乳酸菌研究から生まれた独自価値――40年続く「本当に役立つ製品」への探求

株式会社ビオネ 代表取締役 井草 克一氏

1980年、ある研究者との出会いをきっかけに始まった乳酸菌研究。それがやがて製品化され、株式会社ビオネの創業へとつながりました。以来40年以上にわたり、「本当に体に必要なものとは何か」を追求し続けてきた同社。健康食品業界がまだ黎明期にあった時代から研究と開発を積み重ね、独自の製品づくりを続けています。本記事では、代表取締役の井草克一氏に、創業の経緯や事業への想い、経営観、そして今後の展望について伺いました。

乳酸菌研究から始まった事業の原点

――現在の事業内容について教えてください。

1980年に乳酸菌の発酵物質、いわゆる代謝産物を研究している先生と出会ったことがすべての始まりです。16種類の乳酸菌と酵母菌を培養し、その発酵物質だけを分離した無色透明の原液があり、そこにさまざまな健康効果があると教わりました。そこから腸内細菌、土壌菌、水の研究へと広げながら、「短期間で体の状態を改善できるものは何か」を追求していきました。

当初は小腸の善玉菌を中心としたものでしたが、そのままでは合わない方もいたため、試行錯誤を重ねることに。その中で、41年前にフラクトオリゴ糖という大腸のビフィズス菌を増やす素材に出会い、組み合わせることで製品化に成功しました。それが乳酸菌生産物質「ビオネ」です。

当時はまだサプリメントという概念自体が一般的ではなく、販売先も見つからなかったため、自ら販売を行う決断をしました。そこから法人化し、現在まで事業を継続しています。

――御社の強みはどのような点にありますか。

世の中にはさまざまな健康食品がありますが、実際に成果を実感できるものはそれほど多くありません。当社では、血液の状態や栄養バランスの観点から「本当に不足しているもの」を補うという考え方で食事指導や製品開発を行っています。製品開発も単に流行に乗るのではなく、実際に試し、検証し、結果が出るものだけを提供することを大切にしています。

創業の経緯と経営者としての原点

――会社設立に至った経緯を教えてください。

すべては乳酸菌生産物質との出会いから始まりました。この原料を製品として世に届けたいという思いから開発を進め、販売のために法人を設立したという流れです。

――経営者の道に進まれた背景について教えてください。

20代前半の頃に『バランスシートの見方』という本を購入したのが一つのきっかけです。当時は内容を理解できませんでしたが、将来役立つと考え読み続け、その他必要な勉強もしました。起業後は経理や確定申告もすべて自分で行い、現在でも大まかなチェックは自身で行っています。

その結果、会社全体の動きが把握できるため、トラブルが発生した際にも柔軟に対応できるようになりました。経営は特別なものではなく、日々の積み重ねと理解の深さが重要だと感じています。

経営判断と価値観に基づく意思決定

――経営判断の軸となる考え方について教えてください。

最も大事にしているのは「諦めないこと」です。どれだけ大きなトラブルがあっても、まずは粘り強く向き合うことが重要です。その上で、常に複数の選択肢を用意します。基本的には3つの方法に絞り、その中から最適なものを選びます。

さらに、その選択が本当に最善なのかを再度検討し、最終的な判断を下します。結果が思わしくなければ、原点に戻って再検討する。この繰り返しが、これまでの経営を支えてきました。

――会社としての理念や大切にしている想いは何でしょうか。

製品は、理解していただいて初めて価値が伝わるものです。そのため、どうすれば分かりやすく伝えられるかを常に考えています。販売先やユーザーに対して、正しく理解してもらうための工夫を重ねてきました。

また、ラジオ大阪『ドクトルかっちゃん笑顔で元気』のパーソナリティとして、健康や医療に関する情報を20年発信しています。こうした活動も含めて、社会に役立つ情報提供を行うことが一つの使命だと考えています。

