誰もが表現できる社会へ――Viresonが創作プラットフォームで育む創造の芽

株式会社Vireson 代表取締役 土屋 弘貴氏

株式会社Viresonは、創作プラットフォーム「POCOPLE」を開発・提供するスタートアップです。誰もが自分なりに表現できる社会を目指し、AIを活用しながら創作のハードルを下げる事業に取り組んでいます。本記事では、代表の土屋弘貴氏に、事業の特徴や創業の背景、今後の展望などについて詳しく伺いました。

誰もが“自分なりの表現”を楽しめる創作プラットフォーム

――現在の事業内容や特徴について教えてください。

当社では、「POCOPLE」という創作プラットフォームを開発しています。1つのアプリ内で絵・音楽・物語を創作でき、それらを組み合わせた作品も作ることができます。POCOPLEのように、複数のジャンルを横断して作品づくりを行えるサービスは少ないと考えています。

――他社にはない強みや特徴はどういった点にありますか。

知識や経験がなくても、自分で手を動かして簡単に創作できる点です。

生成AIで手早く作れる時代だからこそ、自分の手で試行錯誤し、想いを込めて表現することの価値が高まっています。

そこでPOCOPLEでは、AIはあくまで創作をサポートする役割にとどめ、ユーザー自身が手を動かしながら創作する設計にしています。90%以上のユーザー様から「自分らしさを表現できた」と回答いただいており、その実感こそがPOCOPLEの提供価値です。

表現を通じて生きがいを感じられる社会を目指して

――会社設立の背景についてお聞かせください。

起業前は、ヴァイオリン奏者としての活動と、ブリヂストンでの研究開発業務を両立していました。3歳から30年間ヴァイオリンを続けるなかで、芸術には、生きている意味を感じることができ、人と人とのつながりを生み出す力があると感じてきました。

児童養護施設での音楽教育やワークショップに携わるなかで、その思いは確信へと変わっていきました。子どもたちが自分の感覚で音や絵を表現したときに、ぱっと表情が変わる瞬間を何度も目にしました。表現することと、それを誰かに受け止めてもらうこと――この二つが揃ったときに、人は生きがいを感じると強く実感しました。

しかし実際には、1年に1回でも絵を描いたり演奏したりする人は13%と少ないのが実情です。「自分にできると思えない」「ギターなどをやってみたい気持ちはあるが、始め方がわからない」などが主な理由で、始めるハードルが高くなっています。

その一方で、生成AIの進化によって社会や働き方が大きく変化していくなかで、“人が自分なりに表現する価値”が高まると確信しています。

このような背景から、創作のハードルを下げ、より多くの人が表現を楽しめる環境をつくりたいと思い、当社を立ち上げました。

――起業を志したきっかけはありましたか。

2020年に、コロンビア・ビジネススクールの「VFA(Venture for All)プログラム」に参加したことが大きなきっかけです。経営の基礎を体系的に学びながらチームで事業プランを構築していく内容だったのですが、そのなかで事業を立ち上げる面白さを強く感じました。

もともと芸術・表現の領域で課題意識は持っていましたが、その経験を通じて、事業を立ち上げて取り組みたいという想いが強くなりました。そこから構想を具体化し、現在の事業につながっています。

――理念やビジョンにはどのような想いが込められていますか。

当社のミッションは、「すべての人の中にある創造の芽を、表現と共鳴で花開かせる」です。創造の芽は、生まれた時から誰の中にもあります。それを自分なりに表現し、人とつながることで花開かせていきたいという想いを込めています。

近い将来、誰もが日常的に表現を楽しみ、人とつながる社会をつくります。

多様性と誠実さを軸にした組織づくり

――現在の組織体制について教えてください。

専門性を持つ業務委託パートナーや学生メンバーとともに、少数精鋭で事業を進めています。創業期から「AIネイティブな会社」を掲げ、AIを活用し少人数で大きな成果を出せる組織を目指しています。

組織づくりで意識しているのは、メンバーそれぞれの個性や考え方にしっかり向き合うことです。そして、感謝を伝えることを心がけています。

――経営で大切にしている価値観はありますか。

まず大切にしているのは、「人が自分なりに表現できる社会をつくる」という軸です。その実現に向けて、多様な価値観を受け入れることを重視しています。得意分野は人それぞれ異なり、一人ひとりの違いを前提にチームづくりを行っています。

また、当社では「誠実に行動する」ことを重要なバリューとして掲げています。それに反する行動は、断固として受け入れません。

加えて、「常識を疑う」という視点も大切にしています。「本当にそれは実現できないのか」「前提自体を見直せないか」と問い続けることで、新しいサービスや価値を生み出すことができます。

――休日の過ごし方についてもお聞かせください。

現在はCEOとしての活動が中心ですが、演奏活動も続けています。ワークショップで演奏することもあり、仕事でもありますが、ヴァイオリンを弾くことがリフレッシュになっています。

また、小学生の頃から野球観戦が好きで、野球を見るのも気分転換になります。

BtoBとBtoCの両軸で広げる挑戦

――現在、注力されている取り組みはありますか。

現在は、企業研修と学校教育を中心としたBtoB事業に注力しております。

企業では「AI時代に問いを立てる力を高める研修」、教育機関では「探究学習プログラム」などを提供しています。

慶應義塾大学・山形大学社会共創デジタル学環をはじめとする教育機関や、FCコンビニ運営企業にも導入いただいております。受講者の95%以上が「内容に満足した」と回答しており、お客様の声をもとに継続的な改善を重ねています。 

また、BtoC向けサービスの開発も進行中です。今後は一般ユーザー向けサービスも展開し、より多くの人へ価値を届けていきたいと考えています。 

――最後に、今後の課題や展望について教えてください。

今後の課題は、BtoBとBtoCをどのように両立して伸ばしていくかということです。AIで業務効率を高めながら、注力する領域を常に見極めていくことが重要だと考えています。AI技術と市場環境の変化は速いため、社会の変化に対し柔軟に戦略を立てていきます。

そしてその先に見据えているのは、誰もが日々の暮らしのなかで表現し、互いに響き合う社会です。これからの時代に人間が生きていく支えとなる文化を、皆さんと共につくってまいります。

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