「ほめ育」を世界の教育へ――原邦雄氏が描く、ほめ合う社会の未来     

一般財団法人ほめ育財団 代表理事 原邦雄氏

一般財団法人ほめ育財団は、「ほめて育てる教育」を意味する「ほめ育」を軸に、企業研修や人材育成支援を展開しています。導入企業は800社を超え、海外にも活動を広げています。本記事では、代表理事の原邦雄氏に、創業の原点や世界展開への想い、今後のビジョンについて伺いました。        

現場で磨いた「ほめて育てる」教育メソッド       

――「ほめ育」を始めた原点を教えてください。
もともとは教育者になりたいという夢がありました。ただ、いきなり学校や幼児教育の現場に導入するのは難しいと感じ、まずは離職や部下育成に悩む企業向けに研修プログラムを開発しました。

船井総研でコンサルタントとして全国を回る中で、現場の人を輝かせなければ業績は上がらないと感じていました。その後、ラーメン店に住み込みで4年間入り、皿洗いや調理、店長業務まで現場を経験しました。ほめても叱っても動かないスタッフをどう育て、売上を上げるのか。その経験が「ほめ育」の土台になっています。

――使命だと感じるきっかけはありましたか。
上司から厳しい言葉を受け、体調を崩した経験があります。32歳の頃、半年間頭痛が止まらず、社会から離れた時期もありました。

私は家族や友人に支えられて戻ってこられましたが、心が潰れたままの人も多いのではないかと思いました。だからこそ、現場の人を輝かせたい。特に、上司に「ほめて育てる」考え方を伝える研修を立ち上げました。

世界に広げることは、最初から決めていた       

――創業初期から海外展開に力を入れた理由を教えてください。
日本には海外の教育を取り入れる動きはありますが、日本の教育を輸出しようとする教育者や企業が少ないと感じていました。私は最初から「ほめ育」を世界に広げると決めていました。

アメリカで起業し、現地で会社をつくり、アメリカ人やメキシコ人を雇用しながら年に6回ほど渡米しました。4〜5年通い、うまくいった事例もうまくいかなかった事例も日本での展開に活かしました。

――失敗や壁はありましたか。
成功の10倍も20倍も100倍も、うまくいかないことがありました。アメリカに行っても、最初は誰も応援してくれませんでしたし、世界教育サミットに行っても見向きもされませんでした。

ただ、私は失敗を「成功に近づいた」と捉えています。1回、2回、3回ではうまくいかない。だからこそ、早く、たくさん、圧縮して失敗しようと思っていました。15年間、一度もやめようと思ったことはありません。9歳の頃に感じた、世界が互いの粗探しをしていることへの違和感。その自分との約束が原動力です。

企業が導入する理由は、利益につながるから        

――800社以上に導入が広がった理由をどう見ていますか。
経営者の大きな課題は、資金繰りと人材育成です。「ほめ育」を導入すると、この両方に効果があります。人が育ち、採用募集費用が減り、生産性が上がる。私は「感情生産性」と呼んでいますが、ほめることを仕組みにすることで利益につながります。

ただ、何でもかんでもほめるわけではありません。顧客満足につながる行動、利益に直結する行動を、達成可能な目標に結びつけてほめていきます。心理学や上司の人間力も含めた、上司トレーニングが中心です。

――印象に残っている導入事例はありますか。
大阪のある会社では、「ほめ育」導入後、ある店舗でアルバイトがほとんど辞めなくなり、採用募集費用がかからなくなりました。導入していない店舗では採用に大きな費用がかかっていたため、利益面で大きな差が出ました。

ほめる基準をつくった上でほめることが大切です。単に雰囲気をよくするだけではなく、経営に直結する仕組みとして導入されているからこそ広がっています。

インドで単位付き授業へ、地球人に共通する教育 

――インドの大学で授業を行うことになった経緯を教えてください。
アメリカ、ロサンゼルスで広めた後、ボストンやニューヨーク、ハーバードやMITで講演し、世界一周チケットで「ほめ育」世界ツアーを始めました。カタールの世界教育サミット、ニューヨークの国連関係、スイスのダボス関連でのスピーチなどを継続してきた結果、インドから声がかかりました。

この7月からインドの大学の客員教授となり、600人の学生に対して15週にわたり英語で授業を行います。「ほめ育」を単位付きの授業にするという、当初のビジョンが一つ達成できたと感じています。

――日本とインドで教える内容に違いはありますか。
特に違いはありません。地球人に対して教えている感覚です。夢に向かって毎日着実にコツコツ行動すること。そして、行動した自分をしっかりほめること。これは国や年齢、業界を問わず共通していると思います。

人生一回きり、プラスの焦点で生きる 

――今後、「ほめ育」をどこまで広げていきたいですか。
国や地域の教育方針に入り、教科書になり、企業にもさらに広がっていくと思っています。代理店やフランチャイズ展開も始め、世界中に「ほめ育」を広めていきたいです。

私のビジョンは、地球人の教育方針、行動指針の一つに「私たちは全てほめ合うために存在する」という文言を入れることです。

――読者へのメッセージをお願いします。
人生は一回きりです。不安探しや粗探し、人のマイナス点ばかりを見ることもできますが、解釈は自由です。人の良いところを見て、自分が頑張ってきた過去を成長ありきで振り返り、未来に希望を持つ。プラスの焦点で生きることで、人生は大きく変わると確信しています。

せっかく生まれてきたのですから、思いきりこの地球を楽しむ。そんな人生を歩んでほしいです。

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