働いた事実を社会の価値へ――“人の価値”を可視化する新たなインフラへの挑戦

株式会社Standella 代表取締役 CEO 越智 慎二氏

「働いた事実を、社会へ」を掲げる株式会社Standellaは、企業の中に閉じていた“働いた実績”を可視化し、人の価値を社会につなげる仕組みづくりに取り組んでいます。その背景には、転職やキャリア形成の現場で感じてきたミスマッチへの問題意識がありました。本記事では、真面目に働く人が正しく評価される社会の実現を目指す越智氏に、事業への想いや創業の背景、そして描く未来について伺いました。

働いた事実を可視化し、ミスマッチのない社会を目指す

――現在の事業内容や、その根底にある考えを教えてください。

当社では、「働いた事実を社会へ」という考えのもと、人が日々積み重ねてきた仕事の実績を可視化するプロダクトを開発しています。

人の価値は企業名や肩書きだけで決まるものではなく、これまでどのように働き、どのような成果を積み重ねてきたかにあると考えています。しかし、その情報は企業の中に留まり、転職や異業種への挑戦の際に十分活かされていません。

私はこれまで多くのベンチャー企業に関わる中で、「本当にその人は何ができるのか」が正しく伝わらない場面を数多く見てきました。だからこそ、客観的な事実に基づいて人の価値を可視化し、企業と働く人の双方に役立つ仕組みを作りたいと考えています。

――「ミスマッチのない社会」とはどんな社会ですか?

採用の現場では、有名企業出身だから期待して採用したものの成果が出なかったり、逆に知名度の低い企業出身でも非常に優秀な人材というケースもあります。

こうしたミスマッチは、履歴書や面接だけでは本当の実力が見えにくいことが原因です。企業にとっても採用コストが発生しますし、働く側にとっても大きな負担になります。

その人が過去にどのような仕事を行い、どのような実績を積み重ねてきたのかを客観的に示せれば、採用や配置の判断精度は高まるはずです。そうした社会を実現したいという想いが、当社のミッションにつながっています。

――人材流動化が進む今、どのような価値を提供したいですか?

今は一つの会社に長く勤め続ける時代ではなくなっています。転職やキャリアチェンジが当たり前になったからこそ、その人自身の実績を持ち運べる仕組みが必要だと思っています。

また、産休や育休などでキャリアが一時的に中断した場合でも、それまでの経験や成果を正しく引き継げる環境があれば、再スタートもしやすくなります。働いた事実を個人の資産として残していくことに価値があると考えています。

ナンバー2志向だった経営者が起業を決意した理由

――起業に至った経緯を教えてください。

私自身は経理からキャリアをスタートし、その後ベンチャー企業でバックオフィス全般や経営企画、COOなどを経験してきました。

もともとは経営者を目指していたわけではなく、どちらかと言えば経営者を支えるナンバー2の立場が自分に合っていると思っていたんです。

ただ、前職でシステム開発に関わる中でAI技術の進化を目の当たりにし、個人でもシステム開発に挑戦できる環境が整ってきました。以前から考えていた「働くことの価値を可視化する仕組み」を実現できるタイミングだと感じ、起業を決意しました。

――経営判断の軸になっている価値観を教えてください。

基本的には実践することを大切にしています。

良い結果も悪い結果も必ず原因があって生まれるものだと考えているので、起きたことを他人のせいにはせず、自分の責任として受け止めることを意識しています。判断を下す際も、その考え方が軸になっています。

共感と挑戦を重視する組織づくり

――組織づくりで意識していることはありますか?

現在は3人体制で事業を進めており、システム基盤を担うエンジニアと、事業開発・営業を担当するメンバーがそれぞれ関わっています。今後は新たなメンバーの参画も予定しており、組織づくりを進めていく段階です。

創業間もない今は、事業やプロダクトの構想共有を特に重視しています。まだブラッシュアップを重ねている段階だからこそ、テキストだけでなくAIを活用したスライドなども用いながら考えを可視化しているところです。

方向性にズレが生じないよう対話を重ね、ビジョンへの共通理解を深めることを大切にしています。

――今後採用する際に一緒に働きたい人物像を教えてください。

まず、人を大切にできる人です。当社のプロダクトは働く人を対象としているため、相手の立場で物事を考えられることが重要だと思っています。

加えて、スタートアップだからこそ挑戦を楽しめる姿勢も欠かせません。先入観だけで判断せず、自分自身を見直しながら成長していける人と一緒に働きたいですね。

働く価値と金融をつなぐ未来への挑戦

――今後の展望を教えてください。

まずは、働く人の価値を可視化し、そのデータを企業の意思決定に活用してもらうことが目標です。

人材評価や配置、マーケティングなど、さまざまな場面で「このデータは有用だ」と認識していただける状態を作りたいと考えています。そうした活用が広がれば、当社のプロダクトやデータそのものの信頼性も高まっていくはずです。

――その実現に向けて、どのような課題がありますか?

最大の課題は、データそのものの信頼性をどのように担保するかです。特に個人に関する情報を扱う以上、「その評価や実績は本当に正しいのか」という疑問を持たれる可能性があります。

だからこそ、いきなり大きな構想を実現するのではなく、まずは物流やアパレル、宿泊などさまざまな業界でデータを活用していただき、その有効性を証明していくことが重要だと考えています。

地道に実績を積み重ねながら、会社とプロダクトの信用を高めていきたいですね。

――将来的な構想についても教えてください。

将来的には、企業の中に蓄積されている勤怠や成果、評価といった実績データを個人に帰属させ、その人の価値として活用できる世界を実現したいと考えています。

例えば、異業種へ転職する場合でも、これまで積み上げてきた実績を客観的に示せれば、新しい環境でも適切な評価を受けやすくなります。さらにその先には、働いた実績を信用として活用する仕組みも構想しています。

履歴書だけでは伝わらなかった価値を可視化し、真面目に働く人が正しく評価される社会を目指しています。

行動こそが未来を変える

――仕事以外でのリフレッシュ方法を教えてください。

考えが煮詰まった時は、音楽やオーディオブックを聴きながら歩いたり、車を運転したりして頭を整理します。何かをしながら考えることで、新しい発想が生まれることも少なくありません。

――経営において「これだけは譲れない」という想いはありますか?

まず行動することです。

成功するか失敗するかはやってみなければ分かりません。しかし、行動しなければ何も変わらないと思っています。

現状維持は決して前進ではありません。意見を発することも、学ぶことも、挑戦することもすべて行動です。結果が思い通りにならなかったとしても、その一歩には価値があると考えています。

だからこそ、当社も「働きたい」ではなく「働いた」という事実に価値を見出しています。実際に行動した人が正しく評価される社会を実現したいですね。

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