日本の素材を、世界へ。フルーツから考える国産オーガニックコスメの挑戦

株式会社ES-ROOTS 代表取締役社長 榎戸 淳一 氏

経営コンサルティング会社の美容部門を経て、エステの会社を立ち上げた榎戸氏。肌に悩みを持つお客様と向き合う中で、速効性を重視した化粧品だけではなく、一人ひとりの肌自体を元気にする本質的な化粧品をつくりたいという思いが芽生えたといいます。現在も日本全国の生産者を訪ね、自ら原料に触れながら、フルーツを切り口にした独自のスキンケアを追求する榎戸氏に、事業の強みや商品づくりのこだわり、ビジョンについて伺いました。

日本中の素材を活かし、肌の悩みから逆算する

――現在の事業の特徴について教えてください。

経営コンサルティング会社の美容部門を経て独立し、エステの会社を立ち上げました。現場では即効性を重視する化粧品が多く、肌が弱い方には負担になったり、肌自体が元気になっているのか疑問に感じていました。

2009年、アメリカでオーガニックコスメが日常に浸透している様子を見て、日本にも同じ流れが来ると確信し、帰国後、国産品が少ない市場を見て、日本の原料を使ったオーガニックコスメづくりを始めました。

――商品づくりにおいて、他社との違いを感じる部分はありますか。

大きな特徴は、フルーツという切り口をコンセプトにしていることです。自然派の化粧品では、ハーブやアロマなどさまざまな切り口がありますが、フルーツを軸にした化粧品はほとんど存在しておりません。そこは一つの大きな特徴だと思っています。

また、エステサロンも運営しているため、お客様の肌に関する知見が日々蓄積されています。オーガニック系の会社では、原料ありきで「この原料があるから、こういう化粧品をつくろう」と考えることもあると思いますが、私たちはそうではありません。

お客様の肌の悩みから考えたときに、どういうものをつくればよいのかを逆算して商品づくりをしています。そこが、スキンケアに対する考え方の違いだと思います。

――会社として大切にしている理念やビジョンについて教えてください。

創業時からの思いとして、日本中の素材を活かしたいという考えがあります。基本的には、国産原料をなるべく使うことにこだわっています。現在は大体97%ぐらいを国産原料でつくっています。

もちろん、海外産の方が安かったり、手に入りやすかったりする部分もあります。それでも、やはり国産の原料にこだわりたいという思いがあります。私自身、毎月のように北海道から沖縄まで日本全国へ出張し、生産者さんなどを回りながら、自ら原料を仕入れています。そこは大きなこだわりであり、特徴でもあります。

自分のブランドを持ちたい。その憧れが経営への一歩に

――美容業界のコンサルティングから、経営の道へ進もうと思ったきっかけを教えてください。

コンサルティング業務は、他社をお手伝いする仕事です。いろいろな会社のお手伝いをしていく中で、だんだんと憧れのようなものが出てきました。自分でもやってみたいという気持ちがすごく生まれてきたんです。

自分のブランドを持ってみたい。そういう気持ちが強くなり、チャレンジしたことが経営に進んだ背景です。

――経営判断をするうえで、大切にしている価値観はありますか。

会社のホームページにも掲げているのですが、「与えるものが受け取るもの」という考え方を大切にしています。基本的には、最初からテイクばかりを考えるのではなく、まずは与えることが大事だと思っています。

それは社員に対してもそうですし、お客様に対しても、世の中に対しても同じです。自分がもらうことばかりを考えるのではなく、まずは自分が与える。

これにより、必ずしもその相手から返ってくるわけではなくても、何かしらの形で自分に戻ってくると考えています。常にそこを意識しながら経営しています。

――影響を受けた人物や出来事はありますか。

一番影響を受けたのは、創業前に読んだ、サイバーエージェントの藤田社長の『渋谷ではたらく社長の告白』という本です。たしか2005年頃だったと思いますが、その本を読んだことが、経営者になりたいと思う火をつけた一番大きなきっかけでした。

それから20年ほど経っていますが、今でも藤田社長は尊敬できる存在です。自分が最も影響を受けている方だと思います。

社員が誇れる会社であるために、背中を見せる

――社内のコミュニケーションで大事にしていることはありますか。

ここ5年、10年で、価値観や従業員との関係性はどんどん変わってきていると感じます。変わらざるを得ない部分もあり、難しさもありますし、苦戦しているところもあります。

その中でも、社員が自分の会社を誇れること、周りに自慢できるようにすることはすごく大事だと思っています。そのためには、経営者自身が背中を見せなければいけない部分もあります。有名な方や有名な取引先の方に商品を使ってもらうことも、メディアに掲載されることも、社員にとっての誇りにつながると思っています。

コミュニケーションの形は変わってきていますが、お互いに気にかけることはとても大事です。ちょっとしたことでも常に話をする、個別にも話をする。そうしたことを大切にしています。

日本の素材とプロダクトを、世界中へ届けたい

――今後の展望や、挑戦していきたいことを教えてください。

国産原料を使っていることが自分たちの軸にありますし、日本全国の生産者さんとのお付き合いをさらに広げていきたいと考えています。そのためにも、一つでも多くの商品をつくり、たくさんの原料を使っていきたいです。

もう一つは、日本産のブランドとして、日本だけでなく、日本の素材やプロダクトを世界中に展開していきたいという思いがあります。それが今後の大きな目標であり、ビジョンです。

――その挑戦を進めるうえで、今後の課題はどこにあると考えていますか。

やはり社員、スタッフなどの人材面にあると思っています。自分一人の力ではできないことがたくさんあります。特に海外展開となると、言語の問題なども生じるでしょう。

そのため、多様な人材をいかに抱えられるかがすごく大事です。その意味では、私自身の器もそうですし、会社の仕組みも整えていかなければなりません。

そこをしっかり固めていかないと、組織をつくることもできませんし、結果的にビジョンを達成することもできないと思っています。

仕事と旅の中で、感性を整える

――お休みの日や、リフレッシュの方法について教えてください。

基本的には仕事が好きなので、あまり休みたいという感覚は強くありません。ただ、旅行はすごく好きです。月曜日に出張を入れて、その前の土日に現地へ行き、訪れた場所を観光することもあります。

そういうことが比較的自由にできるので、出張先でその土地を見ることがリフレッシュになっています。日本全国の生産者さんを訪ね、素材に触れながら、同時にその土地を感じることも、自分にとって大切な時間になっています。

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