広告の枠を超え、クライアントと伴走する――合同会社ハニワエンタープライズが目指す本質的なマーケティング
合同会社ハニワエンタープライズ CEO 白井 祥平氏
沖縄を拠点に、Web制作、マーケティング、マスメディア、イベントまで幅広く手掛ける合同会社ハニワエンタープライズ。デジタル領域を軸に、クライアントの課題へ深く入り込み、成果を追い続けています。今回はCEOの白井祥平氏に、事業の特徴や経営に対する考え方、今後の展望について伺いました。
目次
広告を出して終わりではなく、成果まで追い続ける
――現在の事業内容や、他社にはない強みを教えてください。
当社は広告代理店をベースとしていますが、一般的な広告会社とは少し立ち位置が違います。Webを軸に据え、デジタルを受け皿としながら、必要に応じてテレビCMなどのオフライン施策を組み合わせています。
大切にしているのは、一つひとつのクライアントの数字を徹底して追うことです。広告を出して終わりではなく、キャンペーン期間中も数字を確認し、反応を見ながら連絡を取り合います。「このままで良いのか」「途中で変えるべきか」を一緒に判断し、その場で改善していくんです。
場合によっては決算書まで見せていただき、広告以外の数字も含めて分析します。見つかった課題に対して、改善策まで一緒に考える。それが私たちの仕事ですね。
――デザインやマーケティングで意識していることはありますか。
デザインは、単に「きれい」「かっこいい」を目指しているわけではありません。ユーザーが求めるものに合わせることを最優先にしています。
高い技術力があっても、それを見せることが成果につながるとは限りません。ターゲットによっては、あえて素人が作ったように見せた方が反応の良い場合もあります。完成度が高すぎることで距離を感じさせ、問い合わせにつながらないこともあるんです。
技術を誇ることではなく、ユーザーの行動につなげることが目的です。そのために、最適な見せ方を選んでいます。
一社一社と、長く対等に付き合う
――クライアントとの関係で大切にしていることを教えてください。
私たちは案件単位ではなく、クライアント単位で考えています。一度きりではなく、長く伴走したいので、スポット案件はほとんどお断りしています。
企業の規模も関係ありません。相手が大企業でも、対等な関係で仕事ができないのであれば、お引き受けしないこともあります。大切なのは、お互いに課題を共有し、一緒に解決していこうという姿勢があることですね。
積極的に宣伝しないのも、クライアント数が増えすぎると、一社ごとに十分な時間をかけられなくなるからです。広く浅くではなく、狭く深く向き合うことを大切にしています。
――経営の中で譲れない思いはありますか。
クライアントとは、完全に対等でありたいと思っています。私たちが上でも下でもありません。同じ目線で課題に向き合い、一緒に解決策を考えることが重要なんです。
分からないことは、分からないと素直に聞きます。全てを知っている人はいませんし、相手から学ぶ姿勢も必要です。対等だからこそ本音で話し合えますし、本当に必要な提案ができると考えています。
自分を疑い、周囲の意見を聞く経営
――経営の道に進まれたきっかけを教えてください。
沖縄に来たきっかけは、観光施設のマーケティングに携わる仕事へ呼んでいただいたことでした。以前は大阪の上場企業でマーケティングをしていましたが、自分は会社員には向いていないと感じていたんです。
広告は24時間動いています。それなのに平日だけ働き、土日は止まるという考え方には違和感がありました。クライアントに合わせて柔軟に動く方が、本当の価値を提供できると思ったことが、経営につながっています。
――経営判断の軸となる考え方はありますか。
まず、自分自身を疑うことです。社長だからといって、一人で全てを決めることはしません。この方向で合っているのか、役員や社員にも確認します。
一人で決断し続けると、視野が狭くなってしまいます。一度立ち止まり、周囲の意見を聞いた上で判断することを意識していますね。
数字を共有し、違う視点を取り入れる
――社内のコミュニケーションで大切にしていることは何ですか。
私は社員とよく話します。リモートで働くメンバーもいますが、ほぼ毎日コミュニケーションを取っているので、久しぶりに会っても距離を感じません。
