CRMの本質を現場から広める――アーカス・ジャパンが描く顧客接点改革とAI時代の経営
アーカス・ジャパン株式会社 代表取締役 松原 晋啓氏
アーカス・ジャパン株式会社は、CRM領域に特化した知見をもとに、企業の顧客接点や営業活動のあり方を支援する企業です。代表の松原晋啓氏は、外資系企業などで国内外のCRMに携わってきた経験から、日本企業におけるCRM活用の課題を強く感じ、現場側からその本質を広めるために事業を展開してきました。近年では、蓄積してきたノウハウを形にした「EMOROCO CRM Lite」の提供にも取り組み、AI時代に対応した新たなCRMのあり方を追求しています。本記事では、松原氏に現在の事業内容や経営の考え方、今後の展望などについて詳しく伺いました。
CRMを正しく使い、企業の価値を高める
――現在の事業内容や特徴について教えてください。
当社は、CRMを軸に企業の顧客接点や営業活動を支援しています。CRMとは、お客様との接点を集中管理するフロントエンドシステムのことです。売上や組織運営に直結する領域であり、本来は企業が戦略的に投資すべきものだと考えています。
なかでも当社が現在特に力を入れているのが、「EMOROCO CRM Lite」という製品です。中小企業でも導入しやすい価格帯ながら、必要な機能はしっかり備えています。画面もできるだけシンプルにし、現場で使いやすいことを重視しました。業界や業種ごとにテンプレートを作成したり、カスタマイズしたりすることも可能で、当社がこれまで蓄積してきたノウハウや、お客様が本当に必要としてきた機能を集約し、無駄を省きながら作り上げた製品となっています。また、CRM4.0の理論に基づいて、マーケティングオートメーションにおけるスコアリングという”客観データ”と『感情温度』という”主観データ”を組み合わせてお客様との関係を醸成(ナーチャリング)していくことが出来る他製品にはない強みもあります。
――会社を立ち上げられた経緯を教えてください。
もともとは、世界最大級の総合コンサルティング企業であるアクセンチュアをはじめ、キャリアを重ねるなかでCRMに関わってきました。その後、マイクロソフトでCRM専属の担当としてプリセールスに携わり、国内外のお客様にCRMを提案していました。
そのなかで強く感じたのが、日本ではCRMがあまりにも正しく理解されていないということです。CRMは世界的には最も重要な投資領域として扱われていますが、日本では十分に理解されていない部分がありました。
単にお客様に製品を売るだけでは、使いこなせずに失敗を重ねてしまうこともあります。だからこそ、現場側に立ってCRMの本質や活用方法を広める必要があると考えました。その想いが、現在の事業につながっています。
また、日本企業が成長していくうえでも、CRMを正しく活用することは重要だと感じています。顧客との関係性を正しく理解し、適切に管理できる企業が増えれば、日本企業の価値ももっと高められるはずです。そのためにも、CRMを単なるシステムではなく、経営や組織を変える仕組みとして広めていきたいと考えています。
圧倒的なCRM経験を、製品と支援に活かす
――他社にはない強みはどのような点にありますか。
当社の強みは、圧倒的なCRMの経験・実績・ノウハウです。外資系企業などで世界中の知識や事例に触れ、それらを組み合わせて理論化してきました。製品を作る側・売る側・現場で使う側の視点を持っていることは、大きな強みだと思います。
私は、アーカス・ジャパンという会社そのものが、CRMの巨大なノウハウベースのような存在だと考えています。これまでの経験を単なる知識で終わらせるのではなく、製品やコンサルティングを通じて、お客様が実際に使える形にしていくことを大切にしています。
――経営判断の軸になっている価値観は何でしょうか。
常に考えているのは、当社の製品やビジネスが社会にとってプラスになっているかどうかです。お金を稼ぐことは大事ですが、お客様のためにならないことはしたくありません。それをするくらいなら、会社を続ける意味はないと思っています。
コンサルティングを行う際も、お客様がやりたいと言っていることが本当にお客様のためにならないと思えば、はっきり伝えます。「それをやっても意味がない」「お金の無駄になる」と感じれば、率直に伝えるようにしています。
当社が関わったお客様には、社会から喜ばれる会社になっていただきたいんです。自社もそういう会社でなければ、ビジネスをする意味がないと思っており、その考え方がすべての判断基準になっています。
また、当社では「CRMを通して、日本の価値向上と笑顔が広がる世界の実現」を理念に掲げています。CRMを単なる管理ツールではなく、お客様との関係性を深め、企業と社会の価値を高める仕組みとして広げていきたいと考えています。
AI時代に変わる組織と仕事のあり方
――組織運営で大切にしていることはありますか。
経営者は、従業員に任せることと、厳しさを持つことのバランスを間違えてはいけないと感じています。信頼して任せることは大切ですが、甘さだけでは組織はうまくいきません。
また、AIの登場によって、組織のあり方そのものも大きく変わっています。これまで多くの人が時間をかけて行っていた仕事を、AIを活用することで少人数でも進められる時代になってきました。今後は、人が担うべき仕事はより専門性や独自性の高い領域に絞られていくと見ています。
――AI時代の変化をどのように捉えていますか。
過去の経営理論や仕事の進め方は、大きく変わっていると思います。人が行う前提で考えていたコストや時間の感覚が、AIによって崩れてきています。
当社の製品も、AIの力を活用しながら開発しています。もちろん人の設計や判断は必要ですが、スピードやコストは以前とは大きく異なります。以前であれば、多くの人員と長い期間が必要だったものでも、AIを活用することで短期間で形にできるようになりました。
ただ、AIによって働き方も組織も変わっていく一方で、人にしかできない領域も残り続けると予想しています。CRMは心理学的な要素も強く、人間理解が必要な領域です。だからこそ、AIと人の役割をどう組み合わせるかが重要になるでしょう。
日本だけでなく、海外も視野に入れた展開へ
――現在向き合っている課題はありますか。
一番の課題は、製品の普及です。よい製品であっても、使われなければ意味がありません。そのため、導入を広げることに注力しています。
同時に、製品そのものも成長させ続けています。もともと十分な機能は備えていますが、さらに使いやすく、より実用的なものにするために、日々アップデートを重ねています。当社の理念を実現するためにも、CRMを必要とする企業にしっかり届けていきたいです。
――今後取り組んでいきたい挑戦を教えてください。
直近の課題は、リリースしたばかりの「EMOROCO CRM Lite」の導入を広げていくことです。まずは普及させることが重要だと考えています。
一方で、この製品は、日本だけでなく海外で導入することも前提に設計しています。日本の中小企業を支援したい気持ちはありますが、日本だけにこだわる時代ではなくなっていると感じています。当社のサイトは海外からのページビューも多いことから、必要とされる場所があれば、海外展開も視野に入れて価値を提供していきたいです。