コロナ禍から右肩上がりの成長を続けるキッチンカー――業界の異端児が描く、社名に囚われない組織の未来

一般社団法人全国キッチンカー協会 代表理事 岡村 健氏

コロナ禍の真っただ中に「一般社団法人全国キッチンカー協会」を立ち上げ、キッチンカーの斡旋(マッチング)業を中心に多角的な事業を展開する岡村健氏。20年来の絆で結ばれたビジネスパートナーと二人三脚で歩みながら、業界の枠に捉われない挑戦を続けています。その根底にあるのは、「関わる人に喜ばれること」を大切にする姿勢です。本記事では、事業への想いや経営を支えるパートナーとの関係、プライベートでの意外な一面、そして今後の展望について伺いました。

フードロスも防ぐ、キッチンカー斡旋事業の現状

――現在の事業内容や特徴について教えてください。

私たちは現在、キッチンカーの斡旋業を中心に事業を展開しています。立ち上げのきっかけは、まさに新型コロナウイルスの感染拡大の最中でした。当時は多くの飲食店が厳しい状況に置かれ、店舗を閉めざるを得ないケースが増えていました。

その中で、実店舗型からキッチンカーへ舵を切るオーナー様が急増し、街で見かけるキッチンカーの台数が一気に増えたのです。また、コロナ禍が明ければ必ず各種イベントが復活し、需要が拡大するという予測もありました。

さらに、日本は災害が多い国ですから、被災時のような万が一の局面に、キッチンカーが温かい食事を届ける力になれたらという強い思いもあり、設立を決めました。

私たちの根底にあるポリシーは、「関わるすべての人に喜ばれる仕事をしよう」ということです。それを示す一つの具体例が、私たちが主軸として取り組んでいる「定数買取」という仕組みです。  

――「定数買取」とは、どのような仕組みなのでしょうか。 

一般的なイベント出店では、売れるか売れないかのリスクをキッチンカー側が背負いますが、定数買取では、キッチンカーを呼びたい企業や学校、主催者様に、あらかじめ「100食」などの単位で全数を買い取っていただきます。

これにより、キッチンカー側は事前に売上が確定するため、天候不良や売れ残りの不安から解放されます。

さらに、決まった数だけを調理すればよいため、食材の仕入れに無駄が出ず、「フードロス削減」というSDGsの取り組みにも直接貢献できるのです。 

また、この「定数買取」の仕組みを集客ツールとして活用する企業も増えております。店舗側がキッチンカーの商品を買い取り、来店されたお客様へ無料で提供するイベントを実施する形です。

キッチンカーにとっては、フードロスを押さえながら一定の売り上げを確約でき、店舗側はイベントを通じた集客につなげられます。そして、来店されたお客様にも無料で商品を楽しんでいただける。キッチンカー、店舗、来店客の三者それぞれにメリットが生まれる仕組みになっています。

現在は、主催者側に場所代を支払って出店する大規模フェスなどの「一般販売」案件もバランスよく組み合わせながら、キッチンカーのオーナー様の生活と利益を第一に守る持続可能なサポートを続けています。  

20年来の確固たる信頼関係から始まった、経営者としての歩み

――経営者になられた経緯を教えてください。

実は、現在この事業を一緒に運営しているパートナーは、私が以前働いていた職場の「元上司」だった方です。知り合ってからもう20年以上が経ちます。 

これまでの長い月日の中で、他のさまざまな業態も含めて常に苦楽を共にしてきた人物であり、お互いに対する信用は言葉にせずとも確固たるものがありました。年齢を重ねていく中で、「そろそろ2人で何か新しいことを始めようか」と自然な流れで話が持ち上がり、独立して法人の立ち上げに至りました。  

現在はキッチンカー関連の一般社団法人と合同会社の2つの法人を運用していますが、特に厳密な役割の区別をしているわけではありません。一般社団法人という形態があることで、「利益第一主義ではない、社会貢献性の高い組織」という安心感やクリーンなイメージを持っていただけるというメリットを活かしています。  

距離をも超える絆、二人三脚で紡ぐ組織運営とコミュニケーション

――組織運営で意識していることを教えてください。

上司と部下という関係からスタートした私たちですが、現在は役職上、私が代表理事という立場に就いています。しかし、実際の関係性は昔と今でまったく変わりません。何かあればすぐに相談しますし、むしろ決定権はパートナー側にあると言ってもいいくらい二人三脚での意思決定を行っています。経営判断を迫られる局面でも、常に「関わる人すべてがウィン・ウィン・ウィンになれるか」という信条がブレない軸となっています。  

現在の組織形態は、基本的に私たち業務執行役員の2人が主軸となって運営する非常にコンパクトなスタイルです。コロナ禍を経てリモートワークが中心となったこともあり、実は普段、頻繁に顔を合わせているわけではありません。そのため、日々の連絡はLINEや電話が中心です。  

今後、もし新しい領域へ事業を広げることになれば、その分野に適した新しい仲間を迎え入れる可能性はありますが、根底にある「強固な信頼ベースの二人三脚」という組織のあり方は、これからも変わらず大切にしていきたいと考えています。  

知名度の壁に挑み、飲食の枠を超える「新たなエンタメコンテンツ」への挑戦

――今後の展望や挑戦したいことを教えてください。

現在、キッチンカー業界はUber Eatsや出前館によるデリバリー対応が進み、販売機会や売上の拡大という追い風を受けています。一方で、情報発信や事業者同士のマッチングにはまだ課題が多く、業界全体の生産性向上が求められています。  

私たちはそうした課題解決に取り組みながら、キッチンカー事業にとどまらず、飲食店支援や地域イベント運営など幅広い分野へ活動を拡大しています。

将来的には芸能、スポーツ、音楽、芸術等様々なジャンルを巻き込んだフェスやチャリティーイベントなど、新たなエンターテインメントコンテンツの創出にも挑戦していきたいです。  

携帯から離れることはできなくても。北の大地で過ごす極上のリフレッシュタイム

――仕事以外でのリフレッシュ方法を教えてください。

今の時代、経営者である以上、携帯電話がつながる環境にいる限り100%仕事を忘れて過ごすというのは、正直なところなかなか難しいですね。 

そんな中で、一番のリフレッシュであり、趣味と言えるのが旅行です。定期的に休みを作って、すすきのへ足を運んでいます。一般的な観光地巡りをするわけではなく、現地にある行きつけの24時間営業のガールズカフェ&バーで過ごすことが楽しみの一つです。

こうした時間も大切にしながら、これからもさまざまな分野へ活動の幅を広げていきたいですね。既存の枠に捉われることなく、新たなエンターテインメントコンテンツの創出に向けて、これからも挑戦を続けていきます。

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