芸術をもっと身近に。日本と世界をつなぐ、バレエ留学支援の現在地
株式会社ティーシーアイ 代表取締役 中川 絵里菜 氏
日本の子どもたちの夢をかなえる一助になりたい。そんな思いから、バレエ留学の支援事業に取り組んでいる中川氏。ロシアを中心とした留学斡旋を手がけ、芸術を通じて日本と世界をつなぐ役割を担っています。現在は少人数体制で事業を運営しながら、将来的には現地での体制整備や協力関係の強化を見据えているとのこと。事業への思い、今後の展望、そして経営者として大切にしていることを伺いました。
目次
芸術で日本と世界をつなぐ、留学支援のかたち
——事業内容について教えてください。
弊社は、日本の学生や子どもたちの夢をかなえる事業として、芸術を通した留学斡旋を行っています。日本と世界をつなぐ架け橋になれればと思い、起業した事業です。
これまで延べ300人ほどの日本の学生たちを、ロシアの国立バレエ学校などへつないできました。以前はバレエにとどまらず、音楽業界や音楽大学、医学に携わる学生の入学支援も行っていた時期がありましたが、私が引き継いでからはクラシックバレエに特化しています。
——現在はどのような留学支援を行っているのでしょうか。
主にはロシアに特化したバレエ留学を斡旋しています。ロシア以外のヨーロッパ圏やカナダ圏についてもご相談があればお受けしていますが、これまで協力関係を築いてきたのがロシアなので、そこを中心に取り組んでいます。
留学には大きく二つの種類があり、経験値として学ぶ短期留学と、卒業資格や正式な資格の取得を目指す長期留学があります。資格取得を目指す場合は4年以上の留学が必要になることもありますが、厳しい世界なので、途中で帰国するケースも少なくありません。
こうした背景もあり、弊社のビジネスとしては分母が少ないんです。なので、ここからどう大きくしていくかというところではあります。
バレエ一筋の歩みが、留学事業へとつながった
——中川さんご自身のこれまでの歩みを教えてください。
私は別会社でバレエ教室の経営と指導もしています。
もともとこの留学事業は先代の代表が起業したもので、49年間に渡りさまざまな留学支援を手がけていました。
2024年にM&Aを経て私が引き継いだという経緯です。留学事業の代表になって今年で3年目になります。
——経営や事業を通じて大切にしていることは何ですか。
人は年を重ねると、世の中に何を残せるかを考えるものだと思います。私自身、娘もバレエ留学をしているので、後世に何を残せるのか、何を導いていけるのか、などは強く意識している部分です。だからこそ、この事業を通して、日本と世界の架け橋になるお手伝いをしていきたいと思っています。
ロシアでは映画館に行くような感覚で、気軽にバレエを見に行くご家庭も多いのですが、日本はそのように芸術が日常に馴染み込んでいません。
なので、芸術がもっと日常に浸透し、バレエに関わっていない方にも身近に感じてもらえる社会にしていきたいという思いがあります。
国家間のやり取りだからこその課題。安心感を持って解決していくために
——現在感じている課題は何でしょうか。
課題はいくつかあります。まず、ロシアとのやり取りという性質上、公に多くを語れない部分があります。国家間のやり取りでもあるため、契約や送金の問題は大きいですね。送金に関わる負担もありますし、現地での対応体制も重要です。
また、今は東京近郊に限ってオーディションや対策事業を行っていますが、今後、状況が落ち着けば全国規模で展開していきたいと考えています。そのためには、全国のバレエ界のネットワークを生かすことが必要ですし、現地に滞在できる人員の確保も欠かせません。
ロシアの各地域に連絡員のような存在がいれば、お金や入学に関する問題も、より安心感を持って解決していけると思っています。
国境を越えた文化交流と子どもたちの未来支援を目指す
——今後の展望についてお聞かせください。
49年間の信頼関係をもとに現在、ロシアの各バレエアカデミーとの協力協定を締結しました。
将来的には、東京だけでなくモスクワにも支社を出し、日本の学生や子どもたちが安心して学べる環境を整えることが目標です。
サウナと料理でリフレッシュ。自分を整えるための過ごし方
——リフレッシュ方法について教えてください。
サウナが好きです。あとは料理をしたりして、一般的なことではありますが、そうした時間がリフレッシュになっています。
——これから起業したい方や経営者の方へ、メッセージをお願いします。
まず諦めないこと、やり抜くこと、自分と周りの人の可能性を信じることです。私は自分ひとりの力でここまで来たとは思っていません。
周りの方に恵まれ、応援していただいたからこそ、今の二つの企業があると思っています。いい人がいるからこそ、いいお客様やいいスタッフが集まってくれる。周りの人の可能性を信じることは、企業においてとても大事なことだと思います。