銀行員時代にできなかった金融を、自分の手で――refinancierが目指す「企業の未来」を見る仕組み

株式会社refinancier 代表取締役 新井 健三氏

株式会社refinancierは、企業価値評価とブロックチェーンのAML(アンチマネーロンダリング)に関するプラットフォームを軸に、金融領域の新たな仕組みづくりに取り組んでいます。代表の新井健三氏が目指すのは、過去の実績や保有資産だけではなく、企業の未来や事業そのものに目を向けられる金融のかたちです。本記事では、銀行員時代に抱いた問題意識や独立に至った背景、事業に込める思い、そして今後実現したい未来について伺いました。

企業の「これまで」だけでなく、「これから」を見られる金融へ

――現在の事業内容について教えてください。

現在は、大きく2つの事業を柱にしています。1つは、企業価値を評価するためのプラットフォームです。企業価値の算定だけでなく、リスク検証やシナリオ分析などの機能も備えており、もともとは金融機関の方に使っていただくことを想定して開発しました。評価結果だけを示すのではなく、「なぜこの評価になったのか」を説明できることも大切にしています。

もう1つが、ブロックチェーンにおけるAMLを行うプラットフォームです。暗号資産やステーブルコインなどに関わる領域で、リスクを分析し、その判断理由まで説明できる仕組みをつくっています。

私が特に実現したいのは、企業の過去だけを見るのではなく、未来を見て応援できる金融です。これまでの金融では、経営者の個人保証や不動産などの資産、過去の財務状況が重視される場面がありました。そこだけでは拾いきれない企業の可能性を見られる仕組みをつくりたい。その思いは以前から持ち続けています。

――会社として大切にしていることは何でしょうか。

挑戦する人を応援できる会社にしたいです。銀行員時代には、企業の方から融資を断られたという話を聞くこともありました。そうした声をきちんと拾いたいですし、一度うまくいかなかった方が再び挑戦するときにも力になれる存在でありたいですね。

銀行の中でできなかったことを、自分の手で実現する

――これまでのキャリアと、独立を決めた背景を教えてください。

以前はSMBCに在籍し、新規事業の企画立案などに携わっていました。当時からベンチャー企業や中小企業に向けたプラットフォームをつくれないかと、さまざまな提案をしていたんです。

ただ、大きな組織だからこその難しさもありました。新しいことに取り組もうとしても、リスクを取ることが難しかったり、当時やりたかった分野に踏み込めなかったりすることもあります。組織の中にいる限り、自分が本当にやりたいことを実現するのは難しいのではないか。そう考えるようになったことが、独立につながっています。

企業の未来を見て応援できるプラットフォームの構想自体は、2018年頃から持っていました。実際に開発を始めたのは昨年6月頃です。社名の「refinancier」には、金融を再定義するという意味を込めて「RE」を付け、「finance」をフランス語のように発音するイメージを重ねています。

銀行員時代に実現できなかったことを、今度は自分の手で形にしていく。それが、今の事業につながっています。

一人でつくるところから、仲間と磨き上げる会社へ

――現在はどのような体制で事業を進めているのでしょうか。

今のところ、会社としては私一人です。プロダクトの開発も自分で行っています。一方で、営業などを手伝ってくださる方もいて、どのような形で関わっていただくのがいいのか相談しながら進めている段階です。

まだ人を採用した経験もありませんし、明確に描けていません。まずは事業を軌道に乗せながら、必要な人に加わってもらえる体制をつくっていきたいと考えています。 

――どのような仲間と事業をつくっていきたいですか。

まずはエンジニアやクリエイティブの方に加わっていただきたいです。今は一人で開発していますが、仲間が増えれば、デザインや機能をさらにブラッシュアップできます。

事業を広げるうえでは、お客様との接点を増やすことも大きなテーマです。現在もさまざまな方に相談したり、ご紹介いただいたりしながらつながりをつくっています。今後どの程度の組織規模にしていくかは、まだ具体的に決めていません。まずはエンジニアやクリエイティブなど、必要な力を持つ方に加わっていただきながら、プロダクトをより良いものにしていきたいです。 

企業価値評価を軸に、金融の新たな選択肢をつくる

――今後、特に力を入れていきたいことを教えてください。

一番力を入れていきたいのは、企業価値担保権を活用した事業性評価の領域です。企業価値担保権を活用した仕組みでは、事業全体を担保として捉えることができます。個人保証だけに頼るのではなく、事業そのものの価値を見ていく考え方です。

仮に事業がうまくいかなくなった場合にも、単に清算するのではなく、事業譲渡などを通じて金融機関などが伴走し、立て直していく選択肢があります。これはまさに、私が銀行員時代にできなかったことでもあります。だからこそ、自分の事業として実現していきたいんです。

同時に、ブロックチェーンのAMLやデジタル証券といった領域にも取り組んでいきます。すべてを一度に完成させるのは難しいかもしれませんが、それぞれの分野でしっかりと価値を提供できる存在になることが目標です。

金融は企業の挑戦を止めるものではなく、支えるものであってほしい。これまで拾いきれなかった可能性に目を向け、新しい選択肢をつくっていきたいですね。

「強さ」と「感性」を両立しながら、人に誠実でありたい

――仕事をする上で、軸にしている価値観はありますか。

まず大事にしたいのは、「それが本当にその人のためになるのか」という視点です。誰か一人だけが良ければいいのではなく、できるだけ関わる人たちが幸せになれる形を考えたいですね。

一方で、誰も取りこぼさないことだけを考えていても、前に進めない場面があります。伸ばすべき人を伸ばすためには、ときにはリスクを取らなければならない。そのバランスを取るために必要なのが、強さと感性だと思っています。

強くなければ負けてしまうこともありますし、何かに抗うこともできません。でも、ただ強いだけでは人を傷つけたり、判断を誤ったりする可能性がある。だからこそ、感受性や感性も豊かにしておきたいです。一見すると相反するものかもしれませんが、その2つを両立させることを自分の軸にしていきたいですね。

また、人によって態度を変えるようなこともしたくありません。相手の立場にかかわらず、誠意には誠意をもって向き合う。まだ自分自身も成長の途中ですが、そういう人間でありたいです。 

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