“遊び”の中に、本物の学びを育てる──ムックが貫く幼児教育の原点
有限会社ムック 代表 小出 史比古 氏
幼児教育を取り巻く環境が変化する中で、「子どもが主体的に育つ環境とは何か」を問い続けている有限会社ムック。幼児体育や野外教育活動を通じて、子どもたちの成長に長年向き合ってきました。本記事では、会社設立の背景や教育への想い、組織づくり、そしてこれからの展望について、小出史比古氏に伺いました。
目次
幼児教育の本質を追い続ける──ムックの現在地
――現在の事業内容について教えてください。
私は学校を卒業した後、都内の幼児体育の会社に入りました。7年ほど在籍し、管理職を務めた後に退職しています。その後、幼児体育の会社を立ち上げ、幼児体育に加えて野外教育活動の必要性を感じ、導入して運営してきました。
有限会社ムックとして出発し、現在に至っています。事業の軸は当時から変わっていません。幼児体育や野外活動を通じて、子どもたちの健やかな成長を支えていくことを大切にしています。
私たちの特徴は、『子ども』ではなく『幼児』として捉えている点です。また、『スポーツ』としてではなく、あくまで『教育』として向き合っているところが起点で異なります。
幼児期に何が伸び・育ち、どのように接してあげるべきかを専門的に捉えて、教育内容を組み立て指導にあたっています。その教育理念や姿勢を、幼稚園やこども園・保育園・その先生方や保護者の方々に理解いただく環境作りが私共の使命でもあります。
長くお付き合いが続く園も多く、幼児期から大学生まで長く付き合ってくれる子ども達も多くなりました。そして、ムックに入社して一緒に教育に携わってくれる循環も増えていることは、私たちの誇りになっています。
夢中になれた仕事が、自分の使命になった
――この道に進まれたきっかけについて教えてください。
もともと計画していたわけではありません。身近な人が幼児教育の世界に入ったことがきっかけで、自分も何となくこの仕事に関わるようになりました。
ただ、実際に入ってみたら、私自身が本当に夢中になっていきました。子どもたちと向き合う時間の中で次第に子ども達が成長していく姿に魅了され、もっともっと成長して欲しいと自分自身を成長させていく必要性を感じていきました。
経営をする中で大切にしているのは、「子どものために、自分に何ができるか」を考え、その成長を支える「幼稚園のために自分に何ができるか」を考え行動する。その姿勢を持ち続けることです。
私たちの場合、実際の職場は契約している私立幼稚園・私立小学校・社会福祉法人保育園・こども園になります。だからこそ、園全体がより良くなっていくよう健康領域をきっかけに一人一人が努力していくことを大切にしています。
また、子どもたちは日々成長していきます。同じように、私たちも今日より明日と成長し続けなければ向き合ってくれません。問題意識を持ち、自分をより良く見直しながら進んでいく、その繰り返し続けが、この仕事の面白さでもあります。
仕事というより、日々の使命として続けている感覚の方が近いかもしれません。
“本気で遊ぶ”ことが、教育につながっていく
――組織づくりで大切にしていることを教えてください。
私たちは、”幼児が主体的に興味を持ち、意欲的に学んでいける姿勢を育てたい”と考えています。そのためには、最終的に本気で全力で「遊び込む」ことがとても重要と考えてます。
ただ、大人はこれまでの学校教育の中で、「教える」「鍛える」という感覚を強く持っています。だからこそ、社内では教育について深く話し合う時間を大切にしていますし、自分たち自身が本気で遊ぶことも重視しています。
例えば社員旅行でも、体を使って本気で遊ぶ。アクティビティにも全力で挑戦します。自分たちが遊びの楽しさを実感していなければ、子どもたちを夢中にさせることはできないと考えてます。
採用でも同じ価値観を大事にしています。まず、子どもをしっかり受け入れられる人であること。そして、「簡単さや便利さ」だけを求めず、「難しさや面倒さ」が面白いと向き合える人であってほしいと思っています。
子どもと一緒に、自分自身も成長していきたいと強くと思えるかどうか、そこは非常に大きなポイントです。
さらに、「体を動かしながら頭も動かす」「頭を動かしながら体も動かす」ことができる人材であってほしいとも考えています。大人になるにつれて動かなくなる社会の流れには、強い危機感を持っています。
社会が変わっても、“教育の本質”は変わらない
――今後の展望について教えてください。
ありがたいことに、幼稚園や保育園から多くのお声がけをいただいています。ただ、急激に拡大していくつもりはありません。
限られた人材の中で、無理に広げてしまうと、本来大切にしたい教育の質が薄れてしまう。だからこそ、着実に、一歩ずつ進んでいきたいと考えています。
今の社会では、子どもの数が減り、教育環境も変化しています。保護者も忙しく、子どもとじっくり関わる時間が取りづらくなっていると感じます。
さらに、野外活動を行うにも、「危ない」「リスクがある」と言われる場面が増えました。宿泊施設や移動環境も変化し、地方では縮小傾向にある場所も少なくありません。
それでも、本来こうした体験は子どもたちにとって非常に大切なものだと思っています。だからこそ工夫を重ねながら、なんとかつないでいきたいんです。
便利さだけでは得られない経験がある。その価値を、これからも丁寧に届け続けていきたいですね。
子どもたちが自然の中で学ぶ機会は、これからさらに貴重になると思います。時代に合わせて形は変えても、教育の本質だけは守りながら、目の前の子どもたちと丁寧に向き合い続けていきたいですね。
自分自身も、自然の中で成長し続ける
――休日の過ごし方やリフレッシュ方法について教えてください。
やはり体を動かすことが中心になります。会社としても自然の中で活動することを大切にしているので、自分自身の生活にも自然とそうした習慣が根付いています。
スキーやスケートなどを楽しむ時も、ただ遊ぶだけではなく、講師の方から学びながら自分の技術を高めていくことを意識しています。できることが増えていく感覚は、今でも嬉しいですね。
日頃からジムにも通っていますし、常に体を動かせる状態を保つことは、自分にとってすごく大切なことです。
自然の中で体を使いながら、自分自身も成長していく。その感覚は、仕事にもつながっている気がします。これからも子どもたちと一緒に、教育の世界で自分自身も学び続けていきたいですね。