デジタル資産の承継を支える――誠実さを軸に切り拓く新たな相続サービス
株式会社GOODREI 代表取締役 末吉謙佑氏
近年、インターネットバンクやFX、仮想通貨など、デジタル上で管理される資産が増えています。一方で、それらの存在を家族が把握できず、相続時に困るケースも少なくありません。株式会社GOODREIは、フォレンジック技術を活用し、故人のデジタル資産の調査や承継支援を行う企業です。創業以来、時代の変化に合わせて事業を転換しながら、新たな社会課題の解決に取り組んできました。今回は代表取締役の末吉謙佑氏に、事業の特徴や経営への考え方、今後の展望について伺いました。
時代の変化に合わせて進化してきた事業
――貴社の立ち上げに至った経緯を教えてください。
株式会社GOODREIは、2019年4月に創業しました。当初は「アスコスメ」という形で化粧品の販売事業を展開していましたが、創業後まもなく新型コロナウイルス感染症の影響を受け、化粧品市場の停滞や容器の納期遅延などが発生しました。そのため、事業継続が難しいと判断し、新たな事業として仮想通貨のマイニング事業へ転換しました。
しかし、その後も環境変化により事業の見直しを行い、フォレンジック技術を活用した事業へと移行しました。
現在は、その技術を活かし、相続に関する課題解決を支援しています。
具体的には亡くなった方のパソコンやスマートフォンを解析して、インターネットバンクやFX口座、仮想通貨などのデジタル資産を特定し、ご遺族へ相続財産として引き継ぐサポートを行っています。
――現在の事業の特徴や強みについて教えてください。
フォレンジックを手掛ける企業は数多くありますが、当社は相続分野に特化している点が特徴です。一般的な不正アクセス調査とは異なり、相続に関する知識とフォレンジック技術を組み合わせてサービスを提供しています。
相続対象となる資産は、インターネットバンクやFX、仮想通貨だけではありません。海外の銀行口座や海外証券、プライベートバンク、海外不動産など、多岐にわたります。こうした資産を調査・発見するためには専門的な知識が必要であり、その分野に強みを持っていることが当社の大きな特徴です。
誠実さと信頼を大切にした経営
――会社として大切にしている理念やビジョンについて教えてください。
当社では「デジタル遺品整理」と、終活支援に関する事業を展開しています。
どちらのサービスにおいても最も大切にしているのは、ご依頼主様に対して誠実に対応することです。
相続や終活は、ご本人やご家族にとって非常に重要なテーマです。そのため、信頼して任せていただける仕事を行うことを常に意識しています。
また、「デジタル終活」には、自分が亡くなった後に遺された家族を困らせないための準備という側面がある一方で、スマートフォンの中には本人が見られたくない情報が含まれている場合もあります。
そのため、プライバシーを守りながら、遺族への円滑な資産承継を実現することを目標としています。
――経営者の道に進まれたきっかけを教えてください。
新卒で証券会社に入社したことが、経営者としての原点でした。当時はリーマンショック後で景気が良い状況ではなく、会社の先輩がリストラされる場面も目にしました。
そうした経験を通じて、自分自身で事業をつくり、経営していきたいという思いが強くなりました。その後独立し、貿易事業などを立ち上げ、経営者として現在に至るまで約15年にわたり事業を続けています。
現在もその貿易の会社を主軸として運営しながら、新たな法人として立ち上げた株式会社GOODREIなど、新規事業の創出にも取り組んでいます。
――経営判断の軸になっている価値観を教えてください。
証券会社時代の経験が今の考え方に大きく影響しています。株式市場では、多くの人が注目している時ではなく、誰も注目していない時に投資することで大きな成果につながることがあります。
そのため、「みんながやらないことをやる」という考え方を大切にしています。また、大きな市場で競争するのではなく、ニッチな分野でナンバーワンを目指すことを信条として経営しています。
人との信頼関係を重視した組織づくり
――組織運営や社員との関係で大切にしていることは何でしょうか。
採用については求人だけでなく、自ら声をかけて仲間になってもらうケースもあります。会社に入ってくれた人の人生を預かる立場として、その人が長く働きたいと思える環境づくりを意識しています。
そのため、給与だけでなく待遇面を含めて、働きやすい会社にしていきたいと考えながら経営を行っています。
――一緒に働きたいと思う人物像について教えてください。
最も重視しているのは誠実さです。
自分自身が一緒に働きたいと思えること、そして信頼できる人物であることが重要です。この人なら裏切らないと感じられる相手とは、ぜひ一緒に仕事をしたいと思います。
デジタル終活の認知拡大に向けて
――今後取り組んでいきたい挑戦について教えてください。
現在、「デジタル遺品整理・デジタル終活」という分野は、まだ社会的な認知度が十分に高いとは言えません。そのため、まずはこの分野の存在や重要性を広く知ってもらうことが今後の大きなテーマです。
その一環として、社員と共著で書籍を出版しています。1冊目を出版した後、さらに2冊目も刊行しました。今後も継続的に書籍の出版や情報発信を行いながら、「デジタル遺品整理・デジタル終活」の認知向上に取り組んでいきたいと考えています。
農業と狩猟で心身をリフレッシュ
――休日の過ごし方やリフレッシュ方法を教えてください。
新たに農業法人を立ち上げ、農業にも取り組んでいます。そのため、休日は農業に関わる時間を過ごすことが多くなっています。
また、農地周辺には鹿などの害獣もいるため、狩猟にも取り組み始めました。普段はデスクワークが中心だからこそ、外で土に触れたり自然の中で活動したりすることが良い気分転換になっています。
農業や狩猟を通じてリフレッシュしながら、新たな事業や挑戦にも前向きに取り組んでいます。