AI時代の“信頼の基準”をつくる――株式会社UPFが描く認証支援の未来
株式会社UPF 代表取締役 仲手川 啓氏
企業の成長に欠かせない情報セキュリティやコンプライアンス体制。その基盤となる各種認証の取得・運用支援を手がける株式会社UPFは、プライバシーマークやISMSを中心に多くの企業をサポートしてきました。今回は代表の仲手川啓氏に、事業の歩みや経営に対する考え方、今後の挑戦について伺いました。
目次
DM発送代行から認証支援事業へ――顧客課題から生まれた転換
――御社の立ち上げに至った経緯を教えてください。
当社はもともと、ダイレクトメールの発送代行やデータベースマーケティング支援を行っていました。通販会社や広告代理店のお客様が多く、DM発送や顧客リスト活用のサポートを提供していたんです。
事業を進める中で、自社でもプライバシーマークを取得する必要がありました。しかし実際に取り組んでみると、申請書類の作成や運用設計など非常に負担が大きく、何が正解なのかも分からない状態でした。
取得を支援するコンサルティング会社にも依頼しましたが、当時は多くの支援会社が単にテンプレート提供と質問への回答が中心で作業の大半は自社作成が主流、我々が依頼した際も結局は自分たちで苦労しながら取得したという感覚が強く残りました。その経験から、「同じ悩みを抱える企業は多いのではないか」と感じたんです。
その後、DMのお客様から取得についての相談をいただくようになり、DM事業の一部として認証支援をスタートしました。リーマンショック後の事業環境の変化もあり、2011年には現在の事業へ完全に舵を切りました。
――どのような点が顧客から支持されたのでしょうか。
私たち自身が苦労した苦い経験があったため、逆にお客様の悩みを理解できました。「取りたいけれど手間がかかる」「取得後も継続的に不安点の相談に乗ってほしい」といった課題を解決することを意識したんです。
また、認証取得という目的に絞ってサービスをシンプルに設計したことで、価格を業界平均の半額程度まで抑えながら丁寧な伴走支援を実現できました。そこがご評価いただけた理由だと思います。
認証取得で終わらせない――継続的な伴走支援が強み
――現在の事業の特徴や強みについて教えてください。
当社はプライバシーマークやISMSを中心に、TISAX、ISMAPなど、企業の規模や業種を問わず幅広く対応しております。新規取得だけでなく、その後の運用支援や更新支援まで包括的にサポートしていることが特徴です。
認証は取得後の運用が重要です。そのため私たちは外部パートナーとして継続的に伴走し、お客様と長く関わっています。
社内には現役の審査員資格を持つメンバーも在籍しています。最新の審査動向を踏まえながら支援できるため、取得から運用まで効率的に進められることも強みです。
最近では、AIに関する新たなISO規格「AIMS(ISO42001)」の新規取得支援や、「AI社内利用ガイドライン策定支援サービス」も、おかげさまで多くのお問合せを頂いております。
――会社として大切にしている理念を教えてください。
認証は取得することが目的ではありません。本来は働く従業員の指針となり企業の成長をサポートする仕組みです。
取得後に適切な運用が行われなければ、更新時だけ形式を整える状態になり、事故のリスクも高まります。私はプライバシーマークやISOの仕組みは非常に優れていると考えており、それを企業に定着させるところまで支援したいと思っています。
忙しい企業に寄り添いながら、社員の方々は本業に集中して頂きながら外部パートナーとして伴走すること。それが当社の中心の考え方です。
行動量と仕組みで成長する組織づくり
――経営者を目指したきっかけを教えてください。
20代半ばで起業しました。当時は今の事業をやりたいというより、自分で何かを成し遂げたいという思いが強かったですね。
起業前に勤めていた会社には起業志向の人が多く、その影響を受けたことも大きかったと思います。また、実家が商売をしていたこともあり、子どもの頃から起業への憧れはありました。
現在は業界の課題解決だけでなく、一緒に働く仲間たちと成功していきたい、共に働く仲間に素晴らしい景色を見せてあげたいという思いが強いです。
――経営判断の軸になっている考え方はありますか。
私は昔から「行動量と仕組みで勝つ」という考え方を大切にしています。
特定の誰かの才能に依存するのではなく、誰が担当しても同じ品質を提供できる状態をつくる。属人化を排除し、再現性のある組織を築くことを意識しています。
AI時代の新たな挑戦と“正しさ”を追求する組織
――組織運営で大切にしていることを教えてください。
当社では毎年の仕事始めに全社員で書き初めを行います。その年をどんな一年にしたいのかを一文字で表現するんです。
私は目標を持って行動することが大切だと考えています。社員一人ひとりが将来どうなりたいのか、今年はどう成長したいのかを共有しながら、一緒に目標へ向かっています。
――どのような人と一緒に働きたいと考えていますか。
私たちの仕事は、派手さよりも積み重ねが信頼につながる仕事です。だからこそ、特別な才能を持った人というより、当たり前のことを当たり前に続けられる人と働きたいですね。小さな約束をきちんと守る、丁寧に仕事をする、お客様の不安に寄り添う。そういう地道さを誠実に大切にできる人です。
認証取得は、企業が信頼されるための取り組みです。その支援をする私たち自身が、まず信頼に足る存在でありたい。そして何より、当社のビジョンや思想に共感し、その実現に向けて一緒に歩んでくれる、志を共にできる方と、これからも会社をつくっていきたいと考えています。
――今後の展望について教えてください。
現在、最も力を入れているのがAIマネジメント分野です。
AIMS(ISO42001)の認証取得支援に加え、AI社内利用ガイドラインの策定・更新サービスも提供しています。
AI活用が進む中、企業には利用ルールや指針となるガイドラインの整備がますます求められます。そのため当社では、認証取得の支援だけでなく、AI利用規定やガイドラインづくりまで一貫して伴走しています。
また、本年より新たにSCS評価制度(経済産業省が主導し、日本企業全体のサイバーセキュリティ水準を底上げするために構築された、新しい評価・可視化の枠組み )に関するご相談も承っています 。多くの企業が機会損失を防ぎ、取引を円滑に進められるよう支援していきたいと考えています。
「AIマネジメントシステム支援といえばUPF」と言われる存在を目指し、実績と信頼を積み重ねていく。その実現のためにも、人材への投資を積極的に続けていく考えです。
約束を守り、積み重ねる
――大切にしている価値観と休日の過ごし方を教えてください。
私たちの仕事は、お客様の成長に合わせてマネジメントの仕組みを更新し、決められたルールを守れる体制づくりを支援することです。だからこそ、変化に敏感に対応しながらも、地道にコツコツと積み上げていくことを大切にしています。
派手な仕事ではありません。それでも、一つひとつの積み重ねが信頼につながると考えています。多くのお客様に継続してご依頼いただけているのも、その結果だと誇りに思っています。
休日は、家族とゆっくり過ごすことが多いですね。たまにお客様や経営者仲間とゴルフに出かけて、リフレッシュしています。