ボランティアを「社会を動かす力」に――市民活動を広げる「ボランティアマネジメント」という挑戦

NPO法人おりがみ 理事長 都築 則彦氏

NPO法人おりがみは、ボランティア活動を専門的に扱い、市民活動の企画や運営、そしてその事業化を支援する団体です。地域社会のなかで行われる市民活動やボランティア活動を目先の活動にとどめず、社会を動かす仕組みとして広げていく取り組みを続けています。本記事では、学生時代の活動をきっかけにボランティアの可能性に魅了され、研究と実践の両面からその価値に着目しているという理事長の都築則彦氏に、事業の特徴や組織づくり、そして今後の展望について伺いました。

「ボランティアマネジメント」で市民活動を拡大させる

――現在の事業内容や特徴について教えてください。

私たちは、ボランティアを専門的に扱う団体です。地域のなかでさまざまな市民活動を仕掛けながら、そこから生まれてくる取り組みを事業化したり、行政などから業務委託を受けたりしており、こうした活動を通じて、市民活動を社会のなかで広げていくことを目指しています。

私たちは、この分野を「ボランティアマネジメント」と呼んでいます。ボランティア活動を目先の活動で終わらせるのではなく、社会のなかで継続的に機能する仕組みにしていく――その役割を担う仕事を広げていくことが、私たちの事業の中心です。

学生団体から法人へ――ボランティア文化を社会に定着させたい

――どのような想いでこの事業を始められたのでしょうか。

実は、もともとボランティアに強い関心があって始めたわけではないんです。最初のきっかけは、オリンピックに関連する活動でした。学生団体として活動を始め、大学生のときにはオリンピックを一つの区切りとして活動を終えることも考えていました。

日本のボランティアの実態を見ると、大学生のときには参加していても、社会人になると辞めてしまう人が少なくありません。特に20代後半から30代にかけてはボランティア活動をする人が非常に少なく、40代以降になるとPTAや地域活動をきっかけに再び関わる人が増えるという構造があります。

しかし、本来ボランティアとは自分の意思で社会に参加する活動のはずです。そこから、社会人になっても主体的に活動できる社会をつくる必要があると考えました。

そのためには、活動を支える仕組みが必要になります。多くの人に参加の機会を提供する役割や事務局機能を担う人材が必要であり、その役割に対して報酬が支払われる仕組みも必要です。

こうした職業を日本社会の中につくるため、法人化して事業として取り組むことを決めました。

主体性を引き出す組織づくり

――コミュニケーションで意識していることはありますか。

現在は大学生のボランティアが約480名、社会人メンバーが約70名ほど関わる組織になっていますが、こうした規模の組織になると、理事長である私の言葉一つひとつが大きな意味を持つようになります。何気ない言葉でも、相手にとっては強い影響を与えることがあるんです。そのため、日々のコミュニケーションでは言葉の使い方に気を配るようにしています。

また、ボランティアを扱う団体として、「なぜこの人には報酬が支払われ、なぜこの人は無報酬なのか」という線引きをきちんと説明できることが重要です。報酬の有無がその人の価値を決めるのではなく、責任の強弱や業務内容などの役割分担として整理することが必要です。そのロジックをていねいに構築することが、組織としての信頼につながると考えています。

他にも、メンバーとのコミュニケーションでは、相手が本当に腹落ちするところまで話し切ることを重視しています。人は、会話のなかでつい表面的な返答をしてしまうことがあります。例えば、口では「面白いですね」と言いながら、実はまだ理解できていないというケースもたくさんあるでしょう。そのために、納得できるところまできちんと対話するのが重要だと考えています。

互いに理解し合った状態で動き出すことが、組織として前に進むためには大切です。

――組織運営で大切にしていることは何でしょうか。

メンバーにタスクを与えるのではなく、「役割」を与えることを意識しています。「これをやってください」という形ではなく、「この役割を担ってほしい」という形で仕事を任せるのです。

役割を持つことで、自分の仕事だという意識が生まれます。うまくいくかどうかの責任は上の立場が負いますが、その環境の中で主体性が育っていくことが重要だと考えています。

人との関わり方という点では、「北風と太陽」の話をよく思い出します。力で人を動かそうとすると、一時的には動いても長続きしません。太陽のように、自然と人がついてきたくなる関係を築くことを大切にしています。

――どのような人と一緒に働きたいと考えていますか。

粘り強さと素直さを持っている人です。何かをやろうと決めたときに、責任を持って最後まで取り組む姿勢がある人と一緒に仕事をしたいと思います。

それは部活動でもゲームでも、なんでも構いません。何か一つのことに真剣に向き合ってきた経験がある人は、仕事にも同じ姿勢で向き合えると感じています。

ボランティアマネジメントを「職業」にする

――現在の課題は何ですか。

多くのノウハウが属人化していることです。

経験に基づくスキルのなかには、言語化できるものと、難しいものとがあります。それらを整理し、誰でもボランティアマネジメントを実践できるような仕組みにしていくことが必要です。

また、現在、活動が地域にどのような影響を与えたのかを評価する指標づくりにも取り組んでいます。研究者としての視点を活かしながら、社会的インパクトを測る仕組みを構築していきたいです。

――今後の展望について教えてください。

NPO法人おりがみとしては、今後5年間の戦略として「ボランティアマネジメントを職業にする」という目標を掲げています。これは私たちの理念の実現に向けた重要なステップです。

地域のなかで、「この人がいれば面白いことが起きる」と思われるような仕掛け人を育てたい――そのためのスキルを体系化し、誰でも仕事として担えるような仕組みを作ろうとしています。

――仕事以外でのリフレッシュ方法を教えてください。

NPOの経営だけでなく、大学院での研究や家業など、さまざまなことを同時に進めているため、「休み」という感覚はあまりないかもしれません。ただ、それぞれの活動は自分のなかで一つの軸につながっているため、、仕事が行き詰まったときは研究に取り組んだり、研究のなかで得た発見が仕事のブレークスルーになったりするようなこともあるんです。

一つのミッションやビジョンを軸にしながら、やることを変えていく――その循環のなかで頭もリフレッシュされ、活動も前に進んでいくと感じています。

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