また、デザイナーやエンジニア、コーダーは、自分の仕事がどれだけ成果につながったのか見えにくい職種です。そのため、毎週の会議で案件ごとの数字を共有しています。
「この施策が成果につながった」「ここは改善が必要だった」と全員で確認することで、自分たちの仕事の意味を実感できる環境をつくっています。
――採用では、どのような人と働きたいと考えていますか。
今いる社員と同じ価値観の人ではなく、違う視点を持つ人に来てもらいたいですね。
例えば、子育てをしながら働く方には、私たちには見えない課題があると思います。その視点が、新しいサービスやクライアントへの提案につながるかもしれません。さまざまな立場や経験を持つ人と働くことで、新しい価値が生まれると考えています。
現場で本当に使えるデジタルツールへ
――今後挑戦したいことや展望を教えてください。
現在、デジタルツールの開発を進めています。ほぼ完成していて、リリースに向けて調整している段階です。
世の中のツールには、機能やボタンが多すぎて、現場では使いにくいものもあります。開発側のやりたいことが優先され、実際に使う人の目線が抜けているケースも少なくありません。
広告代理店は伝えることが得意でも、システムは作れない。一方、エンジニアは開発できても、伝え方が苦手な場合があります。私たちは、その間に立てる存在です。
現場の声を理解し、本当に必要な機能を分かりやすく形にする。そのバランスを大切にしながら展開していきたいですね。
ローカル市場を理解したプロモーション
――現在本社がある沖縄で事業を展開する面白さを教えてください。
沖縄は本土とは市場や企業文化が大きく異なります。沖縄独自の法人として展開する企業も多く、経営層へ直接提案できる機会があることも特徴です。
また、観光地としての確立されていることや立地から、インバウンドへの対応も本土(内地)より優れている面があります。沖縄の大型の花火大会のプロモーションでは、台湾の旅行会社と連携し、現在では当たり前となっている現地でのチケット販売、多言語サイト、インフルエンサー施策などクロスマーケティングを10年ほど前から組み合わせ、大成功をおさめ、現在の沖縄観光の大きな一端を担っています。
上記のように、沖縄の文化や市場、立地を理解し、地域に合った施策を設計できることは、私たちの強みだと思っています。
――宮崎に進出した理由を教えてください。
本来、デジタルツールは地方企業こそが使いこなし、その先で地元に利益が還元されることがベストだという考えに至りました。
しかし現状は、このデジタル社会においても地方では情報の遅れがあり、お世辞にも使いこなしていると言うには乏しいことは否めないと考えます。これは、大阪、東京の会社と常に情報交換、お仕事ができている弊社ならではの視点かもしれません。
大阪、東京の会社は、普通は福岡や名古屋などを視野に入れます。なぜならマーケットがすでにあると数字からわかっているからです。
しかしマーケターはマーケットを作るのも仕事です。
「マーケットがなければ作ればいい」という考えを常に持ち、机上の空論にならず実践するために、自分の責任者で「まず動く」が一番早く、「目先の売り上げだけを追い求めない経営判断」というのがハニワ流だと思います。
その中、沖縄以外の地方にも目を向けようと考えた時、まず従業員や役員が鹿児島宮崎にゆかりがある南九州をへ進出しようと考えました。マーケットを調べるのではなく、最終的には立地と空港からのアクセスだけで宮崎と決め、2026年宮崎に事務所を構える運びとなりました。
従い宮崎に進出した理由としては、数字を見ず、ある意味マーケターとしては失格かもです。 笑
今のところの結果としては、ES(従業員満足度)も高めることができており、私も宮崎拠点での新たな出会いにわくわくしています。
――最後に、休日のリフレッシュ方法を教えてください。
仕事と休みを明確に分ける感覚はなく、空いた時間にリフレッシュしています。サーフィンは30年以上続けており、釣りや船の操縦、スノーボードも好きですね。
自然の中で体を動かすと、頭をリセットできます。少し危険な環境に身を置くことも好きなのかもしれません。そうした時間が、新しい発想や仕事への活力につながっています。
クライアントと同じ目線で課題に向き合い、成果につながる提案を積み重ねながら、これからも現場に寄り添うマーケティングを追求していきます。