子どもの想いや、企業の理念も“形”にする――世界観を大切に歩み続けるダイワ青陽社
有限会社ダイワ青陽社 代表取締役 岡田 馨太朗氏
有限会社ダイワ青陽社は、印刷事業や看板制作、Tシャツプリントを手掛ける会社です。「お客様の世界観を形にする」という理念のもと、企業の想いや家族の大切な記憶に寄り添ったものづくりを実践しています。本記事では、3代目である現代表の岡田馨太朗氏に、事業へのこだわりや経営の考え方、組織づくり、そして今後の展望などについて詳しく伺いました。
目次
お客様の世界観を形にする――ダイワ青陽社ならではのものづくり
――現在の事業内容について教えてください。
当社では、印刷事業や看板制作、Tシャツプリントを手掛けています。それぞれ異なる分野ではありますが、共通して大切にしているのは、お客様に寄り添う姿勢です。単にご依頼いただいたものを形にするのではなく、お客様が本当に表現したい想いや価値観まで汲み取り、その世界観を形として届けることを意識しています。
――他社にはない強みはどのような点でしょうか。
お客様の想いや背景にあるストーリーを汲み取り、単なる印刷や制作にとどまらない価値を提案できる点です。例えばTシャツプリントでは、お子さんが描いた絵や落書きをそのまま再現するのではなく、当社のデザイナーが新たな視点を加えながら再デザインし、大人でも自然に身に着けられるデザインへと仕上げています。
私たちが大切にしているのは、「つくること」だけではなく、その先でどのように親しんでいただけるかという点です。何気なく描いた一枚の絵も、ご家族にとってはかけがえのない成長の記録になります。それを日常のなかで楽しめる形へと変えることで、しまい込まれていた思い出にも新たな価値が生まれると考えています。
――理念やビジョンに込めている想いを教えてください。
印刷や看板、Tシャツづくりは、制作者のデザインの傾向や好みに左右されやすい仕事です。しかし当社では、つくり手の価値観を押し付けるのではなく、お客様の理念や想い、その背景にある世界観をていねいに受け止め、それを形として表現することを何より大切にしています。
また、社員が幸せに働ける会社であることも重要なテーマです。社員一人ひとりの人生が充実してこそ、お客様によりよい良い価値を届けられると考えているため、子どもの体調不良や運動会など家庭の事情がある際には、遠慮なく休みを取得してもらうようにしています。
受け継いだ歴史を礎に、お客様の世界観に向き合い続ける
――経営者の道に進まれた経緯を教えてください。
当社は、祖母が創業した会社です。創業当初は青焼き図面の事業からスタートし、時代の変化に合わせて柔軟に事業を展開してきました。母の代においても、女性経営者がまだ少ないなか、多くの苦労を重ねながら会社を守り続けてきたと感じています。
私はもともと東京で仕事に就いていましたが、後継者がいなかったことから18年前に地元へ戻り、事業を引き継ぐ決断をしました。創業から受け継がれてきた「お客様の世界観を形にする姿勢」を大切にしながら、変化を恐れず新たな価値を生み出していくことが、3代目としての役割だと考えています。
――経営判断の軸となっている価値観はありますか。
一貫しているのは、「お客様の世界観を形にできているか」という点です。価格や効率だけを優先するのではなく、その選択がお客様の想いや理念、実現したいイメージにきちんと寄り添えているかどうかを常に意識しながら意思決定を行っています。
もう一つ大切にしているのが、社員が力を発揮しやすい環境を整えることです。細かく管理するのではなく、それぞれの考えや個性を尊重しながら自分らしく力を発揮できる組織でありたいと思っています。
対話を重ね、心を一つに――朝礼から始まる組織づくり
――社内コミュニケーションで大切にしていることを教えてください。
現在は毎朝朝礼を行い、業務連絡だけでなく、教養に関する文章を全員で読んで感想を共有する時間を設けています。単なる情報共有の場ではなく、お互いの考え方や価値観を理解する機会として大切にしている取り組みです。
当初は自分の意見を伝えることに戸惑う社員もいましたが、続けるうちに「この人はこういう考えを持っているのか」と新たな発見が生まれるようになりました。その場で考えをまとめて発信する習慣も身につき、コミュニケーション力や判断力の向上にもつながっていると感じており、組織として同じ方向を向くうえでも、非常に有意義な時間になっています。
――どのような人と一緒に働きたいと考えていますか。
採用において最も重視しているのは、相手の立場に立って物事を考えられるかどうかです。お客様の想いを形にする仕事だからこそ、まずは相手の気持ちや背景を理解しようとする姿勢が欠かせないと考えています。
もちろん、デザイン力や技術力、営業力といった専門性も重要です。しかし、それ以上に大切なのは、周囲への配慮を持ちながら協力して仕事を進められることです。お客様や仲間と信頼関係を築き、同じ方向を向いて価値を生み出していける人と、これからも一緒に働いていきたいと思っています。
新たな技術を取り入れ、次の価値創造へ挑む
――今後取り組んでいきたい挑戦について教えてください。
印刷や看板の分野は市場が成熟期に入りつつありますが、そのなかでも新たな付加価値を生み出していくことが重要だと考えています。特にTシャツプリントは表現の幅が広がっており、熱によって発泡し立体感を演出できる技術など、新しい加工技術も登場しています。こうした技術を積極的に取り入れ、お客様にこれまで以上に魅力的な提案を行っていきたいです。
また、看板事業ではデジタルサイネージの可能性にも注目しています。LEDビジョンを活用した動画広告は、従来の静的な看板とは異なる訴求力を持っています。市場の変化や技術の進化を捉えながら、新しい表現手法を取り入れ、お客様の課題解決につながる価値提供を続けていきたいと考えています。
――現在向き合っている課題はありますか。
現在の課題は、権限移譲と人材育成のバランスです。
これまでは「自分で対応したほうが早い」「負担をかけないほうがよい」と考え、社員に任せるべき業務まで抱え込んでしまう場面がありました。しかし、それでは社員の成長機会を十分に創出できず、組織全体の力を高めることにもつながりません。個人に依存する体制ではなく、一人ひとりが経験を積みながら主体的に役割を担える組織へと進化していくことが必要だと感じています。
また、社員への権限移譲を進めながら、次世代を担う人材の育成にも取り組んでいるところです。
――最後に、読者へのメッセージをお願いします。
私たちは、印刷や看板、Tシャツ制作を通じて、お客様一人ひとりの世界観を形にすることを大切にしています。特に、お子さんの絵やご家族との思い出など、その人にしかない大切な記憶を、日常のなかで活かせる形として残していきたいと考えています。
制作物は、単なる「モノ」ではなく、人の想いや記憶をつなぐ存在です。これからもお客様に寄り添いながら、その方らしさを表現できるものづくりを続けてまいります。