2050年にも、人間らしい豊かな暮らしを残すために
地球もわたしも元気になる合同会社 神馬 彩夏 氏
できる限りゴミを出さずに買い物体験をする場づくりを通じて、ゴミ問題や環境問題に対する行動変容を促している会社です。2021年4月に、エコとマルシェを組み合わせた「エコルシェ」を立ち上げ、毎月の開催を重ねながら、お客様や出店者とのつながりを広げてきました。小売店やキッチンカーの運営にも取り組み、現在はマルシェの企画運営とキッチンカー事業を主軸とする神馬氏に事業の内容や大切にしている価値観、経営の道に進んだ背景等について伺いました。
おいしい、楽しい、その先にある行動変容
——現在の事業内容を教えてください。
弊社は、ゴミをなるべく出さない買い物体験を通じて、一般市民の行動変容を促すことを目的に設立しました。きっかけは、2021年4月に始めた「エコルシェ」です。
子どもが生まれ、環境問題を意識する中で、ゴミを出さない商品を売るだけでなく、それを使って買い物できる場をつくりたいと考えました。毎月の開催を重ね、2023年4月に法人化。
クラウドファンディングを経て、規格外フルーツなどを使ったジューススタンドのキッチンカーも始めました。現在は、マルシェ運営とキッチンカー事業を中心に活動しています。
——会社として大切にしていることを教えてください。
会社として大事にしているのは、「2050年にも人間らしい豊かな暮らしを送れるようにする」ということです。環境問題に対して、楽しい体験や美味しいものを入り口にしながら、自然に行動が変わるきっかけをつくっていきたいと考えています。
会社員だった私が、自由に動ける働き方を求めた理由
——経営の道に進もうと思った背景を教えてください。
もともとは、高校を卒業した後に就職した会社員でした。就職して3年目くらいのタイミングで3.11が発生。私は神奈川に住んでいたので直接的な被災はありませんでしたが、現地から流れてくる映像やSNSで状況を見て、いても立ってもいられない日々が続きました。
ただ、会社員である以上、現地に行くためには会社を休まなければいけないし、動きづらさをすごく感じたのです。そのときに、もっと自由に動けるように、自由に働けるようになりたいと思いました。
会社員以外の働き方を知らないうえに、家族に経営者がいたわけでもなく、学校を出たら就職して、会社に言われるままに働くというところで止まっていました。でも3.11をきっかけに、もっと自由に動きたいと思い、個人で何かできないかと動き始めたことがきっかけです。
——経営で大切にしていることについて教えてください。
経営する上で大切にしているのは、自分たちが利益を生み出す行動をすることで、苦しむ人がいないかということです。安く商品を売る裏側で、誰かが苦しんでいるようなことは避けたいと思っています。
また、誰かの行動が変わるきっかけになるかどうかも大切にしているところです。お客様であっても、社員や仲間であっても同じです。みんなにとって、何かの気づきや変化のきっかけになるかどうかを意識しています。
必要に応じてチームを組み、得意を生かす
——組織運営やチームづくりで意識していることはありますか。
私たちはそこまで大きな組織ではなく、基本的には役員2人で運営しています。必要に応じてチームを組むことを意識しています。
ママ2人でやっている会社で、周りにもママさんが多いので、それぞれの生活状況や子どものこともあります。常にしっかりとコミットし続けるのが難しいことも少なくありません。だからこそ、必要に応じて、半年だけ走りきるチームをつくるような形を取っています。
そして、チームをつくったときには、私たちが大事にしたいことを何度も伝えるようにしています。チーム内でも、特定の人だけが苦しんでいないか、ちゃんとそれぞれの得意を生かせているか、やりたくないことや得意ではないことを無理してやろうとしていないかは意識して見ています。
行動変容のマーケットをつくる
——今後、挑戦していきたいことを教えてください。
行動変容のプラットフォームとしてやっていこうと軸が定まったのは、本当につい最近のことです。ここから改めて、行動変容のマーケットのようなものをつくっていきたいと考えています。
一人ひとりの意識が変わることが、環境問題に対しては特に一番の近道だと思っています。環境問題に携わっている方は、皆さんおそらくそのことを感じているのではないでしょうか。だからこそ、そうした人たちに必要とされるマーケットをこれからつくっていきたいです。
——課題として感じていることを教えてください。
事業を広げていくには、ある程度定着してくれる人、仲間としてコミットしてくれる人の採用が必要になると思っています。ただ、人を採用するからには、安定した収入や会社としての利益も必要です。人を安心して雇えるような事業収入を、きちんと増やしていかなければいけないと感じています。
マーケットをつくることは、自分たちだけで盛り上がってできるものではありません。関連会社、関連企業さんも増やしながら、仲間意識を持って進めていきたいです。
日常から離れ、移動することで切り替える
——影響を受けた方について教えてください。
影響を受けた方でいうと、CRAZY WEDDINGの創業者である山川咲さんです。山川さんが話されていた、「人は大きな変化に対してはすごく怖がるけれど、日々失うものに対してはすごく鈍感である」という言葉が、今の私の活動の原点にもなっています。
日々少しずつ消耗することは当たり前になってしまう。でも、その消耗をなくすため、断ち切るために大きな変化を起こそうとすると、すごく怖い。その話が、とても印象に残っています。
また、10-FEETというバンドのボーカルのTAKUMAさんにも影響を受けています。みんな仲良く、優しく、生きていればいいことがあるといったことを伝えてくれる方で、未来思考を感じます。仲間もいるし、辛くなったら自分たちがついているという寄り添い方に、私自身も影響を受けています。
——リフレッシュ方法について教えてください。
リフレッシュ方法は、移動することです。あえて旅とは言わないのですが、移動することが自分の中でリフレッシュになっています。車を運転することでも、電車でも、飛行機でもいいんです。日常のルーティンから離れることを意識しています。
行き詰まったときやリフレッシュしたいときには、普段生活している場所から少し離れて、何もしない時間をつくります。以前も北海道に2泊3日で行きましたが、そのほとんどをカフェで過ごしました。そうした時間が、自分にとって良い切り替えになっています。
これからも、楽しい体験や美味しいものを入り口にしながら、一人ひとりの行動が少しずつ変わっていく場をつくっていきたいです。2050年にも人間らしい豊かな暮らしができるように、そのためのマーケットと仲間を、これから育てていきます。