他社がやらないことしかやらない──独自技術で切り拓くヘアカラーの可能性

株式会社ミューズ研究所 代表取締役 奥山源一郎 氏 

独自の発想と技術力で、他社にない化粧品開発を続けてきた株式会社ミューズ研究所。ヘアカラー領域において独自の特許技術を持ち、美容業界で着実に支持を広げています。本記事では、事業の強みや開発思想、今後の展望について奥山源一郎氏に伺いました。

他社がやらない領域にこそ価値がある──独自技術で築いた現在地

――現在の事業内容と強みについて教えてください。

うちは創業して20年になりますが、最初から一貫している方針があります。それは「他所にあるものはやらない」ということです。既にあるものを真似しても意味がない。だったら最初からやらない方がいいという考えでやってきました。

具体的にはヘアカラーからスタートしています。一般的な化粧品は塗るだけですが、ヘアカラーは反応を使えるのが特徴です。1剤と2剤を混ぜて反応させることで、髪の上で変化が起きる。この“反応”をどう扱うかに工夫の余地があり、そこが我々の強みになっています。

――どのような独自性があるのでしょうか。

一番の特徴は、白髪だけでなく黒髪にもアプローチする点です。通常は白髪を染めることだけを考えますが、我々は黒髪も同時に明るくする。結果として全体が自然に明るく見えるんです。

さらに配合比率も一般的なものとは違います。通常は1対1ですが、うちは1対5。この配合によってアルカリが薄まり、痛みや刺激を抑えることができる。これらは特許として確立しています。

現在は約4200〜4300の美容室に導入されていて、延べ使用者は600万人ほど。大きな宣伝はしていませんが、現場の評価で広がってきました。

レッドオーシャンには行かない──経営の軸となる考え方

――「他社と同じことをしない」という考えはどこから来たのでしょうか。

単純に、レッドオーシャンに出ても仕方がないと思っているからです。他人と同じことをやるなら、会社を作る必要はない。そういう考えです。

だから独自性がある領域しかやらないし、それが競争優位性になる。真似されないというのは非常に大きいです。実際に、ヘアカラーという一見すると既存市場に見える領域でも、アプローチの仕方を変えれば全く別の価値が生まれる。その手応えは、これまでの積み重ねの中で強く感じています。

――現在も新しい開発は続けているのでしょうか。

もちろんやっています。例えば界面活性剤を使わない乳化技術や、紫外線吸収剤をカプセル化する技術などですね。

界面活性剤は「必要悪」と言われるものですが、なくせるならその方がいい。そういう発想で開発しています。紫外線対策も同じで、肌に直接触れない形で防御する仕組みを作っています。

どれも共通しているのは、「既存の常識をそのまま受け入れない」という点です。もっと良くできる余地があるなら、そこを突き詰める。それだけです。技術的に難しいことも多いですが、その分だけ実現できたときの価値は大きいと感じています。

最小限の組織で最大の価値を生む──独特な組織のあり方

――組織運営について教えてください。

正直に言うと、かなり変わった会社です。メンバーも多くはなく、研究者や昔の仲間が関わっている形ですね。給料が発生しないケースもありますが、それでも関わってくれる人がいる。

半分趣味のような感覚でやっている部分もありますが、それでも成立しているのは商品力があるからだと思っています。関わっている人たちも、お金だけで動いているわけではなく、面白さや価値を感じているから続いている。そういう意味では、一般的な組織とは少し違う関係性かもしれません。無理に縛ることもなく、それぞれが納得して関わっているからこそ、自然とバランスが取れているように感じています。

――販売体制も独特ですよね。

そうですね。基本はBtoBで、美容室への卸が中心です。ディーラーを使いますが、在庫を持たせない仕組みにしています。紹介してもらえればマージンは出す。ただしリスクは背負わせない。

さらに最近は美容室から直接注文が来るケースも増えています。結果として、直卸しに近い形になっていますね。美容師さんが実際に使って評価してくれることが前提なので、無理に売り込む必要もない。現場の声で広がる形を大切にしています。一度納得してもらえれば長く使ってもらえるので、その積み重ねが結果として広がりにつながっていると感じています。

商品力はある、あとは届け方──今後の展望と課題

――今後の展望について教えてください。

やはり、より多くの人に使ってもらいたいという思いはあります。いいものは広がるべきですし、それでベネフィットを感じてもらえればいい。

ただ、課題は明確で「どう広げるか」です。今まではほとんど宣伝をしてこなかったので、拡販の部分はこれからです。商品に自信があるからこそ、届け方次第でまだまだ可能性はあると感じています。実際に現場では評価されている手応えもあるので、それをどう外に伝えていくかが重要なポイントになってきます。

――具体的にはどのような方法を考えていますか。

ディーラーを活用する方法、SNSでの情報発信、そして美容室からの広がり。この3つが軸になります。

特にSNSは最近始めたばかりですが、徐々に反応は出てきています。ただ爆発的に広げていくというよりは、じわじわ浸透していくイメージですね。美容師さんが理解してくれれば、その先のお客様にも自然と広がる。そういう流れをつくることが重要だと考えています。現場での納得感が伴ってこそ、長く使われる商品になると思っています。

うちは成果主義なので、先にコストをかけるやり方はしません。成果が出た分だけ還元する。この考え方は今後も変えないつもりです。そのスタンスを守りながら、無理のない形で着実に広げていくことが、結果的に一番強い成長につながると考えています。

仕事そのものがリフレッシュになる──研究を楽しむ日々

――リフレッシュ方法について教えてください。

今はほぼ毎日研究所に来ています。仕事というより、半分趣味みたいなものですね。ここで実験をしたり、考えたりする時間がそのままリフレッシュになっています。

土日は電話も少ないので、研究所でお茶を飲みながらテレビを見たりして過ごしています。それがちょうどいい息抜きになる。無理にどこかへ出かけるよりも、この環境にいること自体が落ち着くんです。

体を動かすことも多いので、それも一つのリズムになっていますね。重いものは最近きつくなってきましたが、それも含めて日常です。人と関わりながら、手を動かしながら過ごす時間が、自然と気持ちを整えてくれる。仕事と生活が分かれていないというか、全部つながっている感覚で日々を過ごしています。

特別なことをしなくても、ここに来ていつも通りのことを続ける。それだけで十分に満たされていると感じます。研究を続けること自体が、自分にとっての楽しみであり原動力になっているのかもしれません。これからもこの環境の中で、自分のペースを大切にしながら研究と向き合い続けていきたいと思っています。

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