十勝の魅力と人の豊かさを未来へつなぐ――追川正伸氏が描くウェルビーイングな地域づくり
一般社団法人十勝プラス 代表 及川 雅敦氏
北海道・十勝の豊かな自然と人の魅力に惹かれ、この地に根を下ろした及川雅敦氏。地域おこし協力隊として移住したことをきっかけに独立・起業し、現在は観光事業や教育事業などを通じて十勝の魅力を発信しています。今回は、「関わる人の人生を豊かにしたい」という想いを軸に、地域と人、人と人をつなぐ活動を続ける及川氏に、起業の経緯や経営哲学、今後の展望について伺いました。
十勝との出会いが人生を変えた
――起業された経緯について教えてください。
もともとは地域おこし協力隊として北海道へ移住したことが始まりでした。任期が決まっている制度だったため、その後の進路を考える必要がありましたが、この土地で暮らし続けたいという思いが強くありました。
就職という選択肢もありましたが、自分自身の考えやこだわりを大切にしながら挑戦したいという気持ちがあり、独立という道を選びました。
――北海道を選ばれた理由は何だったのでしょうか。
以前は東京で自動車メーカーに勤め、海外営業を担当していました。しかし、大きな組織の中で働くなかで、自分らしい働き方について考えるようになりました。
都会には刺激がありますが、自然に囲まれた環境で、もっとゆったりと暮らしたいという思いが強くなっていったんです。
そんな時に北海道をレンタカーで一周する機会がありました。雄大な自然や豊かな食、人の温かさに触れ、「ここで暮らしたい」と感じたことが移住のきっかけになりました。
「明日の十勝を美しく」――すべての事業に共通する想い
――現在の事業について教えてください。
十勝という地域が本当に好きなんです。東京から縁もゆかりもない土地へ移住してきましたが、多くの方に支えていただきました。自然の豊かさや食の魅力、温泉やサウナなど、自分自身がこの地域からたくさんの恩恵を受けています。
だからこそ、その魅力をより多くの方に知っていただきたいという思いがあります。その実現のために、観光事業や教育事業などに取り組んでいます。
――理念やビジョンに込めた想いをお聞かせください。
「明日の十勝を美しく」というスローガンを掲げています。そして近年は、十勝に関わる人たちの人生をより豊かにしたいという想いを強く持つようになりました。
地域の方だけでなく、十勝を訪れる方や関わる方すべてが、より良い人生や暮らしを実現できるようなお手伝いをしたい。言葉にすると「ウェルビーイング」という考え方になると思います。
さまざまな事業を展開していますが、その根底にあるのは常にその想いです。
コロナ禍での起業と支えになった地域のつながり
――独立当時のお気持ちを教えてください。
会社を設立したのは2022年で、ちょうどコロナ禍の最中でした。しかも主力事業は観光分野です。インバウンド需要も止まっていた時期だったため、期待よりも不安の方が大きかったですね。
それでも、地域で築いてきた人とのつながりがありました。これまで出会った方々とのご縁や信頼関係を活かしながら、何とか前へ進もうと思いました。
振り返ると、ターニングポイントがあったというよりも、とにかく目の前のことに全力で取り組み続けてきたという感覚です。
少しずつお客様も増え、仕事の幅も広がってきました。地道に積み重ねてきたことが今につながっているのだと思います。
人を大切にすることが経営の原点
――経営で大切にしている価値観を教えてください。
誠実であることです。お客様から対価をいただく以上、それ以上の価値を提供したいと思っています。一方だけが得をするのではなく、関わるすべての人にとって良い関係を築くことが理想です。
結果として、それが信頼になり、事業の成長につながると考えています。
――コミュニケーションで意識していることはありますか。
対話を大切にしています。相手が何を考え、どのような状況に置かれているのか。その背景まで理解しようとすることを意識しています。
何気ない雑談から相手の人柄が見えてくることもありますし、信頼関係を築くうえでも大切な時間だと思っています。
また、地域には農業をはじめ季節によって忙しさが大きく変わる仕事もあります。相手の状況を想像しながら、負担にならない関わり方を心掛けています。
十勝から広がる未来の可能性
――今後の展望について教えてください。
目指しているのは、十勝を通じて豊かな人生を実現する人を増やしていくことです。
観光ツアーを中心に、より多くの方に地域の魅力を体験していただける機会を増やしたいと考えています。
また、現在は一人で担っている業務も多いため、外部パートナーとの連携を進めながら、より良い体制づくりにも取り組んでいきたいと思っています。
大きな目標を掲げるというよりは、これまでと同じように地に足をつけて、一歩ずつ積み重ねていくことが大切だと考えています。
――最後に、これからも大切にしていきたいことを教えてください。
やはり「人を大切にすること」です。お客様も、地域の方々も、一緒に仕事をする仲間も、すべては人とのつながりの中で成り立っています。
どれだけ事業が大きくなったとしても、その姿勢だけは変えずに持ち続けていきたいと思っています。