移動販売からスナックの全国展開へ、冷凍スイーツ専門店アイスハニーが地域の居場所をつくる

冷凍スイーツ専門店アイスハニー 代表 山口 瑚白

冷凍スイーツ専門店アイスハニーは、香川県三豊市を拠点に、移動販売やイベント出店を行っています。代表の山口 瑚白氏は、東京・歌舞伎町でのホスト経験を経て、母親の事故をきっかけに香川へ移住しました。買い物に不便を感じる人へ商品を届けるだけでなく、地域の人が集まり、会話できる場をつくりたい。その思いから移動販売を始め、現在は営業から販売までを1人で担っています。将来は香川県内でスナックを開き、全国でフランチャイズ展開する構想を描いています。

冷凍スイーツを届け、地域に会話が生まれる場をつくる

――現在の事業内容について教えてください。

現在は店舗を構えず、事務所を拠点に移動販売とイベント出店を行っています。平日は販売場所を決めるための営業やポスティングに取り組み、土日に商品を販売する流れが中心です。

SNSでの配信やTikTokの撮影も行っています。出店できるイベントを探して連絡するほか、知り合った人から販売先を紹介してもらうこともあります。

――移動販売を始めた理由を教えてください。

香川県三豊市は、場所によっては電車やバスが少なく、買い物へ行くにも不便があります。母が足を悪くした際、スーパーマーケットへ行くことにも負担を感じている姿を見ました。

高齢者や1人暮らしの人のなかには、同じように困っている人が多いのではないかと考えました。移動販売で地域を回れば、買い物が難しい人の役に立てると思ったことが始まりです。

――商品を販売するほかに、大切にしていることはありますか。

私が届けたいのは、商品だけではありません。1人で暮らしている高齢者のなかには、日常的に話す相手がいない人もいます。

15分ほどの短い時間でも、地域の人が集まり、顔を合わせて話せる場があればよいと考えています。離れて暮らす家族にも安心してもらえるような、買い物と会話の両方が生まれる場をつくりたいです。

歌舞伎町での仕事を辞め、母のいる香川へ移住

――香川へ移住したきっかけを教えてください。

以前は東京の歌舞伎町でホストクラブで働いていて、母は香川県で1人暮らしをしていましたが、2026年2〜3月ごろ、仕事中の運転で事故に遭いました。

車は3回転して廃車になり、母は足を骨折。命に関わる事故ではありませんでしたが、1人でつらい思いをさせ続けることに違和感を覚え、ホストを辞めて香川へ移住したのです。

――移住した時点で、現在の事業を始めることは決めていたのでしょうか。

移住した時点では、冷凍スイーツの事業を始めると決めていたわけではありません。母の買い物に付き添うなかで、交通手段が少ない地域で暮らす不便さを実感しました。

その経験から、移動販売であれば、自分にもできることがあるのではないかと考えたのです。母の事故と香川での生活が、現在の事業を始めるきっかけになっています。

――事業を始めてから、特に印象に残っている出来事はありますか。

イベントに出店した際、東京にいた頃のお客様が突然来てくれたことです。東京から香川のイベントまで足を運んでくれたので、とても驚きました。

以前の仕事を辞め、生活する場所も仕事も大きく変わりました。その状況で東京から会いに来てくれたことが嬉しく、特に印象に残っています。

営業から販売まで、1人で担う現在の運営体制

――現在の運営体制について教えてください。

現在は、すべての業務を1人で行っています。平日のうち3日ほどは、販売場所を決めるための営業やポスティング活動です。

土日の2日間は販売を行い、残る日は取引先の人と食事をすることもあります。営業、集客、販売、取引先とのやり取りまで、自分が動ける範囲で取り組んでいます。

――お客様や取引先との接点は、どのようにつくっていますか。

ポスティングに加え、SNSでの配信やTikTokの撮影を行っています。イベントの出店先についても、自分で探して連絡しています。

知り合った人から、出店先を紹介してもらうこともあります。販売する日だけでなく、事前に地域の人へ知らせ、販売場所を確保するところまで自分で担っています。

若い世代も入りやすいスナックを香川から全国へ

――今後、挑戦したいことを教えてください。

2026年中に、香川県内でスナックを開くことが現在の目標です。場所は丸亀市など、香川県西部を考えています。

まずは1つの店舗を形にし、将来的には全国へフランチャイズ展開したいです。現在の冷凍スイーツ事業とは異なるように見えますが、私のなかでは人が集まれる場所をつくるという点でつながっています。

――スナックを開きたいと思ったきっかけは何ですか。

香川へ移住した直後は、実家はあっても友人や知り合いが1人もいませんでした。仕事も決まっておらず、家で携帯電話を見て過ごす日が続き、気持ちが沈んだ時期があります。そのときにスナックへ行き、知らない人同士でも自然に仲良くなれる空気に触れました。

楽しい話だけでなく、つらい話もできる場所でした。私自身、子どもの頃に1人で食事をすることが多かったため、誰かの居場所になれる店をつくりたいと考えるようになりました。

さまざまな店を訪れ、人との会話から学ぶ

――仕事を離れた時間は、どのように過ごしていますか。

飲みに行くことが多いです。スナックを開きたいという目標があるため、できるだけさまざまな業種の店へ行くようにしています。

高松では、スナックに限らずラウンジやバーなど、さまざまな業態のお店に足を運び、それぞれの雰囲気や接客に触れるようにしています。そうした時間も、将来の店づくりを考える大切な機会の1つです。また、犬の散歩をして過ごすこともあります。

――これから新しい道へ進もうとしている人へ、伝えたいことはありますか。

ホストやバーテンダーなどの仕事では、日々の流れが習慣になり、辞めるタイミングを失うことがあります。続ければすべての人が売れるわけではないため、自分の将来を考え、見切りをつける時期を早めに判断することも大切です。

20代後半からでも遅くはありません。次の機会を早めに見つけることが必要だと思います。一方で、それまでの仕事で得た経験は無駄にはなりません。私はSNS配信や動画の撮り方に関する講習を受け、その経験を現在の集客に活かしています。

対応が難しいお客様と接した経験も、自分の力になりました。厳しいことを直接伝えてくれる人と向き合う機会は、仕事を辞めてからこそ貴重だったと感じています。

目の前の経験を大切にしながら、自分に合った次の道を探すことが重要です。私自身も、これまでの経験を冷凍スイーツの販売や新しい店づくりにつなげ、誰かが安心して集まれる居場所を形にしていきたいです。

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