「鍛える前に整える」――運動の見方を変え、皆さまへ“動きケア®”を届ける
株式会社DOU 代表取締役 土屋 真人 氏
運動指導者や施術者に向けて、セミナーやスクールを企画・運営している土屋氏。現在、力を入れているのは、オリジナルの運動・施術ノウハウである「動きケア」を軸にした講座です。運動を「鍛えるためのもの」としてだけではなく、痛みや不調を改善し、体を整えるためのものとして捉え直す。その考え方を、現場で人の体に向き合う指導者や施術者へ広げています。自身も現役のソフトボール選手として体と向き合い続けてきた土屋氏に、事業への思い、経営判断の軸、今後の展望について伺いました。
介護予防の盲点にも向き合う「動きケア」
——現在取り組まれている事業の特徴を教えてください。
運動の指導者や施術者の方に向けたセミナーやスクールを、企画・運営しています。現在、特に多くの方に受講していただきたいと考えているのが、「動きケア 日常動作ナビゲーター養成講座」です。
介護が必要になるかどうかに関わる日常動作は、意外とはっきり認識されていない現状があります。介護予防のための運動講座や運動教室は数多くありますが、それが実際の介護予防に必要な日常動作に直接結びついていない場面も見られます。
そこで、現状の介護予防の盲点を明確にし、日常動作から介護危険度を示し、改善に直結する「日常動作・大丈夫体操」を指導できる人を養成したいと考えています。
——他社にはない強みは、どのような点にありますか。
一般的に運動というと、体を鍛えるためのものという捉え方が多いと思います。しかし、視点を変えると、運動は痛みを改善したり、不調を取り除いたりするためにも使うことができます。
私たちは、体を鍛えるだけではなく、体を整えるための運動に取り組んできました。簡単に言えば、「整体もできるし、鍛えることもできる運動」です。実際にその考え方で多くの方に喜んでいただいています。そのノウハウを指導者の方に知っていただければ、その先にいる生徒さんやクライアントさんにもメリットが及ぶはずです。
一方で、痛みや不調の改善に関わるということは、医療ライセンスを持つ方と同等に人の体のつくりや仕組みをきちんと理解していなければ、責任ある指導はできません。
そのため、商業出版されている『姿勢・動きのなぜがわかる本』のシリーズなども活用しながら、安全で効果的な指導や施術ができる教育プログラムを整えています。
「鍛える前に整える」という原点
——理念やビジョンには、どのような思いが込められていますか。
私自身、最初はアスリートとして、体を鍛える運動をしてきました。
中学・高校では野球、大学ではアイスホッケー、社会人になってからは、トライアスロンも行いました。そうした経験の中で、体を鍛えることは十分にやってきましたが、鍛える前に、その体が鍛えられる状態に整っているかどうかを見る必要があると感じるようになりました。
体が整っていないまま一生懸命頑張ると、怪我につながったり、痛みが出たりします。自分自身の経験も踏まえ、社会人になってから、中京大学大学院に入学し、「コンディショニングや健康づくりのための運動」について学び直しました。
こうして、研究と長年にわたる現場での指導、自分の体も実験台にしながら体系化してきたものが「動きケア」です。私自身、今も現役のソフトボール選手です。シニア世代に入っていますが、この「動きケア」のおかげもあり、昨年は「ねんりんピック」という全国大会(各県代表と政令指定都市代表の計62チームが参加)に出場し、優勝、日本一になることができました。
世の中では、まだ運動は体を鍛えるものという見方が大半だと思います。けれども、その見方を少し変えることで、健康や毎日の活動に役立てることができる。そのことを多くの方に知っていただきたいという思いが、事業の土台にあります。
小さな発信が、現場の喜びにつながる
——経営判断の軸になっている価値観はありますか。
①自分は楽しいか?②お客さんは喜んでいるか?③世の中にも役立っているか? この3つに照らし合わせて考えています。振り返ると、独立当初は、大きな夢やビジョンをもって、計画的に独立したわけではありませんでした。目先のことに一生懸命取り組んでいたら、気がつけば独立した形になっていた、という感じです。
ひとりでわからないこともたくさんあり、苦しい時期も何度かありましたが、そのたびに支えになってくれたのが、私のような小さな個人が発信する情報でも喜んでくださるお客さん(指導者)の顔でした。そして、その方が現場で伝えてくださると、その先にいる生徒さんやクライアントさんがまた、喜んでくださる・・。「小さな個人でも、少しは世の中の役に立っている」そんな思いに支えられてきた気がします。
数年前に、救急車で搬送され、緊急入院したことがありました。”死” を意識する機会となりましたが、自分の中でも多くのことを確認できました。自分にしかできない発信を、今後も続けていこうという思いが強くなっています。
AIも活用し、より多くの指導者へ届けるとともに
——今後取り組んでいきたい挑戦を教えてください。
個人で運営しているので、自分が多くの人に知ってもらいたいと考えているノウハウを、いかに熱意ある指導者や施術者の方に届けるかが課題です。そのためには、SNSをはじめとする発信を充実させていきたいと考えています。最近では、小規模な事業者にとって大きなツールになるのではないかと考え、AIの導入についても勉強しています。
もうひとつは、「動きケア」を直接個人に指導して、喜んでいただきたいと考えています。すでに、杖が必要になった変形性膝関節症の80代の女性が好きなゴルフをラウンドできるまでに回復したり、歩くのが遅くなった脊椎圧迫骨折後の70代女性の歩きが改善した事例もあり、喜んでいただいております。
ひとりで直接指導する人数は限られていますが、そんな中でも、「動きケア」を必要とされる方に出会って、少しでも喜んでいただくための取り組みも進めていきたいです。そのためにも、AIはうまく活用できるかもしれません。
自分らしく発信し、体を整えながら挑み続ける
——経営の中で、これだけは譲れないという思いはありますか。
地球の人口が70億人だとすると、自分は70億分の1の存在です。それは、どの人も同じだと思います。そういう意味で、一人ひとりが唯一無二の存在であることは間違いありません。
だからこそ、他の人にはできない、自分自身だからできることを大切にしたいと考えています。それが自分自身のスタイルなのかもしれません。常にそのことを感じながら、自分なりの発信や表現ができるようにしていきたいです。
——リフレッシュ方法を教えてください。
大好きなソフトボールをすることが、リフレッシュになっています。あとは、岩盤浴や温泉も、自分にとってはとてもリフレッシュできるものです。
家族との食事も大切にしています。あとは、オカリナを吹くことでしょうか。かれこれ10年以上は楽しんでいます。
仕事以外の時間も大切にして、また次の挑戦に向かっていきたいと考えています。