ウガンダの社会課題を“食”で解決する――Mampuku Uganda LTDが描く未来
Mampuku Uganda LTD 代表 谷川理惠氏
Mampuku Uganda LTDは、ウガンダで日本のお好み焼きを現地向けにローカライズした「カンパラ焼き」事業を展開しています。単なる飲食事業ではなく、現地の雇用創出や女性の貧困支援を見据えた社会課題解決型のビジネスです。日本の技術と現地資源を活用しながら、アフリカの未来に挑む谷川理惠氏にお話を伺いました。
ウガンダの課題に挑む「カンパラ焼き」
――現在の事業内容について教えてください。
当社はウガンダの現地法人です。現在は、日本のお好み焼きをウガンダ向けにローカライズした「カンパラ焼き」という粉もの事業に取り組んでいます。将来的にはフランチャイズ化し、現地で多くの人が収益を得られる仕組みを作りたいと考えています。その先には、女性の貧困支援につなげていきたいです。
――事業の特徴や強みは何でしょうか。
ウガンダではローカルフードの原価率が80%を超えることも珍しくなく、利益が出にくい状況があります。「他に仕事がないから続けている」という人も少なくありません。
そこで私たちは、現地食材を活用した地産地消型のビジネスモデルを構築しています。オタフクソース株式会社の技術指導を受けながら、現地の粉や食材で作れる粉とソースを開発しています。目指しているのは、原価率を約30%まで抑えながら、安く、早く、美味しい商品を提供することです。
また、ウガンダには「ロレックス」という人気のローカルフードがあります。カンパラ焼きは、そのロレックス店が使用する鉄板で調理できるため、新たな設備投資をせず導入できるのも特徴です。
「満腹」に込めた想い
――理念やビジョンについて教えてください。
社名の「Mampuku Uganda」は、「ウガンダのみんなが満腹になりますように」という願いから付けました。
満腹とは、単にお腹を満たすだけではなく、心も満たされることです。現地のメンバーも日本語の「満腹」という言葉をそのまま使っています。
また、青いシャツと黄色いエプロンのユニフォームには、空と太陽をイメージし、この事業がアフリカの貧困課題を解決する希望になってほしいという想いを込めています。
社会課題解決を軸に歩んできた経営者人生
――経営の道に進んだきっかけを教えてください。
もともとはリクルート系企業で求人広告制作に携わっていました。独立する先輩たちを見ながら育ち、28歳で人材派遣会社を設立しました。その後、子ども・若者支援を行うNPO法人を立ち上げ、現在も子ども食堂や若者支援事業を続けています。
――なぜウガンダだったのでしょうか。
NPO活動の中で外国人留学生の相談が増え、コミュニケーションのためにオンライン英会話を始めました。その講師が偶然ウガンダ人だったんです。
英会話の中で現地の課題を知り、「こういうビジネスなら解決できるのでは」と話していたことがきっかけでした。最初は雑談でしたが、少しずつ現実の事業へと発展していきました。
ボスではなくチームメンバー
――組織運営で大切にしていることを教えてください。
日本でもウガンダでも、フラットな関係性を大切にしています。
私は代表ですが、営業して仕事を取るのが私の役割です。現場を回す人にはその人の役割があります。役割は違っても立場は対等で、全員が同じチームの仲間です。
ウガンダでは女性経営者が珍しいこともあり、現地の女性たちから「女性がリーダーとして活躍する姿が希望になる」と言われたこともあります。
だからこそ、「私はボスではなくチームメンバー」と伝えています。「あなたはソース作りのナンバーワン」「あなたは焼くことのナンバーワン」と、一人ひとりの強みを認めることを大切にしています。
アフリカと日本をつなぐ挑戦
――今後の展望について教えてください。
アフリカには多くの課題がありますが、その分大きな可能性があります。日本企業の技術や製品が活躍できる余地も非常に大きいと感じています。
今後はカンパラ焼きだけでなく、包装資材や調理機器など関連分野との連携も進めたいと考えています。また、ウガンダだけでなく、同様の課題を抱える国々への展開も視野に入れています。
食や健康の分野で日本の力を活かしながら、世界の課題解決につなげていきたいです。
――現在の課題は何でしょうか。
最大の課題は資金調達です。事業計画は固まっていますが、ウガンダ特有の制度や国際ルールの影響もあり、資金面では苦労しています。
一方で、ウガンダは人口増加が続く成長市場でもあります。だからこそ、日本企業や事業パートナーと連携しながら、この市場の可能性を形にしていきたいと考えています。
日本の豊かさを再発見する時間
――休日のリフレッシュ方法を教えてください。
温泉や銭湯に行くことです。アフリカで生活していると、日本のきれいな水や温かいお風呂のありがたさを改めて感じます。
また、新鮮な魚を食べられることも日本ならではの魅力です。海外で活動しているからこそ、日本の豊かさを再認識し、それが次の挑戦へのエネルギーになっています。