社員の主体性を育む組織づくり

――社員との関わりで意識していることは何ですか。

マニュアルだけでは人は育ちません。個々の状況に応じてアドバイスを行いながら成長を促すことが重要です。同じ出来事でも判断基準は人によって異なるため、そのズレを丁寧に修正していく必要があります。

営業社員には日報を提出してもらい、その内容を確認しながら必要に応じて助言を行っています。業務の大部分は任せつつも、プラスアルファの指導を加えることで成長を支えているところです。

また、自然環境を大切にする姿勢にも共感しており、社会貢献の一環として今後も取り組みを広げていきたいと考えています。 

――採用や育成で重視するポイントを教えてください。

採用に関しては、1カ月働いての報酬が幾らではなく、これだけやって幾らを求める営業社員を求めています。販売先の定期訪問ですが、実績(売り上げ)が伸びれば、報酬(給与)は上がります。ただし、医療、健康(食事などの生活習慣)の勉強は必要です。

言われたことだけをこなすのではなく、その先を考えて行動できる人材が重要です。自ら考えることで、自身の不足にも気づくことができます。

また、「気がつく」ことも大切です。気づきがなければ配慮は生まれません。社内だけでなく、取引先やその先のユーザーまで含めて、多くの人に喜ばれる仕事をする姿勢を重視しています。

一週間、毎日何かを意識する事を社員には伝えています。これは自分自身にも当てはまります。

社会人の心得

(月)入社時の初心を、いつまでも持ち続ける

 初心を忘れた時、堕落が始まる
 不平、不満、陰口、無責任な噂を言わない
 他人にも自分自身にも嘘をつかない

(火)常に三通りの方針を考えて結果を想定する

 将来を想定し、今一度考えて、行動に移す
 人が動く前に、自ら行動すると未来が見える

(水)見て見ぬ振りをせず、苦労は寡ってする

 一番苦労した人が、一番幸せになる権利がある
 真の苦労を経験した人は、優しくなる

(木)人生に於ける失敗とは、努力を怠ること

 希望と勇気と努力は、困難にも勝る力なり
 興味と意欲を持ち、求め、学び、努力する

(金)今有ること全てに、心から感謝し徳を積む

 ご縁のある人みんなに、思いやりを持つ
 みんなに喜ばれる仕事をする

     歓びの伴わざるところ、利益生ぜず
  歓びを分かち合い、必ず夢を現実にする

  気が付く仕事、気の利く仕事を実践する 

本業への回帰と今後の展望

――今後の展望について教えてください。

過去にはクリニック(混合診療)や整体学校、IT事業など多角的に展開していましたが、すべてを一人で把握することの難しさを実感しています。また、人材育成や外部環境の変化も踏まえ、最終的には本業に集中する判断に至りました。

現在は創業当初の原点に立ち返り、製品開発に注力しています。新製品については、モニターによる検証を徹底し、「確かな成果」が確認できたものだけを市場に出す方針です。

原料や製造工程によって品質は大きく変わるため、その点も細かく研究しながら開発を進めています。年間数点ではありますが、着実に価値ある製品を世に届けていきたいと考えています。

――今後の課題への向き合い方を教えてください。

課題は常に存在しますが、基本的な考え方は変わりません。複数の選択肢を考え、最適な方法を選び、結果を見て改善する。このサイクルを繰り返すことが重要です。

人に寄り添う経営と社会への想い

――経営において譲れない信念は何ですか。

自己中心的な考え方では良い関係は築けません。人に寄り添い、相手を理解しながら仕事を進めることが大切です。その中で、楽しく仕事ができる環境を作ることが重要だと考えています。

――最後に、休日の過ごし方について教えてください。

現在はテニスと家庭菜園が主なリフレッシュ方法です。週に2日ほどテニスを楽しみ、土に触れる家庭菜園も大切な時間になっています。野菜を育てる過程や自然との触れ合いは、土壌菌や水の研究にも役立ちますし、心身の健康にも良い影響があると感じています。

こうした日常の積み重ねが、経営においても良い判断につながっているのかもしれません。

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