未来への航路をともに切り拓く――事務職の価値を高め、企業の成長を支える挑戦
株式会社KAIEI 代表取締役 藤田 由香氏
オンライン秘書として事務代行やバックオフィス支援に携わってきた藤田氏。長年にわたる事務職での経験を生かし、現在は業務改善・DX支援・企業研修・実務支援を一体で行う事業を展開しています。法人設立を機に、オンライン秘書が業務改善まで担える人材を育成するスクール事業にも取り組み始めています。本記事では、これまでの歩みや経営に対する考え方、今後目指す姿について伺いました。
長年の事務経験を生かし、業務効率化支援へ
――現在の事業内容について教えてください。
現在は企業の業務改善・DX支援・企業研修・実務支援を一体で提供しています。企業ごとの課題に応じて、「Lark」という業務効率化ツールやAIなどを活用しながら、地元の中小企業やクライアント企業の業務改善を支援しています。バックオフィス業務をサポートするだけではなく、業務が円滑に回る仕組みづくりまで伴走していることが特徴です。
もともとは個人事業として始めましたが、直近では法人を設立しました。業務改善・DX支援を事業の柱としながら、オンライン秘書が業務改善まで提案できる人材を育成するため、オンライン上で学べるスクール事業も開始しています。
――法人設立のきっかけを教えてください。
クライアントから、助成金を活用しリスキリング研修を実施してほしいという相談を受けたことがきっかけでした。また、業務改善・DX支援事業の拡大に加え、企業研修やパートナー企業との連携もさらに強化していきたいと考え、法人設立を検討していました。そうしたなかで事業パートナーとの出会いにも恵まれ、一緒に法人化に取り組むことを決めました。
18年間の事務経験が現在の原点
――これまでの経歴について教えてください。
約18年間、事務職として勤務してきました。地方自治体で約10年間勤務し、その後一般企業へ転職し、営業事務だけでなく、労務や総務、本社とのやり取り、お客様対応など幅広い業務を一人で担当していました。しかし、業務負担から体調を崩し退職することになりました。
年齢を考えたとき、再びゼロからスタートすることへの不安がありました。そんなときに出会ったのがオンライン事務講座です。
受講した講座はツールの使い方だけでなく仕事の獲得方法まで学べる内容であり、卒業から約2週間で最初のクライアントとの契約が決まりました。
顧問契約いただいたスタートアップ企業とは約2年間伴走し、事業拡大を間近で支援しました。その経験を通じて、経営者の隣で一緒に会社をつくり上げていく仕事に大きなやりがいを感じたのが大きな経験です。
信頼を生むのは改善提案とスピード対応
――現在の仕事で大切にしていることは何でしょうか。
ありがたいことに、現在の仕事はほとんどが紹介によるご縁です。その背景には、現場を理解したうえで改善提案を行うことと、対応のスピードがあると感じています。
業務改善では、まず現場の課題を整理し、経営者の方と一緒に改善案を考えることを大切にしています。こちらからも積極的に提案し、それを実際の改善につなげていく。その積み重ねが信頼につながっているのではないでしょうか。
また、チャットでの連絡には、できる限り迅速な対応を心掛けています。経営者はスピード感を持って動かれているため、そのテンポを止めずに対応することも重要です。
こうした一つひとつの積み重ねを大切にしながら、それぞれのクライアントと信頼関係を築けています。
「未来への路を共に」――理念に込めた想い
――経営で大切にしている価値観を教えてください。
経営判断で最も大切にしているのは、価値観や方向性を共有しながら、一緒により良い会社づくりを目指せる関係性です。どれだけ条件が良くても、お互いに信頼関係を築ける方とのご縁を大切にしています。その考えの原点には、事務職時代の経験があります。
現在もクライアントやパートナー企業との関係では、率直に意見交換ができ、一緒に改善へ取り組めることを大切にしています。これまで伴走してきたなかでも、現場の声を大切にされる経営者や、改善に前向きに取り組まれる企業が成長していく姿を見てきました。だからこそ、同じ方向を向きながら、ともにより良い会社をつくっていける関係性を大事にしています。
――会社の理念を教えてください。
会社の理念は「挑戦に伴走し、未来を切り拓く」です。また、キャッチコピーとして「未来への航路をともに。」を掲げています。
社名やロゴには、主人の実家で使われていた漁船「開栄丸」に由来する想いがあります。「未来への航路をともに。」という言葉につながり、「一度寄り添うと決めた相手の手は、絶対に自分から離さない」という想いを込めてロゴマークを作成しました。
クライアントはもちろん、チームメンバーやビジネスパートナーなど、関わるすべての人と同じ方向を見ながら、未来へ向かって最後まで伴走し続けたい。その姿勢が「未来への航路をともに。」という言葉の根底にあります。
地方企業のDXと事務職の未来を支えたい
――今後の展望について教えてください。
スクールでは、受講生を一度に多く受け入れるのではなく、各期5名ずつまでの少人数制としています。一人ひとりに寄り添い、自立して仕事を獲得できる人材を育てたいという想いがあるからです。受講して終わりではなく、実際に仕事を獲得できるようになるまで丁寧に支援して行きたいと考えています。
また、地方ではDXへの関心が高まっている一方で、ツールを導入しても定着せず、紙の運用に戻ってしまう企業も少なくありません。そのため、単にツールを導入するだけではなく、現場で活用できる状態まで伴走することを大切にしています。事務職の方が本当に働きやすくなる環境づくりと、それを支える人材の育成を、今後は事業の柱としてさらに力を入れていきたいです。事務職が余裕を持って働けるようになれば、会社全体の雰囲気も良くなり、結果として企業の成長にもつながると考えています。
今後は地域企業への挨拶回りなどを通じて認知度を高めながら、山陰地域の企業の生産性向上やDX定着、人材育成に貢献していきたいです。これからも一社一社と誠実に向き合い、信頼を積み重ねながら、地域企業の業務改善と事務職の価値向上につなげていきたいと考えています。