「導入して終わり」の研修が、会社を危険にさらす――XBRAINが示す、AIで勝ち残る中小企業の条件

株式会社XBRAIN 代表取締役社長 江﨑 亮一氏

株式会社XBRAINの代表・江﨑亮一氏は、58歳でゼロからの起業という異例のキャリアを持ちながら、10年以上のデジタルマーケティング・インサイドセールス支援実績と、独自の「心理学×AI」アプローチを強みに支持を広げている人物です。本記事では、単なるツール研修では終わらない、業務に”定着させる”支援とは何か、その真髄を伺いました。

“研修して終わり”にしない支援体制差別化の明確化

――現在の事業内容について教えてください。

企業向けにデジタルマーケティング・営業力アップの研修がメインでしたが、現在は生成AI研修・コンサルティング・導入後のフォローアップ支援、そして2026年1月に立ち上げたAIコミュニティ「mirAI塾」事業が9割となりました。単にAIツールの操作を教えるのではなく、「この業務に、どう組み込むか」まで一緒に考え、成果につなげることを最大の特徴にしています。

研修は対面とeラーニングの両輪ですが、生成AIは数週間で機能が大きく変わる領域です。「3ヶ月前に習ったことが、もう古い情報」という事態が普通に起きています。だからこそ、リアルタイムで最新情報を届けられる対面形式を重視しています。

目指しているのは、社員がAIを”知識”としてではなく”戦力”として使いこなしている状態です。それが達成できてこそ、研修は本当の価値を発揮するものだと思っています。

実際に、総務省の調査によると、中小企業の約7割がAIを「知っているが使えていない」状態にあるとのことです。その一方で、業務に定着した企業では、1人あたり月20時間以上の業務削減につながった事例もありました。

そのため当社では、研修だけで終わらせるのではなく、1〜2カ月を目安に現場への定着を支援しています。研修後も継続的に伴走しながら、業務改善につながる活用方法を一緒に磨いていく方針です。

――他社にはない強みはどのような点にありますか。

「研修を実施して終わり」にしないことです。これは当社の絶対的な方針です。

AIは、知識として理解するだけでは意味がありません。実際の業務フローに組み込まれて初めて、コスト削減や生産性向上という経営成果に直結します。そのため、研修後は各企業の業務を細かくヒアリングし、「どの業務をAIに任せるべきか」「どこは人が判断すべき領域か」を部門ごとに整理しながら、実装まで伴走します。

営業・経理・企画・技術職など部門によって課題は全く異なります。「全社一律の研修」では、現場に定着しません。それが、多くの企業でAI投資が成果に結びつかない最大の理由だと考えています。

経営者の視点から見ると、AI研修は「実施すること」自体が目的ではなく、現場で活用され、具体的な成果につながってこそ本当の価値を発揮するものだと思います。知識の習得と実務への定着のあいだには一定の壁があるため、当社ではそのギャップを埋める伴走支援を重視しています。

継続学習が、AI活用の命綱コミュニティ効果

――AIコミュニティ「mirAI塾」についても詳しく聞かせてください。

「mirAI塾」は、研修後も継続的に最新のAI活用を学べる実践型コミュニティです。

生成AIの進化スピードは、異常なまでに速いのが現状です。今日の「最新事例」が数ヶ月後には「常識」になっている世界であり、日本はその情報や活用についてかなり遅れています。

「mirAI塾」では毎月セミナーを開催し、最新トレンドと実践事例を共有しています。質問掲示板での参加者同士の情報交換、過去アーカイブへのフルアクセスも提供しています。途中参加でも体系的に学べる設計になっているため、「自社だけでは情報が追いきれない」という中小企業・AI学習したい個人のリアルな課題を、コミュニティの力で補完できます。

孤独なAI活用では、どうしても行き詰まってしまいます。同じ課題に向き合う経営者・AIを学びたいという方が集まる場があることが、継続の鍵になっています。

58歳での起業。そして、AIとの出会い権威性・共感

――会社を立ち上げた経緯について教えてください。

前職では全国の企業向けソリューション提案を行う企業で、DX化・組織運営・営業効率化・人材不足課題に35年以上向き合ってきました。また、デジタルマーケティングやBtoB営業支援・インサイドセールスにも10年以上携わり、講演・企業研修も行ってきました。

