情熱と技術で切り拓く スポーツ家電という新領域
株式会社NK Japan 代表取締役 石川恭介氏
株式会社NK Japanは、小型家電製品のOEM・ODMを主力事業とし、調理家電、美容家電、雑貨家電などの委託設計・委託生産を手がけています。中国のサプライチェーンを活用し、日本の顧客と現地の工場をつなぎながら、製品の設計から生産、納品までを一貫して支えてきました。
本記事では代表の石川恭介氏にお話を伺い、新たに挑んでいる自社ブランド事業について、そして事業を行う上での思いや展望についてお話を伺いました。
スポーツ家電で挑む新市場
――現在の事業内容や特徴について教えてください。
弊社では、小型の家電製品を中心にOEM・ODM事業を行っています。特に強いのは、調理家電、理美容家電、雑貨家電といった分野です。大手メーカー様から「こういう商品が欲しい」「こういう商品を設計してほしい」といったご相談をいただき、日本のお客様と中国側のサプライチェーンの間に入って、一緒に設計を進めています。設計が完了した後は、そのまま中国側のサプライチェーンを使って生産し、お客様へ納品するところまで対応しています。
現在はその主力事業に加えて、新しい取り組みとして自社ブランドによるスポーツ家電事業にも力を入れています。これまでのOEM・ODMは、お客様のブランドで製品をつくる仕事でしたが、これからは自分たちのブランドで新しい市場をつくっていきたいと考えています。理美容家電、調理家電についてはすでに市場の中でも強い企業様があります。その中で名もなき会社が入っていっても勝てるわけがありません。会社設立にあたり考えたことが、私自身、ずっとスポーツが好きで汗を流すことも好きであるということでした。その中で、スポーツに特化した家電製品は意外と少ないのではないかと感じたのがきっかけです。弊社では、スポーツ家電を「フィットネス」「スポーツ用品」「セルフケアマッサージ機器」「バーチャルスポーツ」「AIによるメンタルケア」の五つに定義しています。現時点では、まず取り組みやすいマッサージ機器や、スポーツ用品を電動化することで便利にするようなところから、自社ブランドとして形にしていこうとしています。
経験が変えた人生軸
――経営者になられた経緯を教えてください。
大学卒業後、最初は日本の会社に勤めていました。小型モーターのメーカーで、ヘアドライヤーなど家電製品に使われるモーターの営業をしていました。その後、会社の出向命令で中国に行くことになり、現地で自分が売っていたモーターが製品に組み込まれ、最終製品になっていく製造現場を目の当たりにしました。そこから、最終製品の組み立てやものづくりそのものに強く興味を持つようになりました。
その後、香港系の外資企業から声をかけていただき、役員として仕事をするようになりました。そこでも、中国側の工場を見ながら日本のお客様の仕事を取るという、今の事業にも通じることをしていました。その中で、ヘアドライヤーに使われている技術を調理家電に応用したら面白いのではないか、というような企画を考え、日系のメーカー様に提案することもありました。ですが、企業としては新商品を出すまでには、稟議を通す、市場調査を行うなど時間がかかります。その間に、似たような製品が先に市場に出てしまうこともありました。
そうした経験を重ねる中で、当社の経営理念にもなっていますが「何かおもしろいモノ」「何か良いモノ」「誰も作ったことがないモノ」「あっと驚くモノ」を自分たちでつくって届けたいという思いがどんどん強くなっていきました。それなら自分で会社をつくろうと思ったのが、創業のきっかけです。
――仕事をする上で大切にしている価値観は何でしょうか。
大事にしていることは二つあります。一つはNever Ever Give up(自分が納得するまで全力を尽くす)という点を非常に大切にしています。仕事をしていると必ず大なり小なり困難な局面が発生します。その困難な局面を自分が納得するまで全力を尽くせば、結果が伴わなくても自分にとっては失敗では無く成功だと信じています。Give upした時点で自分にとっては失敗だと考えています。
もう1つは、今までに持っている前提の知識や思い込みを0にし、基礎ベースがない状態から物事を考えるゼロベース思考も心掛けています。弊社のベンダーは海外工場となる為、自分の知識や経験、価値観に囚われていると、海外の協力者の思考が理解出来なくなり、判断を間違ってしまいます。従って、日々勉強と思い、海外の協力者の意見を尊重し、先ずは他人の意見へ耳を傾けることを大切にしています。
――組織運営で意識していることを教えてください。
組織としては6名体制の会社です。
社員に対して、「こうしてほしい」というものがたくさんありますが、なるべくは「こうあるべきであろう」ということを考えないように接するようにしています。
スポーツ家電で描く共生社会の未来
――今後の展望や挑戦したいことを教えてください。
スポーツ家電という自社ブランドを通じて、身体的に制限のある人たちをサポートできる製品をつくること、それが夢です。健康な体を持っている人にとっては、汗をかくことが気持ちいいのは当たり前かもしれません。しかし、身体的な制限のある方の中には、普通に汗をかくこと自体が難しい方もいらっしゃいます。そういった方々にも、汗をかく気持ちよさや、体を動かす喜びを感じてもらえる世界が来たらいいなと思っています。
私の友人の中にも、目が見えない、聞こえないといった理由で運動に不安を抱える人がいます。一緒に手をつないで散歩したり、ジョギングをしたりすると、すごく気持ちがいいと言ってくれるんです。そうした体験もあって、弊社の製品がそういう方々の後押しになれば、とても良い世界が待っているのではないかと思っています。
また、今後は新事業の海外展開も考えています。日本国内だけではなく、海外にもファンをつくっていきたいです。これまで海外と関わる仕事をしてきた中で、私自身には言語面も含めて大きな苦手意識はありません。“すべての人に届ける”という意味では、日本国内だけでなく、世界中の人にスポーツ家電を広げていきたいと考えています。
――仕事以外でのリフレッシュ方法を教えてください。
趣味は…仕事ですね。
リフレッシュとしては、なるべく体を動かして汗をかくようにジョギングなどをするようにしています。
――最後に、読者へメッセージをお願いします。
中小企業の皆様は、それぞれ情熱を持って事業をされていると思います。私だけではなく、皆さんもそうだと思っています。その中で、ご縁があって一緒に情熱を合わせ、新しいワクワクできるものをつくっていけるチャンスがあるのであれば、そういった仲間と一緒にチャレンジしていきたいと思っています。