「一日一日」を特別にする空間づくり――日常に小さな贅沢を届ける挑戦

株式会社日と々と 代表取締役 山本 拓三氏

「パンとエスプレッソと」をはじめ、多彩な飲食ブランドを展開する株式会社日と々と。「一日一日を特別に」というコンセプトのもと、パンとコーヒーを軸に、日常の中に小さな贅沢を提供しています。物件との出会いを大切にした独自の店舗づくりや、全国・海外への展開など、新たな挑戦を続ける山本拓三代表に、創業の経緯や経営への考え方、今後の展望について伺いました。

「一日一日」を豊かにする店舗づくり

――現在の事業内容や特徴について教えてください。

当社は「パンとエスプレッソと」を中心に、パンとコーヒーにこだわった飲食店を展開しています。特徴の一つは、一般的な「業態を決めてから物件を探す」という考え方ではなく、物件との出会いを起点に店舗づくりを進めていることです。不動産会社から独立した背景があるため、「この空間ならどんなお店が似合うか」という視点で事業を考えています。物件の個性を活かしながら、その場所ならではの魅力を引き出すことを大切にしています。

――会社の理念やビジョンについて教えてください。

会社では「一日一日」をコンセプトに掲げています。

毎日がただ繰り返されるだけではなく、一日一日を特別なものにしたいという想いがあります。その中で、日常の中にある小さな贅沢を感じてもらえる場所や時間を提供していきたいと考えています。

偶然から始まった独立と、感覚を信じる経営

――経営者になられた経緯を教えてください。

もともとはサラリーマンとして働き、その会社で飲食部門を担当していました。その後、担当していた事業を自ら買い取り、独立することになりました。

独立を決断したタイミングは、リーマンショック後の不動産市況の影響も大きく、不採算となっていた飲食部門を整理する必要があったことが背景にあります。当初からその時期に独立を考えていたわけではなく、状況の変化の中で事業を引き継ぐ形となりました。

一方で、将来的には経営者になりたいという思いは以前から持っており、会社では経営にも携わっていました。そうした経験が現在の経営につながっています。

――仕事をする上で大切にしている価値観は何でしょうか。

経営の判断軸は、理屈よりも直感を大切にしています。

「この空間はいい」「ここで何かやりたい」と感じたら、その感覚を信じて挑戦します。何を始めるかを先に決めるのではなく、魅力を感じた場所があれば、その空間に合う業態を考えていくというスタイルです。

組織の成長を支えるコミュニケーション

――組織運営で意識していることを教えてください。

現在は約500名規模の組織となり、現場とのコミュニケーションの取り方も意識しています。仕事の指示や相談については、基本的にエリアマネージャーを通して行い、店長や一般スタッフへ直接指示を出すことは極力避けています。

これは自身が会社員時代に、上司を飛び越えた指示によって現場が混乱する様子を経験したことが理由です。現場の指揮系統を守ることで、それぞれの役割を尊重し、組織として円滑に機能する環境づくりを大切にしています。

――どのような人と一緒に働きたいと考えていますか。

待遇や勤務条件だけを最優先に考える人よりも、「パンが好き」「コーヒーが好き」「将来この業界で挑戦したい」といった想いを持っている人と働きたいと考えています。

ベンチャー企業だからこそ、高いモチベーションを持ち、自ら成長したいという意欲のある人が組織にも合っていると思います。

全国、そして海外へ。ブランド価値をさらに高める

――今後の展望や挑戦したいことを教えてください。

現在はフランチャイズ展開を進めており、47都道府県すべてへの出店を目標としています。旅行会社のHISと提携しながら全国展開を進めており、すでに半数近くの地域への出店が実現しています。

また、海外にも複数の国で店舗を展開しており、今後も機会があれば積極的に挑戦していきたいと考えています。海外展開そのものが目的というより、自身が海外へ行き、新しい文化や環境に触れられることも楽しみの一つになっています。

飲食業界全体の課題でもありますが、人材不足、とりわけパン職人などの技術者不足は大きな課題です。

働き方改革によって職人の労働環境は改善されていますが、その一方で労働時間が短くなり、人手不足がより顕著になっています。

だからこそ、給与や待遇だけではなく、「ここで働きたい」と思ってもらえるブランドをつくることが重要だと考えています。店舗や会社そのものの魅力を高め、働く場所として選ばれる存在を目指していきます。

家族との時間が何よりのリフレッシュ

――仕事以外でのリフレッシュ方法を教えてください。

休日は家族と過ごす時間を大切にしています。子どもは3人おり、上の子どもたちは成長しましたが、一番下の子どもはまだ小学生です。そのため、休みの日は家族で出かけることが多く、子どもとの時間が何よりのリフレッシュになっています。

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