しかし、60歳を目前に再雇用という選択肢が現実的になったとき、率直に「このまま組織に残るだけでよいのか」と考えたんです。現場で培ってきたノウハウを、もっと直接的に企業支援に活かしたい――その想いで、58歳で早期退職・独立を決断しました。

多くの経営者の方には理解いただけると思いますが、「自分の責任で勝負したい」という感覚は、組織にいる限り消えないものです。

――生成AI事業へ舵を切ったのはなぜですか。

独立当初は、デジタルマーケティングや営業力強化の支援を中心にしていましたが、背負っている大きな看板(ブランド・知名度)が外れたら、想定通りには進まない時期もありました。過去の取引先へPRをするも、ほとんど仕事にはなりませんでした。

そんな時、ちょうど良いタイミングで生成AI ChatGPTが登場しました。初めて触れたときに、「これはITツールではない。企業の働き方そのものを変える存在だ」と、直感的に確信し、インターネットやスマートフォン以上のインパクトを感じました。

もともと中小企業の人手不足・業務効率化課題を知り尽くしていたからこそ、「生成AIは、中小企業が抱える経営課題を根本から解決する最大の武器になる」と確信し、事業を生成AIにシフトしました。

AI時代に必要なのは「伝える力」と「心理学」希少な視点 

――AI時代に求められる力についてどのようにお考えですか。

「AIに仕事が奪われる」という議論がありますが、私の考えは逆です。AIを正しく使いこなすには、自分で考え、情報を整理し、生成AIに的確かつ正確に、そして具体的に伝える力が必要です。そのスキルがない場合には、AIは期待通りに動いてくれないでしょう。

少し指示の言葉を変えただけで、AIの回答が大きく変わることがあります。生成AIに「何を、どう伝えるか」という力は、部下のマネジメントにおいても、顧客との交渉においても、「伝える力」は共通して問われるものです。生成AIの普及は、本質的なコミュニケーション力の重要性を、むしろ引き上げています。

――AIと心理学の関係についても教えてください。

心理学とAIは、一見すると別分野に見えます。しかし、生成AIは「どう伝えるか」でアウトプットが劇的に変わるものです。言葉の設計・伝え方の構造を理解する力は、まさに心理学の知見が活きる領域です。

「いい感じにやっておいて」という指示では、AIも人も動けません。目的・条件・優先順位を整理して伝える力は、マネジメント・営業・顧客対応のすべてに通じます。AIを使いこなすことで、組織のコミュニケーション品質そのものが上がるというのが、私たちの研修で実感していることです。

今後の展望――中小企業の未来を支える存在へ

――今後の展望について教えてください。

人手不足と業務効率化の課題は、今後さらに深刻になるでしょう。「このままではいずれ立ち行かなくなる」という危機感を、経営者の方々は肌で感じているはずです。その解決策として、AIは非常に強力な武器になります。

ただし、「ただ導入するだけ」「chatに質問するだけ」では何も変わりません。実際の業務に落とし込み、現場に定着させ、成果として数字に出して初めて意味があるものです。

私たちは、その”最後の一歩”まで伴走できる存在でありたいと思っています。AI活用で本当に変わった中小企業を、一社でも多く増やすことが使命です。

――最後に、読者の方へメッセージをお願いします。

生成AIは特別な企業だけのものではなく、中小企業や個人でも十分に活用できる時代になっています。一方で、「何から始めればよいかわからない」「自社に合った活用方法が見つからない」と悩まれている方も多いのではないでしょうか。

リスキリング助成金(最大75%補助)などの制度を活用すれば、費用負担を抑えながら学びを進めることも可能です。

まずは現状の業務課題やお悩みをお聞かせください。私たちは、生成AIを活用した業務改善や人材育成を通じて、皆さまの挑戦をサポートしていきます。 

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