問題が「起きてから」ではなく「起こさない」へ――パワーガードが描く予防型O&Mの未来

株式会社パワーガード 代表取締役 マルセラ・サルティ・ソウザ氏

株式会社パワーガードは、福岡を拠点に発電所のO&M(運用・保守)事業を展開する企業です。発電所の保守点検や年次点検を中心に、近年ではAIやドローンを活用した点検手法の導入にも取り組み、従来の枠にとらわれないサービスの提供を進めています。本記事では、代表のマルセラ・サルティ・ソウザ氏に、現在の取り組みや経営に対する考え方、今後の展望などについて詳しく伺いました。

「守る」から「価値を高める」へ――予防型O&Mへの進化

――現在の事業内容や特徴について教えてください。

当社は福岡を拠点に、発電所のO&M(運用・保守)事業を行っています。主な業務は、保守点検や年次点検です。

近年は競争が激化し、従来の業務だけでは差別化が難しくなっています。そこで私たちは、AIやドローンを活用した点検、シェーディング分析、データ分析と対策提案などを導入しています。

単に契約内容を遂行するのではなく、お客様にとって本当に価値のあるサービスを追求し続けることが私たちの強みです。

――会社として掲げるビジョンについてもお聞かせください。

私が入社した当時の会社は、問題が起きてから対応する「火消し」が中心でした。しかし私は、本当に大切なのは「問題そのものを起こさない」ことだと思っています。

予防の視点を持ちながら発電所の安定運営を支え、発電量を守り、さらに増やしていくことに貢献する――それが私たちの目指す姿です。

危機の中で手を挙げた覚悟――再建を選んだ経営者の決断

――どのような経緯で代表取締役に就任されたのでしょうか。

私は創業者ではなく、代表に就任したのは約1年前です。当時のパワーガードは、大きなプロジェクトによる損失を抱え、厳しい状況にありました。前CEOは退任し、会社として大きな転換点を迎えていたのです。

私は当時、同じグループ会社に所属しており、パワーガードの事業内容もよく理解していました。また、それ以前には日本で2つの会社の立ち上げに携わり、MBAでビジネスについて学んだ経験もありました。

そうした経験を踏まえ、「私ならこの会社を立て直せるかもしれない」と考え、自ら手を挙げて代表就任を決意しました。

現在は少しずつ会社も落ち着きを取り戻し、前へ進み始めています。私自身も、チームメンバーの仕事を守り、お客様との契約を守ることを使命として、日々経営に向き合っています。

――経営判断の軸となっている価値観はありますか。

私が最も大切にしているのは、「誠実さ」です。どのような場面でも責任を持って向き合い、短期的な利益や効率だけで判断しないことを意識しています。そうした姿勢の積み重ねが、お客様や社員、パートナーとの信頼につながると考えているからです。

また、会社としては「信頼」「安全」「好奇心」を大切な価値観として掲げています。CEOの役割は、こうした価値観を組織全体に浸透させ、日々の判断や行動に結びつけていくことだと思っています。

私はもともと救急・集中治療の医師として働いていました。その経験から、問題が起きてから対処するのではなく、変化の兆しを捉えながら組織の健全な状態を維持することも、経営者として重要な責任だと考えています。

――影響を受けた人物はいらっしゃいますか。

リーダーシップという観点では、ブレネー・ブラウン氏を尊敬しています。

彼女は、弱さや脆弱性を認めることが信頼を生み、よりよいリーダーシップにつながると語っています。私自身もその考え方と誠実さを大切にしながら、お客様やチームとの信頼関係を築くようにしています。

価値観でつながる組織へ――対話が育む信頼の文化

――社員の皆さんとのコミュニケーションで大切にしていることは何ですか。

最も重視しているのは、一人ひとりの価値観や考え方を理解し、組織としての方向性と結びつけることです。

代表就任後は、まず全てのチームメンバーと1対1の面談を行い、仕事への考え方や会社への思い、それぞれが大切にしていることを直接聞くことから始めました。

また、当社は現場で働く社員が多く、コミュニケーションはオンラインが中心です。そのため、月に一度の全体ミーティングで課題や学びを共有する場を設けるほか、日々の対話も欠かしません。小さな変化にも目を配りながら、信頼関係を築いていくことを大切にしています。

――採用や人材育成では、どのようなことを重視されていますか。

採用で最も重視しているのは、学歴や経歴ではなく、その人の価値観や成長意欲です。これまで何をしてきたかよりも、どのような姿勢で仕事に向き合い、これからどう成長していきたいのかに注目しています。

人材育成では、社員一人ひとりの成長が会社の成長につながるという考えのもと、技術研修や資格取得の支援に加え、コミュニケーション力などのソフトスキルを磨く機会も積極的に設けています。

また、社員のキャリアを会社の中だけに限定するつもりはありません。新たな挑戦のために次のステージへ進むことも前向きに受け止め、その経験が本人だけでなく、組織にとっても新たな価値につながると考えています。

競争の先にある成長へ――差別化で描く次のステージ

――今後、どのような挑戦をしていきたいと考えていますか。

これまでは会社の安定化に取り組んできましたが、次のステージは「成長」です。O&M業界では価格競争が進み、出力制御の影響によって発電所の収益も減少しています。だからこそ、差別化が欠かせません。

そのため今後は、契約数をこなすだけではなく、お客様の発電量を守り、増やすことを目標としています。将来的には売上を現在の2倍まで伸ばしたいと考えています。

また、現在はCEO業務に加え、人事や経理、マーケティングも担っていますが、今後は組織体制を整え、経営に専念できる環境づくりを進めていきたいと思います。

――その実現に向けて、どのような取り組みを進めていますか?

差別化を最重視し、AIやドローンを活用した点検など、他社にはない取り組みを進めています。また、ソーシャルメディアの活用も始めました。

ソーシャルメディアの活用の目的の一つは、採用のためです。会社の価値観や魅力を直接発信し、共感してくださる方との出会いを増やしたいと考えています。もう一つは新規顧客との接点づくりのためで、私たちの取り組みを広く知っていただき、新たなご縁につなげていきたいと思っています。

――最後に、読者の皆さまへメッセージをお願いします。

私たちは、発電所を守るだけでなく、その価値向上にまで貢献できる存在でありたいと考えています。そのために大切にしているのが、「信頼」「安全」「好奇心」という価値観です。お客様にとって本当に必要とされるサービスを追求しながら、変化する環境にも柔軟に対応していきたいと思っています。

同時に、社員一人ひとりが安心して挑戦し、自分らしく成長できる組織であり続けることも重要です。これからも新しい視点を取り入れながら、一歩ずつ前進してまいります。

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