地域と企業と人をつなぐ──エンパブリックが描く「関係性」から始まる社会変革

株式会社エンパブリック 代表取締役 広石 拓司氏

社会課題をビジネスで解決したい。そう考える人は多い一方で、実際には地域や周囲の理解を得られず、思い描いた構想が前に進まないケースも少なくありません。株式会社エンパブリックは、企業・自治体・地域住民という異なる立場の人々をつなぎ、対話と協働の場をつくることで、持続可能な地域づくりを支援してきました。本記事では、代表の広石拓司氏に事業の背景や強み、これからの展望について伺いました。

地域との関係性を軸にした事業づくり

――現在の事業内容と、会社として大切にしている考え方を教えてください。

私は、社会課題解決を目的とした事業に取り組む人の支援を長く行ってきました。その中で感じてきたのは、どれだけ良い理念やビジネスプランがあっても、地域の人たちの理解や協力がなければ物事は動かないということです。事業開発や資金調達も重要ですが、それ以上に地域との関係づくりが欠かせないと考えるようになりました。

エンパブリックでは、企業や事業を起こしたい人と地域がどう関わるのか、その活動が地域の中でどんな意味を持つのかを一緒に考える場づくりや、人材育成を事業として行っています。

――他社にはない強みはどのような点にあるとお考えですか。

企業や行政、地域住民など、目的や価値観の異なる人たちの意見を丁寧に聞きながら、その間をつなぐ役割を担える点だと思っています。例えば、企業と自治体を結ぶ取り組みは多くありますが、そこに住民も交え、三者で課題解決を考える仕組みはまだ多くありません。自治体が関わることで、企業と住民が直接つながりにくい壁を越え、対話が生まれる。その調整やファシリテーションを行うことが、私たちの特徴です。

社会課題解決に向き合い続けてきたキャリア

――これまでのご経験が、現在の事業につながった背景を教えてください。

社会課題をビジネスで解決したいという想いを持つ人を支援する中で、理想と現実のギャップを何度も目にしてきました。周囲の理解が得られずに諦めてしまう人も少なくありません。だからこそ、地域の中でその活動がどう受け止められるのか、どんな意味を持つのかを丁寧に考える必要があると感じてきました。

――印象に残っている取り組みはありますか。

Jリーグクラブと地域課題を結びつける取り組みです。従来のスポーツクラブの地域貢献にとどまらず、子どもや高齢者、福祉といったテーマと組み合わせることで、地域全体に新しい価値が生まれる可能性を感じました。サッカーを応援することが日常の楽しみになり、それが人の行動や意欲を引き出す。そうした相乗効果を生む関係づくりが重要だと考えています。

多様な立場を尊重する組織運営

――現在の組織体制について教えてください。

社員は5名です。地域プロジェクトを進める際には、社員だけで完結させるのではなく、地域で活動している団体や企業と一緒に取り組むことを大切にしています。外から来た人間が主導するのではなく、地域の人が主体的に動けるよう支援する立場を意識しています。

――コミュニケーションで意識していることはありますか。

一つの立場に偏らないことです。行政、企業、住民、それぞれ考え方が異なる中で、どこか一方に寄り過ぎてしまうと対話が成り立たなくなります。社内外問わず、さまざまな意見が出る場をつくり、多面的に物事を見る姿勢を大切にしています。

人が挑戦し続けられる社会を目指して

――今後、力を入れていきたい取り組みを教えてください。

現在取り組んでいるメンバーシップ型のプログラムを、より実践的なものに発展させていきたいと考えています。学ぶだけでなく、自ら行動し、仕事をつくっていける人を増やしたい。地域や社会を良くしたいという想いを、形にできる人が各地に増えることが理想です。

――社会の変化について、どのように感じていますか。

以前は、コミュニティづくりや関係性を仕事にすること自体が理解されにくい時代でした。しかし、ここ十数年でその分野に取り組む人は確実に増えています。これまで培ってきた知見を、そうした人たちに役立ててもらえるような形を模索していきたいですね。

仕事と向き合い続けるためのリフレッシュ

――お休みの日はどのように過ごされていますか。

旅行に出かけたり、スポーツを楽しんだりしています。仕事と切り替えて、純粋に楽しむ時間を意識的につくるようになりました。サッカーをはじめとしたスポーツ観戦も好きで、スタジアムに足を運ぶことがリフレッシュになっています。

――最後に、広石さんが大切にしている価値観を教えてください。

自分の都合だけで物事を進めないことを大切にしています。社会に良いことをしようとするほど、独りよがりになる危険もあるからこそ、人の声に耳を傾け、上から目線にならず関わりたい。これからも僕は、地域の人と企業、自治体をつなぎ、前向きに動ける関係性を積み重ねていきたいと思っています。

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