AIでシステム開発をもっと身近に――低コストと高品質を両立する伴走型の開発支援
テイルウインド株式会社 代表取締役 青木 亮宏氏
テイルウインド株式会社は、生成AIとITを活用し、中小企業のデジタル化を伴走支援する企業です。AIエージェントを用いたシステム開発から業務システム、人材育成までを手がけ、顧客に本当に必要なものを適正価格で届ける姿勢を大切にしています。本記事では、代表の青木氏に、創業の背景や事業の強み、経営判断の軸、組織づくり、今後の展望について伺いました。
AIを活用した軽量・高速なシステム開発
――現在の事業をどのように広げてきたのでしょうか?
当初は、Udemyでプログラミングの作り方を教える動画を販売していました。コンテンツを増やす中で法人研修の依頼も受けるようになり、教育事業を中心に展開してきた形です。
その後、AIの性能が大きく向上し、初心者向けの教育は次第に代替されていくと感じました。そこで現在は、AIを活用したシステム開発など、より難易度の高い業務へ軸足を移しています。
外部の方とも連携しながら、業務システムをはじめとする開発案件を少しずつ増やしているところです。
――AIを活用したシステム開発には、どのような強みがありますか?
ChatGPTが登場した頃から、教育コンテンツを作るために生成AIを深く学び、実践を重ねてきました。現在は十数台のAIエージェントを組み合わせ、何十回も処理を繰り返しながら並列で開発を進めています。
AIをフル活用することで、従来よりも軽量かつ高速な開発が可能になっています。その結果、ヒアリングにより多くの時間を割くことができ、顧客が本当に作りたいものを丁寧に形にしていくことができます。
――会社の理念や事業を通じて実現したいことを教えてください。
私は、大きく稼ぐことより、必要としている人へ必要なものを届けたいと考えています。AIでコストを抑え、顧客に合ったサービスを費用対効果の高い形で提供することが、当社の目指す方向です。
副業から独立へ――自分で選んだ経営の道
――事業を立ち上げた経緯を教えてください。
地方で会社員として働く中、家族を持ち、子どもが生まれたことで将来を考えるようになりました。
収入を補うために始めたのが、Udemyでのプログラミング動画の販売です。予想以上に売れ、ChatGPTの登場も重なって売上が伸びました。その後、個人事業として独立し、2年後に法人化しています。
――会社員から独立し、経営の道へ進んだきっかけは何だったのでしょうか?
前職は、社長の一声で方針が変わることの多い会社でした。プロジェクトマネージャーとして開発チームを率いていましたが、突然梯子を外され、軽い適応障害やうつに近い状態を経験しています。
復職か独立かを考えた結果、自分で進む方向を決められる道を選びました。会社の方針に振り回されるより、納得できる範囲で仕事をコントロールしたいと思ったためです。
――これまでに影響を受けた経験や、現在の価値観につながっている出来事を教えてください。
30代の頃には海外へ20回ほど足を運び、国や地域によって文化や生活環境が大きく異なることを実感しました。熊本と東京、台湾やタイ、中国、ドイツなど、それぞれに異なる景色がありました。
自分の知る世界だけがすべてではないと考え、既存の枠にとらわれず新しいものを受け入れる姿勢は、現在のAI活用にもつながっています。
顧客の声を起点にする経営判断と成長投資
――経営判断の軸となっている価値観を教えてください。
判断の基準は、お客様が実現したいことを丁寧に聞き、その方向へ進めているかどうかです。AIをアドバイザーのように複数用意し、議論することもあります。
ただ、最後に確かめるのは、お客様の希望と開発の方向性が合っているかという点です。
――AIを経営やシステム開発にどのように取り入れていますか?
開発では、複数のAIエージェントを動かし、処理を何十回も繰り返しています。
経営判断でもAIに意見を出させ、さまざまな視点を比較します。任せきるのではなく、お客様との認識を調整する助言役として活用している形です。
――会社の成長に向けて、現在どの分野へ投資していますか?
ハイスペックなパソコンへ買い替え、複数のAIエージェントを同時に動かせる環境を整えました。
今後は人材や協力会社への投資も必要です。開発手法を組織へ浸透させるため、ナレッジ共有や仕組みづくりを進めたいと考えています。
良好な関係を土台にした組織づくり
――現在の組織体制と、今後目指す組織のあり方を教えてください。
現在、外注先や協力会社の方と必要に応じて連携しています。今後も、社員や協力者の方々とは対等な関係を大切にし、それぞれの意思や得意分野を尊重しながら仕事を進めていきたいと考えています。
大きな利益だけを追わず、関わる人が納得できる形で仕事を進める組織が理想です。
――今後、一緒に働きたいのはどのような人でしょうか?
今後は、営業とプロジェクトマネージャーをそれぞれ採用したいと考えています。
営業に求めるのは、コミュニケーション力と旺盛な好奇心です。AIの進化は非常に速いため、最新情報を継続して追いかけることを苦にせず、新しい知識を積極的に吸収できる方と働きたいと思っています。
プロジェクトマネージャーには、好奇心に加えて行動力も必要です。当社は、顧客が本当に求めているものを形にすることを重視しています。そのため、相手の声を丁寧に聞き、認識のずれがないように確認しながら仕事を進められる方が理想です。
低コスト・高品質なサービスを広げる次の展開
――今後、どのようなサービスを展開していきたいですか?
本格的にAIを活用したシステム開発は、まだ始まって間もない分野です。AIを会話に使うものと捉えている方も多いため、開発手法をさらに磨き、その可能性を広げていきたいと考えています。
月額10万円では導入が難しい企業にも、月額2万円ほどで利用できる、安価で品質の高いサービスを提供することが目標です。
――事業の成長に向けて、どのような課題を想定していますか?
社内では、人が増えるにつれてコミュニケーション上の問題が生じる可能性があります。トラブルが起きた際は真摯に話し合い、互いに納得できる形を探していく考えです。
外部環境では日本の人口減少を見据え、将来的な海外展開も検討しています。前職での経験を生かし、ベトナムや台湾などとの提携から可能性を探りたいです。
――AIを活用したシステム開発を通じて、今後どのような未来を描いていますか?
AIを十分に活用すれば、費用負担を感じる企業にもシステムを届けられると考えています。安価で品質の高いサービスを増やし、顧客の選択肢を広げたいです。
サービスやシステムが増えれば、従業員や協力者と取り組める仕事も広がります。顧客だけでなく、開発に関わる人にも良い循環が生まれる形を目指しています。