日本のものづくりを世界へ――個性を纏う腕時計で文化を伝える挑戦
株式会社LIME 代表取締役 新井 敬介氏
株式会社LIMEが展開する腕時計ブランド「KNIS」は、京都発のマイクロブランドとして、日本製腕時計の魅力を発信しています。品質へのこだわりはもちろん、隕石や漢字を取り入れた独創的なデザインによって、身につける人の個性を引き出す時計づくりを追求。単なる実用品ではなく、日本の文化やものづくりの価値を伝える存在として、国内外へその魅力を届けようと挑戦を続けています。今回は代表の新井敬介氏に、ブランドへの想いや経営の考え方、今後の展望について伺いました。
日本製の品質と個性を腕時計で表現する
――現在の事業内容やブランドの特徴について教えてください。
当社では「KNIS」という自社ブランドの腕時計を企画・販売しています。京都発のマイクロブランドとして立ち上げたブランドで、特にこだわっているのは日本製であることです。
私は長年腕時計の販売に携わってきましたが、その中で日本製時計の品質の高さを強く実感してきました。だからこそ、その魅力をもっと多くの方に知っていただきたいという思いからブランドをスタートしています。
デザイン面では、よくある腕時計とは少し違う、一癖も二癖もあるような個性的な表現を意識しています。例えば文字盤に隕石を使用したり、漢字を彫刻したモデルを展開したりと、他にはないデザインに挑戦してきました。腕時計を通して、その人らしさを表現できるような製品づくりを心掛けています。
――ブランドに込めた理念やビジョンを教えてください。
大きなテーマとして掲げているのは、日本のものづくりを世界中の人に知ってもらうことです。
単に時計を販売するだけではなく、日本の文化や価値観を時計という形で表現し、それを国内外へ届けていきたいと考えています。日本には優れた技術や伝統が数多くありますが、それらを知るきっかけになる存在になれればうれしいですね。
時計を身につけることで、日本の文化や職人技にも興味を持っていただける。そんなブランドを目指しています。
ものづくりへの想いが独立の原動力になった
――経営者になられた経緯を教えてください。
もともとファッションには興味がありましたし、以前は腕時計やアクセサリーをEC販売する会社で約3年間勤務していました。
その経験を積む中で、もっと自分自身でものづくりに関わりたいという気持ちが強くなったんです。既存の商品を販売するだけでなく、自分の考えや価値観を形にしたい。その思いが独立の大きなきっかけになりました。
やはり自由に表現し、自分が本当に作りたいものを追求するためには、自ら挑戦するしかないと考えました。
――経営判断の軸になっている価値観は何でしょうか。
常に意識しているのは、お客様の期待を超えることです。
驚きや喜びを届けたいという気持ちは、商品開発でも経営でも変わりません。想像していた以上の価値や意外性を感じてもらえるものを生み出したいと思っています。
「こんな時計があったのか」と感じてもらえたり、想像以上の満足感を得てもらえたりすることが理想です。そのためにも、常に新しい表現や挑戦を続けていきたいと考えています。
率直な意見を活かしながら商品を磨き上げる
――組織運営で大切にしていることを教えてください。
商品づくりでは、スタッフの意見を積極的に取り入れています。
基本となるデザインは私が考えますが、実際の製品に仕上げていく過程ではさまざまな意見を参考にしながら改良を重ねています。自分だけでは気づけない視点も多くありますから、率直な声はとても貴重です。
また、より良い商品やサービスを提供するために、業務ごとのミーティングも行っています。改善点を共有しながら、一つひとつ品質を高めていくことを大切にしています。
――どのような人と一緒に働きたいと考えていますか。
前向きに挑戦できる人ですね。新しいことに積極的に取り組み、自分の意見をしっかり伝えてくれる方と一緒に仕事がしたいと思っています。
実際に今いるスタッフも、時計業界の経験者ばかりというわけではありません。それでも率直な感想や意見を伝えてくれるので、多くの発見があります。
その意見が必ずしも正解とは限りませんが、新しい視点を与えてくれることは確かです。どんな内容であっても意見を出してくれること自体がありがたく、商品づくりにも良い影響を与えていると感じています。
京都の文化を腕時計で世界へ発信したい
――今後の展望についてお聞かせください。
まずは「KNIS」をより多くの方に知っていただくことが目標です。現在は京都に店舗がありますが、今後は全国へ展開していきたいと考えています。そしてその先には海外進出も見据えています。日本のものづくりや文化の魅力を、世界中の人々へ届けていきたいですね。
また現在進めている取り組みとして、京都の伝統工芸を腕時計で表現するプロジェクトがあります。京都の伝統工芸である金彩を文字盤に取り入れたモデルの開発を進めており、今後発表する予定です。
時計を通して京都の文化を知っていただき、伝統工芸の魅力を広く伝えることにも貢献していきたいと思っています。
――現在感じている業界の課題について教えてください。
腕時計業界全体としては、スマートフォンやスマートウォッチの普及によって市場が縮小傾向にあります。
だからこそ、改めてアナログ時計の魅力を伝えていくことが重要だと考えています。腕時計には時間を確認する道具以上の価値があります。
デザインを楽しむこともできますし、思い出やストーリーを刻む存在にもなります。そうした魅力をより多くの方に知っていただき、腕時計文化そのものを盛り上げていきたいですね。
自分が楽しいと思える挑戦を続ける
――休日の過ごし方やリフレッシュ方法を教えてください。
休日は野球観戦を楽しむことがあります。昔から阪神ファンで、シーズン中は結果が気になってついチェックしてしまいます。純粋に応援して一喜一憂する時間がリフレッシュになっています。
また、週に一度ほど友人と食事に行くこともあります。そうした時間が良い気分転換になっています。
一人の時間では将棋を楽しむこともあります。昔から好きで、最近はアプリで対局することが多いですね。相手の考えを読みながら戦略を組み立てていく面白さがあります。
――最後に、経営者として大切にしている信念を教えてください。
自分が楽しいと思えることをやる、ということです。
これまでの人生を振り返っても、基本的には自分が面白いと感じることや、やりたいと思うことを選んできました。無理に嫌なことを続けるのではなく、自分自身が心から楽しめる挑戦をしていきたいと思っています。
その気持ちがあるからこそ、新しい発想も生まれますし、ものづくりにも情熱を注げるのだと思います。これからも腕時計を通じて、日本の文化やものづくりの魅力を発信しながら、自分自身も楽しみながら挑戦を続けていきたいですね。