かき氷で笑顔に――感動を追求するクリエイティブな商品づくり
株式会社West-valley 代表 西ケ谷 佳則氏
「かき氷は夏のもの」という常識にとらわれず、季節や土地の魅力を一杯のかき氷で表現しているビネフル銀座。全国各地や海外を巡りながら、その土地の食文化や風土を商品開発に取り入れ、多くの人に新たな感動を届けています。その独自の世界観は国内外から注目を集め、プロデュース事業にも広がっています。本記事では、代表の西ケ谷氏に事業の特徴や経営への考え方、今後の展望について伺いました。
かき氷で文化や感動を表現する事業づくり
――現在の事業内容について教えてください。
かき氷専門店を運営しながら、かき氷のプロデュース事業も手がけています。
店舗には全国各地だけでなく海外からも多くのお客様にお越しいただいており、「かき氷店を始めたい」「コラボレーションしたい」といったご相談も増えてきました。
そうしたご依頼を受けて、海外でかき氷づくりをレクチャーするなど、国内外でさまざまな活動を行っています。
――事業の特徴や他社にはない強みはどのような点にありますか?
当社の強みは、商品開発のクオリティと歴代400商品以上をプロデュースする開発力にあると思います。
私は全国各地を旅しながら活動していますが、その土地ならではの食べ物や文化をかき氷で表現することを大切にしています。旅先で出会った風景や食材、人々の暮らしから得た着想を商品へ落とし込み、一つひとつの商品に新たな価値を加えてきました。
仕事と生活が自然につながることで生まれる発想こそ、私ならではのスタイルです。単に新しい味を追求するのではなく、その土地の魅力や文化、そこで感じた感動まで表現したいと考えています。
そうした積み重ねによって独自の世界観が形づくられ、他社にはなかなか真似できない強みになっているのではないでしょうか。
――御社の理念やビジョンにはどんな想いが込められていますか?
「かき氷で笑顔に」という想いを大切にしています。
心を込めて作ったかき氷で、お客様に感動していただきたい。その積み重ねによって、「かき氷といえばビネフル」と言っていただけるような唯一無二のブランドを目指しています。
自分の強みを活かす経営スタイル
――経営の道に進まれたきっかけを教えてください。
高校時代から自分で事業をしたいという気持ちがありました。
昔から発想や着眼点が周囲と違うと感じることが多く、その特性を活かせるのが経営という道だったのだと思います。
ただ、私は数字を語るタイプの経営者ではありません。経営者である一方で表現者でもあるので、自分が最も力を発揮できるクリエイティブやプロデュースに集中しています。数字や管理など最低限見れるようにしますが、得意な人に任せられる部分は任せる。それが私の経営スタイルです。
――なぜ数ある商品の中から、かき氷を選ばれたのでしょうか?
単純にかき氷が好きなことも理由のひとつです。
厳選した食材が口の中で淡く儚くで溶けていく私のかき氷は何度食べても飽きません。
ふたつ目に、かき氷は非常に自由度の高い表現ができる商品だと感じています。氷というシンプルな素材だからこそ、どんな食材を組み合わせるかによって無限の可能性が生まれます。
VINEFRU 銀座ではパンケーキも人気主力商品ですが、私自身はかき氷の方がよりクリエイティビティを表現しやすいと考えています。かき氷が今後さらに注目されていくジャンルだという確信もあり、この道を選びました。
――経営判断の軸として大切にしていることは何ですか?
お客様に提供する商品に妥協しないことです。
スタッフも含めて実際に食べてみて、納得できないものは商品として出しません。『かき氷といえばビネフル』と呼ばれるようなお店を目指す以上、品質への妥協は許されないと考えています。
私自身が現場を離れる日もありますが、食材へのこだわりや組み合わせの考え方は日頃から共有しています。その積み重ねによって、高い品質をご評価いただけるお店になってきました。
商品の完成度については、一切妥協しない。それが私の中で最も大切にしている考え方です。
商品へのこだわりが支える組織づくり
――スタッフとのコミュニケーションで大切にしていることを教えてください。
当店のスタッフは、もともとお客様だった方がほとんどです。私の商品を好きになってくださり、その延長で働いてくれている方が多いんですよね。
賄いでもみんなでかき氷を食べていて、「この賄いが食べられるから働いている」と言われることもあります。半分冗談かもしれませんが、そうした光景は当店ならではかもしれません。
私自身は細かなマネジメントが得意なタイプではないので、商品への共感をきっかけに自然と人が集まってくれる今の環境は自分に合っていると感じています。また、スタッフとのコミュニケーションやマネジメントについては、そうした分野が得意な人に任せるようにしています。
――今後採用を検討する際、どのような人と一緒に働きたいと考えていますか?
真面目で嘘をつかない方であれば、それだけで十分です。
世界へ広がるかき氷文化への挑戦
――今後の展望や挑戦したいことを教えてください。
これまでもさまざまな国で展開してきましたが、今後はまだ訪れたことのない国や地域にも挑戦していきたいと考えています。
特に、人が集まり、新しい文化や価値観を受け入れる土壌がある場所には魅力を感じています。私自身が行ってみたいと思う地域もあり、そうした場所でかき氷の可能性を広げていきたいですね。
ただ、海外展開は一人で実現できるものではありません。どの国で挑戦できるかは、現地で信頼できるパートナーと出会えるかどうかが大きいと思っています。
素敵なご縁があれば、新たな地域でもかき氷の魅力を伝えながら、その土地ならではの文化や食の魅力を取り入れた商品づくりにも挑戦していきたいです。
――現在向き合っている課題と、その対応について教えてください。
大きな課題は原材料価格の高騰です。
そのため、原価計算をよりシビアに行い、無駄なコストが発生しないよう徹底しています。仕入れや端材の管理についてもスタッフと共有しながら、日々改善を続けています。
――経営の中で「これだけは譲れない」という想いはありますか?
経営者自身が楽しそうに働いていることは大切だと思っています。
もちろん、仕事をしていれば大変なことや苦労もあります。ただ、辛いことばかりを口にしていても、経営者という生き方に憧れを持つ人は増えないのではないでしょうか。
だからこそ、自分自身が仕事を楽しみながら取り組む姿を見せたいと考えています。大変な時でも前向きに挑戦し、その過程を楽しむことが私にとっては譲れない部分です。
旅を通じて感性を磨く
――息抜きやリフレッシュ方法を教えてください。
正直なところ、あまり休みはありません。
ただ、旅へ行く時間は私にとって大切な息抜きになっています。旅先では仕事の仕入れも兼ねていますが、新しい場所を訪れること自体が楽しいんです。
仕事と完全に切り離された時間ではないものの、旅をしながらさまざまなものに触れるひとときには大きな幸せを感じます。