“これぞホンモノ”を後世へ――選択の自由を守るために続ける表彰活動

一般社団法人COREZO賞協会 代表理事 平野龍平氏

「これぞホンモノ」と呼べるものづくりや活動を続ける人々を表彰し、その存在を社会へ広く伝えていく――。一般社団法人COREZO賞協会は、利益追求を目的とせず、日本各地で受け継がれてきた文化や技術、それらを後世に引き継ごうとする人々の取り組みを発信する活動を続けています。今では希少となった木桶仕込みの醤油づくりをはじめ、独自の道を歩む人々を取材し、表彰してきた同協会。今回は、代表理事を務める平野龍平氏に、活動を始めた背景や理念、今後への思いについて伺いました。 

“選択の自由”を守るために始めた活動  

――協会を立ち上げた経緯について教えてください。

この活動は、利益を追求するために始めたものではありません。例えば、木桶で作られる醤油は、現在では全出荷量の1%にも満たないと言われています。そうした昔ながらの製法がなくなってしまうと、消費者の「選択の自由」が失われてしまうのではないかと感じたんです。

だからこそ、こうしたものづくりを続けている方々を表彰し、一般の方にも広く知っていただきたいという思いで、この事業を立ち上げました。

――協会の理念やビジョンについて教えてください。

ウェブサイトにも記載していますが、「これぞホンモノ」と呼べるものづくりや活動をされている方を見つけ出し、その方々を表彰することで、次の世代へ受け継いでいってほしいという思いがあります。

単に賞を贈るだけではなく、その方々の活動や価値を知ってもらうことが重要だと考えています。

300人を超える受賞者との出会い  

――活動を続ける中で、大切にしている価値観を教えてください。

これまで300数十名の方々を表彰してきました。分野は本当にさまざまで、木桶で醤油づくりを続けている方もいれば、90歳を過ぎてからソロデビューされたプロの歌手もいらっしゃいます。

年に1回、表彰式を開催していますが、受賞者の方々は同じような志を持っていることが多く、普通のサラリーマン生活では出会えないような方々と出会えたことが、この活動をやっていて良かったと思える部分です。

さらに、受賞者同士が意気投合し、新たな取り組みを始められるケースもあります。そうしたつながりが生まれていることも、この活動の大きな意義だと思っています。

――活動資金はどのように運営されてきたのでしょうか。

私は以前、企業で働いており、その報酬をもとにこの活動を続けてきました。表彰事業自体に賞金はありませんが、受賞者の活動現場へ必ず取材に行くことを基本にしているため、取材費などの費用はかかります。

当初は、定年延長も終えて退職を迎えたタイミングで活動を終了する予定でした。しかし、寄付をしてくださる個人の方や、協賛してくださる企業の方々が現れ、現在も活動を継続できています。

受賞者とともにつくる運営体制  

――現在の運営体制について教えてください。

現在は、受賞者の方々を中心に5名ほどで運営しています。皆さん、この活動の趣旨に賛同して役員を引き受けてくださっている方々です。

私も含め、報酬を受け取っている者はいません。全員がボランティアで活動していますので、一般的な経営とは少し異なる形かもしれません。

もともとは一般財団法人として運営していましたが、事業承継を考えた際に、基本財産が必要となる財団法人の形では継続が難しい部分もあると考えました。そのため、現在は一般社団法人へ移行しています。

――役員の方々とのコミュニケーションで大切にしていることはありますか。

役員を務めてくださっている皆さんは、長年表彰式にも参加してくださっている方々ばかりですので、活動の趣旨や運営について深く理解してくださっています。

ほぼ“阿吽の呼吸”で運営できている感覚ですね。長い時間を共有してきたからこそ成り立っている関係性だと思います。

今後は“受賞者が集う場”として継続を 

――今後の展望について教えてください。

私自身と同じ形で、この活動を継承できる方が現れるとは正直思っていません。ただ、これまで受賞された方々が年に1回集まるような“同窓会”のような場として、この活動が続いていけばいいのではないかと考えています。

現在の役員メンバーとも、その方向性については合意形成ができています。

また、今後継続していくためには、ウェブサイト運営やネット関連に強い方の力も必要だと感じています。今のサイトも独学で制作したものですが、自分一人でできる範囲には限界があります。

もし、ネット通販や新たな展開に関してノウハウを持った方が「やりたい」と手を挙げてくださるのであれば、ぜひ力を貸していただきたいと思っています。

出会いそのものが活動の原動力  

――これまで影響を受けたことについて教えてください。

特定の誰かというよりも、自分より長く生きてこられた方々の経験や知見には、いつも学ばせてもらっています。

また、COREZO賞を受賞してくださる皆さんは、それぞれの分野で第一人者と呼ばれるような方ばかりです。そうした方々の活動現場を見せていただき、直接お話を聞くことは、この活動を続ける上でも大きな力になっています。

――平野様にとって、この活動はどのような存在でしょうか。

私はすでに会社勤めを辞めていますので、毎日が日曜日のようなものです。ただ、この活動を続けていること自体が、生きがいであり、日々の張り合いになっています。

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