本をもう一度強くする”──株式会社ニホンノチカラが挑む、新たな地方創生のかた

株式会社ニホンノチカラ 代表取締役 福本 拓元 氏

日本各地には、まだ世の中に知られていない魅力や価値が数多く眠っています。しかし、その価値が十分に届かず、埋もれてしまっている地域も少なくありません。そんな中、株式会社ニホンノチカラでは、“地方と世界をつなぐ架け橋”をテーマに、地方創生に挑戦しています。本記事では、株式会社ユーグレナの創業者として上場を経験してきた福本拓元氏に、会社設立の背景や事業への想い、そしてこれから実現したい未来について伺いました。

“日本の価値”を世界へ届ける──株式会社ニホンノチカラの現在地

――現在の事業内容について教えてください。

社名の通り、「日本の価値を高めること」が会社の軸です。もともと私は、株式会社ユーグレナの創業に関わり、長年経営を続けてきました。創業から上場、そしてプライム市場まで経験する中で、事業をゼロから作り上げる経験を積ませてもらったんです。

ただ、その前のキャリアでは、地方企業の経営にも携わっていました。西日本を中心に各地を回る中で、地方が抱える人口減少や後継者不足といった課題を目の当たりにした一方で、「なぜこんなに素晴らしいものが知られていないんだろう」と感じる場面も数えきれないほどありました。

例えば、地方には全国や世界に通用する文化や商品、技術がたくさんあります。しかし、それを発信したり編集したりする力が不足していて、価値が埋もれてしまっているケースが非常に多いんです。そこに大きな可能性を感じました。

現在は、地方企業向けの支援事業を軸に展開しています。東京のベンチャー企業が持つAIサービスや人材系サービスなどを、地方企業へ届ける仕組みづくりを進めており、地方の経営者同士のネットワークを活用しながら、生産性向上につなげていく構想です。

また、「1718日本探索」というプロジェクトも進めています。日本全国1718市町村を実際に訪問し、役所へ取材を行い、その地域の魅力や課題を記事化しているんです。単なる観光紹介ではなく、“地方創生ベンチャーの創業者が現地を歩いて見たリアル”を発信することで、自分自身の学びにもつなげています。

アメリカ留学で気づいた、“日本のすごさ”

――経営者を志したきっかけを教えてください。

大きな転機は、大学時代のアメリカ留学でした。多民族国家の中で生活する中で、「自分は日本人なんだ」という感覚を強く持つようになったんです。

海外で生活すると、日本の良さがよくわかるんですよね。サービスの質、安全性、人の優しさ、食文化、街の清潔さ。そういうものを客観的に見た時に、「日本って本当に価値の高い国だな」と感じました。

一方で、経済的にはアメリカに大きく差をつけられている現実もありました。当時から、「日本は本来もっと世界で戦える国なんじゃないか」という想いが自分の中にずっとあったんです。

だからこそ、政治ではなく民間から日本を元気にしたいと思い、経営者を志しました。ただ、ユーグレナの事業に全力で向き合う20年間の中で、最初にやりたかった“地方創生”というテーマを、どこか後回しにしてしまっていたんですよね。

50歳を迎えた時、「このままで本当にいいのか」と改めて考えました。これまで積み上げてきた経験、人脈、ネットワーク、資本、すべてを使って、今だからこそできる地方創生があるんじゃないかと思ったんです。

もちろん、楽な道を選ぼうと思えば選べたと思います。でも、自分で事業を作るほうが圧倒的に楽しいんですよ。やっぱり私は、投資家より事業家なんだと思いますね。

仲間とともに、“地方の可能性”を広げていく

――組織づくりで大切にしていることはありますか。

一人で地方創生をやろうとは思っていません。だからこそ、会社を立ち上げる段階から、信頼できる仲間に参画してもらいました。

現在は、役員やアドバイザーとしてさまざまな分野の方々に関わっていただいています。地方創生には、行政、経営、金融、メディアなど、多角的な視点が必要です。だからこそ、それぞれの強みを持つ仲間と一緒に進めることを重視しています。

また、全国を回る中で感じるのは、“地方には挑戦したい人が本当にたくさんいる”ということです。ただ、情報や人脈、きっかけが不足しているケースも多いんですよね。

だからこそ、地方企業同士をつないだり、東京のベンチャーサービスを地方へ届けたり、“橋渡し役”になることに大きな意味があると思っています。

地方の経営者同士って、やっぱり横の信頼関係が強いんです。同じ地域で頑張っている仲間から紹介されると、新しいサービスへの心理的ハードルも下がる。そういう“人と人とのつながり”を活かした仕組みづくりを意識しています。

“地方から日本を元気にする”を、本気で実現したい

――今後の展望について教えてください。

まずは、地方企業支援の仕組みを本格的に立ち上げていきます。すでにサービス提供側のベンチャー企業や地方パートナー企業との連携も進んでおり、今後さらに拡大していく予定です。

加えて、インバウンド分散を目的としたデジタルプラットフォーム構想や、地方企業の事業承継・M&A支援にも取り組んでいきたいと考えています。

私はこの会社を、単なる小さなコンサル会社にするつもりはありません。10年以内に出口戦略を描くことも含めて、最初から大きな構想を持ってスタートしています。

もちろん簡単ではありません。ただ、日本にはまだまだ可能性があると思っているんです。地方には価値ある文化、商品、人材が眠っていますし、それを正しく編集し、世界につなげていけば、日本全体の力になる。そんな未来を本気で作りたいですね。

また、全国を回る中で、想定していなかった課題や新しいビジネスの種も次々と見えてきています。今後は、現場で見えてきたリアルな課題をもとに、新たな事業が生まれていく可能性もあると思っています。

家族との時間と野球が、人生のバランスを支えている

――最後に、休日の過ごし方やリフレッシュ方法について教えてください。

平日は全国を飛び回っているので、家にいる時間はほとんどありません。その代わり、土日祝日に仕事が入らない時は、家族との時間を大切にするようにしています。

特に娘と過ごす時間は大事にしていますね。これまでも、土日の多くを娘がやりたいことに付き合う時間に充ててきました。最近は少しずつ成長してきましたけど、それでも家族との時間は自分にとって大きな支えです。

また、3ヶ月に一度は家族旅行へ行くようにもしています。全国を回る仕事をしているからこそ、家族とゆっくり過ごす時間を意識的に作ることは大切にしていますね。

もう一つの趣味は野球です。実は、前職時代に野球部を立ち上げていて、今もメンバーと一緒に地域リーグで試合に出ています。月に数回、公式戦にも出場していて、私自身も現役プレイヤーとして楽しんでいます。

原辰徳さんに憧れて野球を始めた少年時代から、ずっと野球は人生の一部なんですよね。これからも、地方を回りながら、仲間と野球を楽しみながら、自分らしく挑戦を続けていきたいと思っています。

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