「美味しい」を追求し、誰でも再現できる一杯へ――麺屋ギャオスが描く新しいラーメンづくり
株式会社GYAOS 代表取締役 内藤 雄一氏
ラーメン店の運営を中心に事業を展開する株式会社GYAOS。現在は店舗運営に加え、通販事業にも力を入れ、新たな展開へ向けて歩みを進めています。代表の内藤雄一氏は、もともとWeb制作の仕事に携わっていた経験を持ち、その視点をラーメンづくりや店舗運営にも活かしてきました。今回は代表取締役の内藤氏に、ラーメンづくりへのこだわりや経営理念、独立の背景、そして今後の展望について伺いました。
目次
美味しさと再現性を両立したラーメンづくり
――現在の事業内容を教えてください。
現在はラーメン店の経営・運営を中心に行っています。通販によるラーメン販売も開始し、店舗だけではなく全国のお客様にも商品を届けられる体制づくりを進めています。
Web制作は、ラーメン店を始める以前から個人事業として続けてきました。現在も既存のお客様の仕事は継続していますが、事業を広げる軸はラーメン事業です。仕組みを構築することで、自分一人に依存せず事業を成長させられる点にも魅力を感じています。
――特徴や強みは何でしょうか。
現在の2店舗はいずれも地方で展開しています。本店は人口約2万6,000人の小川町で営業しながら、年間2万食以上を提供しています。
商品の特徴は、さっぱりとした淡麗の鯛出汁塩ラーメンです。女性や年配の方にも食べやすく、小川町でも親しまれる味づくりを意識してきました。
店舗運営で大切にしているのは「誰でも同じ味を再現できる仕組み」です。私はもともとラーメン職人ではありません。そのため、経験や勘に頼らず、分量や時間を細かくマニュアル化し、誰が調理しても品質が変わらないよう徹底してきました。
もちろん、仕組み化することが目的ではありません。一番大切なのは「美味しいこと」です。無駄な工程を減らしながら、美味しさを実現する方法を考え続けています。
Web制作の経験から生まれたラーメンづくりの発想
――現在の味にたどり着くまでの経緯を教えてください。
最初は自分でも出汁やタレを作っていましたが、思うような味にはなりませんでした。そこで思い返したのが、Web制作の仕事です。
Web制作では、ディレクター、デザイナー、コーダーなどの専門家が力を合わせ、一つの作品を完成させます。同じように、ラーメンにも各分野のプロがいるのではないかと考えました。
それ以来、自分ですべてを作るのではなく、各分野の専門家が作る素材を数多く取り寄せ、何通りもの組み合わせを試しました。その中から最も美味しい組み合わせを見つけ出しています。
私自身は、すべてを作る職人というより、素材を組み合わせて最高の一杯へ仕上げるディレクターのような役割です。試行錯誤を重ねて厳選した素材だからこそ、自信を持って提供できる味になりました。
ラーメン店を始めるきっかけは偶然でした。消防士を退職し、Web制作で独立しようとしていたタイミングでシェアキッチンの案内を目にし、「週に一度ラーメン店をやってみてもいいかもしれない」と思ったことが始まりです。
店舗を出すと決めてから開業までは約2か月。限られた時間の中で試作を重ね、現在の味へとたどり着きました。
――経営理念への想いをお聞かせください。
大切にしている考え方は、「自分のコップから溢れた水でしか他人のコップは満たせない」です。
人のために何かをしたい気持ちはありますが、自分自身に余裕がなければ、本当の意味で誰かに手を差し伸べることはできません。自分を満たすことが、結果として周囲の幸せにもつながっていくのだと思います。
イメージとしてはシャンパンタワーです。一番上の自分のコップが満たされ、溢れた水が下のコップへ流れ、その先へ広がっていく。だからこそ、自分を幸せにすることを大切にしています。
ただし、幸せには終わりがありません。際限なく求め続けるのではなく、自分のコップそのものを小さくして、小さなことでも満たされる自分でいることが大切です。誰かを無理に幸せにしようとするのではなく、自分が満たされている状態をつくることが、身近な人にも伝わっていくのだと思います。
自由な働き方を求めて選んだ独立という道
――独立のきっかけは何だったのでしょうか。
もともとは消防士として働いていました。ただ、入職して1年ほど経った頃には、「ここで一生働き続けるのは違うかもしれない」と感じるようになりました。
その頃に目標としていたのが、「時間と場所に縛られない働き方」です。知人にプログラミングを勧められ、学び始めたことがWeb制作との出会いでした。
消防士を辞めると決めたのは、十分な準備が整ったからではありません。「このままではずっと辞められない」と思い、自分から退職することを先に決めました。最後は不安よりも好奇心が勝り、自分の市場価値を試してみたいという気持ちで一歩踏み出しました。
今振り返ると、時間や場所に縛られないこと以上に大切だったのは、「誰と過ごすか」ということです。一緒にいたい人と過ごせる時間を自分で選べる働き方を実現したかったのだと思います。
フラットな関係性と、新たな挑戦への歩み
――組織づくりで大切にしていることを教えてください。
店舗で働くスタッフはアルバイトが中心ですが、上下関係よりもフラットな関係を意識しています。
私は経営という役割を担っていますが、それが偉いとは思っていません。ラーメンづくりではスタッフのほうが上手な人もいますし、それぞれ役割が違うだけです。伝え方にも気を配り、お互いを尊重できる環境を大切にしています。
――今後の展望はありますでしょうか。
将来的にはフランチャイズ展開にも挑戦したいと考えています。ただ、現状ではまずキッチンカー事業をスタートさせる予定です。資金面も含めて現実的な一歩として取り組みながら、その先の展開を見据えています。
また、通販事業にも力を入れています。店舗ビジネスは商圏が限られますが、通販であれば全国のお客様へ届けることができます。特に秩父の店舗は観光地という立地でもあるため、一度来店してくださったお客様が通販でリピートしてくださる流れをつくりたいと考えています。
Web制作の経験も活かしながら、店舗と通販を組み合わせた事業展開を進めていきたいです。
家族との時間こそ、自分にとっての豊かさ
――最後に、休日の過ごし方を教えてください。
休日は家族と過ごす時間を何より大切にしています。娘が二人いるので、一緒に出かけたり、公園へ行ったりすることが多いですね。友人と遊んだり、麻雀や草野球を楽しんだりすることもあります。
消防士を辞めた理由の一つも、家族との時間を増やしたかったからです。今では保育園の送り迎えにも行けるようになり、「独立してよかった」と実感しています。
経営者は仕事を優先して家族との時間を削る方も少なくありません。しかし私は、家族との時間を犠牲にしてまで成功したいとは思いません。
家族との時間を大切にしながら、どこまで事業を成長させられるのか。その挑戦こそが、自分にとって本当に目指したい経営の形です。