製造業の現場をAIで変える――Anomalyが描く次世代の業務改革
Anomaly株式会社 代表取締役 駒田勇貴氏
Anomaly株式会社は、製造業向け業務アプリケーション開発、AI自動化構築支援、DXコンサルティングを手がける企業です。企業独自のノウハウや業務フローをシステム化し、そのシステムを導入するまでの道筋を描くことで、製造業のDXを支援しています。本記事では、代表の駒田勇貴氏に、事業の特徴や経営の考え方、今後の展望などについて詳しく伺いました。
製造業の“現場の最前線”をシステム化する
――現在の事業内容や特徴について教えてください。
当社では、製造業向けのシステム開発を行っており、既存システムではカバーしきれない、企業ごとの独自業務や現場のノウハウを、フルスクラッチでシステム化していくサービスをご提供しています。
現在当社がご提供しているのは、製造業向け業務アプリケーション開発サービス「FlowSync」と、FlowSyncの導入設計・データ基盤診断サービスである「FS Blueprint」です。
――FlowSyncの特徴を教えてください。
製造業では、ERPやPLMといったパッケージソフトがよく使用されていますが、業界には、既存のソフトではカバーしきれない、企業独自のノウハウや仕組みが数多く存在しており、そうした部分が属人的になってしまっているケースが少なくありません。FlowSyncは、企業ごとの独自業務を、フルスクラッチで一からシステム化していくサービスです。AIを活用し、属人化業務の標準化・高速化・省人化を支援します。
また、一般的なシステム開発では一括で開発費を支払う形が一般的ですが、当社ではサブスク型の契約で、月額料金から始められるスタイルを採用しています。初期費用を抑えつつ、運用しながら改善を続けられるため、長く使えるシステムを導入しやすい形でお届けしている点も大きな特徴です。
――FS Blueprintはどのようなサービスでしょうか。
フルスクラッチで開発するFlowSyncがある一方で、そもそも「どのようにシステムを作ればよいのか」「何がシステム化できるのか」といったことがわからない企業様もいらっしゃいます。特に製造業では、社内にシステム化の知識が十分にないケースも珍しくありません。
FS Blueprintは、そうしたお客様に向けて、DXコンサルティングを含めながら、システム導入までの導線を引いていくサービスです。何から手をつけるべきかを整理し、導入に向けた道筋を一緒に描いていきます。
製造業を知っているからこそ、現場の声を形にできる
――御社のサービスの強みはどのような点にありますか。
大手のシステム会社がカバーしやすいのは、多くの企業に共通する大まかな業務領域です。一方で、製造業の現場の最前線にある業務は、企業ごとに独自のノウハウややり方が作り上げられており、そうした部分はほかのシステム会社にとっても、仕組み化やシステム化が難しい部分だと思います。
当社の強みは、まさにその現場の最前線の業務をシステム化できることです。私自身、前職で製造業に15年ほど携わってきたため、製造業界独自の習慣や現場の感覚を理解しやすく、現場の声を聞きながらシステムに落とし込むことが可能です。現場を知っているからこそ、使いやすい形を実現できるのだと考えています。
――製造業に関わるようになったきっかけを教えてください。
最初から明確な理由があって製造業に進んだわけではなく、たまたま進んだ道が製造業でした。ただ、15年ほど続けるなかで、国内の製造業の可能性や、「もっと効率化していかなければならない」といった想いが強くなっていきました。
これまで、日本の製造業は高い競争力を持ってきましたが、近年は、海外との競争も激化しています。そうした点を何とかしていきたいという想いがあり、製造業に向けたシステム開発に取り組んでいます。
「共存共栄」を軸に、長く使われる仕組みをつくる
――事業を進めるうえで譲れない想いや考え方はありますか。
「共存共栄」はとても大切にしています。そのうえで、日本の強い製造業、特に大手ではなく中小企業を下から支えていきたいという想いがあります。
私は、お世話になった製造業の業界にいち早くAIを導入していただきたいと考えていますが、AIやシステムを導入する目的は、人の仕事を奪うことではありません。人は、“コア業務”に集中すべきだからです。
コア業務とは、人によって成果が変わるような、人が本来力を発揮すべき仕事です。一方で、誰がやっても同じ成果になる業務は、“非コア業務”です。製造業では、人が非コア業務をやりすぎている面があります。そこをAIやシステムで取り除き、人が本来集中すべき仕事に向き合える環境をつくっていきたいと考えています。
――経営判断の軸にしているものはありますか。
「お客様に長く使っていただける仕組みかどうか」という点です。システムは、長く使っていただくことで効果を感じていただきやすいものです。だからこそ、導入して終わりではなく、運用しながら改善していくことが大切だと考えています。
――組織づくりや採用については、どのようにお考えですか。
現在は一人で経営しており、今後、採用も考えてはいますが、人数は最小限に絞っていきたいと思っています。これは、AIの活用が広がっているなかで、AIをフル活用した企業にしていきたいからです。
システム会社では、人件費が大きなコストになります。その結果、システム開発費用が高くなり、導入できない企業様も出てきます。AIを活用して開発を進めることでコストを抑え、お客様に提供しやすい形をつくりたいと考えています。
もし人を増やすとしたら、製造業出身の方、またはAIをフル活用してつくっていくという考え方に賛同していただける方が理想です。製造業に特化したシステム会社なので、現場への理解や、AIを前向きに活用する姿勢は大切にしていきたいです。
製造業を下から支えるプラットフォームへ
――今後挑戦していきたいことを教えてください。
まずは、システム開発の領域で、一社でも多くの企業様に当社の取り組みを理解していただき、導入していただくことです。その先には、プラットフォーマーとしての立場も構築していきたいと考えています。
私がもともといた業界は、バルブや配管といった、一般の方が目にすることが少ないインフラ系の領域でした。認知度は高くありませんが、重要な分野です。そうした領域にプラットフォームをつくり、販売するメーカー側と、買う側である流通業者様やエンドユーザー様をつなぐようなサービスを展開していきたいと思っています。