低価格・高品質・短時間を両立し、社会人の「不」をなくす。Serenag合同会社が描く、穏やかな生活のための事業づくり
Serenagi合同会社 代表 花田 京氏
Serenagi合同会社は、社会人の生活にある「不」を改善することを起点に、複数の事業を立ち上げていく方針を掲げています。現在は、眉毛サロンの運営と、その店舗ビジネスを支える予約プラットフォームの開発に取り組んでいます。価格、品質、時間のバランスを見直し、利用者の満足度を保ちながら、利用しやすいサービスを形にする。その背景にある、銀行やコンサルティング会社で培った経験と、「全体最適」を重視する経営観について伺いました。
社会人の生活を穏やかにする、二つの事業
――会社を立ち上げた経緯を教えてください。
Serenagi合同会社は、社会人の生活にある「不」を改善することを目的に、さまざまな事業を連続的に立ち上げていく会社です。現在は、美容業界における店舗ビジネスとして眉毛サロンを運営し、その事業を支える予約プラットフォームも自社で開発しています。
立ち上げの背景には、私自身が長く会社員としてサービスを利用する側にいた経験があります。世の中のサービスは画一的なものも多く、必ずしも満足度が高いとは感じられませんでした。
また、銀行員時代には身だしなみを整えるよう求められる一方で、実際の対応は個人に委ねられていました。企業が福利厚生のような形で、社会人の生活を支えるサービスがあってもよいのではないか。そう考えたことが、事業を始める原点になっています。
――眉毛サロンの特徴・強みは何でしょうか。
最も大きな強みは価格競争力です。一般的に5,000円から6,000円ほどかかる眉毛サロンのサービスを、現在は2,000円で提供しています。ただし、単に価格を下げたのではありません。
高品質、短時間、低価格を同時に実現するモデルを構築しており、満足度を変えず、価格を抑えている点に競争力があります。
会社名の「Serenagi」にも、事業への思いを込めています。「セレナ」はラテン語系の語源で「穏やか」を意味し、「ナギ」は日本語の「凪」です。
社会人がストレスを抱えず、穏やかに生活できるよう、利用者の視点で複数のサービスをつくり、それらを一気通貫でつなげていきたいと考えています。将来的には、さまざまなサービスがスーパーアプリのようにつながる世界を目指しています。
支える側から、事業をつくる側へ
――経営の道に進んだきっかけについて教えてください。
父が起業家で、その会社を事業承継することをきっかけに独立しました。私自身は三井住友銀行に約10年間勤務し、その後はデロイトでM&Aファイナンスや戦略に携わってきました。
これまでは、経営者を支えたり、事業立案や事業強化を支援したりする立場でしたが、次第に自分自身で事業をつくることにも関心を持つようになりました。支援する側ではなく、自ら事業を形にしていく立場に挑戦したいと考え、経営の道に進みました。
――経営判断で大切にしている価値観は何ですか。
最も大切にしているのは「全体最適」です。私たちのビジネスでは、「時間」「空間」「人」のバランスが取れている状態を重視しています。
美容サロンでは、繁忙期に売上をつくる一方、閑散期には人や空間が余り、その分が価格に反映される構造があります。
そこで、平日でも休日の夕方でも稼働率が大きく変わらない状態をつくり、時間、人、空間を余らせない運営を目指しています。
大量消費、大量生産ではなく、すでにあるものをいかに生かすか。その考え方を、店舗運営や価格設計の軸にしています。
また、事業づくりで影響を受けたのは、クレイトン・クリステンセンの『イノベーションのジレンマ』と『ジョブ理論』の2冊です。低価格のサービスが成長し、既存の上位モデルに対して競争力を持つという考え方は、現在の事業モデルにもつながっています。
さらに、お客様が本当に求めていることを先に定め、そこから必要な業務や組織を逆算しています。
低価格、高品質、短時間という提供価値を実現するために、本社機能のスリム化など、既存のビジネスモデルの固定概念にとらわれない発想で事業を進めています。
自主性を育て、店舗とシステムを広げる
――組織運営や社員との関係で、意識していることを教えてください。
採用と教育は、私自身が担当すると決めています。採用では、明るく真面目で、連絡が早く、約束を守ることも重視しています。
私たちのサービスは、お客様にも時間を守っていただくことで成り立つモデルです。そのため、働く側も時間に対して誠実でなければ、サービスそのものが崩れてしまいます。
また、社員一人ひとりが自主性と責任感を持てる環境づくりを重視しています。決められたやり方を一方的に押し付けるのは好ましくないと考えているからです。必要な環境を用意したうえで、現場で考え、判断することを任せています。
通常の業務だけでは得られない経験も、積極的に提供しています。2店舗目の候補物件をスタイリストと一緒に内覧し、内装を考えるなど、店舗開発にも関わってもらっている状況です。
ビジネス交流会への出展時には、スタッフにも同行してもらい、これまで接点のなかった世界に触れる機会をつくっています。将来的な店舗拡大を見据え、エリアマネジメントや本社機能にも少しずつ関与してもらい、自分たちで企画し、動かしている実感を持てる組織にしたいと考えています。
――今後、どのような挑戦をしていきますか。
店舗については、現在2店舗目を出店予定です。将来的には都内で50店舗、全国で100店舗ほどを直営で展開することを構想しています。
同時に、自社で開発している予約システムも、現場やお客様の声を反映しながら機能を改善しています。使いやすさを高めたうえで、将来はほかのサロンにも提供したいと考えています。
予約や店舗管理ができるサロン向けシステムと、利用者が予約に使うアプリを表裏一体で広げていく構想です。
プラットフォーム領域には既存の競合が多く、営業力やシステム投資の面では大企業とも向き合う必要があります。そのため、顧客ニーズにマッチした、現場目線の使いやすいサービスを目指しています。
休日も仕事に関わることを。世の中の課題を見つけ、アイデアで解決を目指す
――普段はどのようにリフレッシュしていますか。
休日も、基本的には仕事に関わることをしています。事業承継中の会社では既存業務の変革や新規事業づくりに取り組み、横浜市では中高生の起業家支援にも携わっています。起業家のキャッシュフローを改善するためのアイデアや、新規事業のアイデアを提供することもあります。
世の中の課題を見つけ、「こうしたらよいのではないか」と考え、それをモデルにしていくこと自体が好きなのです。現在取り組んでいる眉毛サロンや美容以外の領域を考えることが相互に作用し、自分自身のリフレッシュにもなっています。