芸能界に「人権と尊厳」の灯を。一気通貫の制作体制とママの感性が紡ぐ、次世代プロダクションの形

株式会社YScompany 代表取締役 齊藤由香里氏

華やかなスポットライトの裏側で、長らく不透明な慣習が続いてきた芸能業界。その「闇」を現役モデルとして肌で感じてきた齊藤由香里氏が立ち上げたのが、株式会社YScompanyです。同社は、タレントの権利を徹底的に守る「人道的なマネジメント」を核に据えながら、キャスティングから映像制作、納品までを自社で完結させる「一気通貫システム」を構築。中間コストを排し、クライアントとタレント双方に高い還元をもたらす独自のビジネスモデルを展開しています。

現在、齊藤氏は育児と経営を両立させながら、在宅ワークを主軸とした「働くママ」の雇用創出や、地方自治体と連携した地域創生事業、さらには8ヶ国語を操るスタッフを擁したインバウンド事業など、従来の芸能プロダクションの枠を超えた挑戦を続けています。「関わるすべての人を笑顔にしたい」と語る齊藤氏の、経営者としての信念と未来への展望を伺いました。

制作からキャスティングまで。一気通貫が生む圧倒的なスピードと還元率

——株式会社YScompanyの主要な事業内容と、他社にはない強みについて教えてください。

弊社には大きく分けて三つの柱があります。一つ目は「芸能プロダクション事業」、二つ目は自社タレントに限らず幅広い案件に対応する「キャスティング事業」、そして三つ目がCMなどの「制作事業」です。最大の特徴は、この三つを自社で一括して行える点にあります。通常、広告制作には代理店や複数の制作会社、キャスティング会社が介在し、その都度マージンが発生しますが、弊社はキャスティングから撮影、編集、納品までをワンストップで完結させます。

これにより、クライアント企業様はコストを大幅に抑えつつ、ダイレクトな意思疎通による迅速な修正や進行が可能になります。また、中間搾取をなくすことで、タレントに支払われるギャランティを高い水準で保持できることも大きな強みです。タレントの生活と尊厳を守りながら、高品質なクリエイティブを適正価格で提供する。このバランスを追求し続けています。

——プロダクションを運営する上で、大切にされている理念やビジョンを教えてください。

「タレントに寄り添い、その人権と生活を守る」ことが設立当初からの揺るぎない理念です。私自身、20年ほど前までモデルとして活動していましたが、当時はギャラの未払いや不当な扱いが日常的に起こる、非常に不透明な業界でした。タレントの立場が圧倒的に弱いこの現状を変えたいという思いが、裏方に回るきっかけでした。

弊社では、東京都の最低賃金や労働環境の基準を意識し、タレントが「一人の人間」として尊重される仕組み作りを徹底しています。お金の面をクリアにすることはもちろん、心身の健康やプライベートの充実も含めてサポートできる事務所でありたい。11年間、この「守る」姿勢だけは変えずにやってきました。

モデルから裏方へ、そして経営者へ。実体験に基づく「救済」の道

——モデルという華やかな表舞台から、なぜ経営者という裏方の道を選ばれたのでしょうか。

現役時代に、業界の「闇」の部分をたくさん見てきたことが原体験となっています。一生懸命仕事をしたのに報酬が支払われない、人権がないに等しいような扱いを受ける……。そんな時代を経験し、「自分がやるなら、タレントが安心して夢を追える場所を作りたい」と強く思うようになりました。2014年から1年間個人事業主として活動した後、2015年に法人化し、現在は経営者として12年目を迎えます。

経営において大切にしているのは、常に「現場感覚」を忘れないことです。育児休業という概念が希薄な業界ですが、私自身も現在、子供を見ながら経営に携わっています。自分が当事者として苦労したからこそ、タレントやスタッフに対しても「何かを諦めなくていい環境」を提供したい。その思いが、現在の多様な雇用形態や支援制度の充実に繋がっています。

全スタッフが「フルリモートのママ」。ライフステージに寄り添う柔軟な組織作り

——スタッフの皆様とのコミュニケーションや、採用・育成のこだわりについてお伺いできますか。

弊社の内勤スタッフ4名は、私を除いて全員が「働くお母さん」です。そして、全員が完全在宅のフルリモート体制で仕事をしています。日本中、あるいは世界中のどこにいても仕事ができる仕組みを構築しました。採用において「ママ」を積極的に応援しているのは、子育て中やブランクがあっても、非常に高い能力と責任感を持っている方が多いからです。

コミュニケーションでは「風通しの良さ」を最重視しており、希望者には毎月30分の個別面談を実施しています。マネージャーには言えない本音や将来のキャリア相談など、私と直接話すことで不安を解消できる場を作っています。子供の年齢に合わせて、例えば「乳幼児期は短時間、中学生になったらフルタイム」というように、一人ひとりのライフプランに寄り添った働き方を何年も先まで一緒に描くのがYScompany流のマネジメントです。

——タレントの方々に対しても、独自の支援制度があるそうですね。

弊社ではタレントに対しても「産休・育休制度」を設けています。多くの女性タレントが結婚や出産を機に引退を余儀なくされますが、弊社では「一旦休んで、落ち着いたら戻っておいで」というスタンスです。半年で復帰する子もいれば、3年休む子もいます。また、パパになったタレントへの育休推奨も行っています。夢も、仕事も、家庭も、すべてを尊重し合える環境があれば、みんなが笑顔で長く活動できると信じています。

伝統文化と最新技術の融合。地域創生とインバウンドで「地方の未来」を創る

——今後の展望や、新たに取り組まれている挑戦について教えてください。

現在、特に力を入れているのが「一般社団法人」を通じた地域創生事業です。コロナ禍を経て、エンターテインメントが「待っているだけでは仕事が来ない」業界であることを痛感しました。これからは自ら仕事を作り出し、社会課題を解決していく姿勢が必要です。具体的には、地方の伝統工芸や農業体験と、都会の子供たちを繋ぐ「食育・教育ツアー」を企画しています。

例えば、後継者不足に悩む北陸の伝統漁法を、インバウンド向けのサイクリングツアーや体験型観光としてリブランドするプロジェクトが進んでいます。弊社には8ヶ国語を操るスタッフもおり、語学力を活かしたインバウンド事業も本格化させています。また、地方銀行や企業のCM制作を、代理店を通さず直接請け負うことで、圧倒的な低コストで地方の魅力を発信するお手伝いも始めています。弊社のタレントが司会や演者として地方を盛り上げ、その活動が地域の活性化に繋がる。そんな「全員がWin-Winになるサイクル」を全国に広げていきたいですね。

週末は古本屋の小説に没頭。夫と協力し、静寂の中で感性を研ぎ澄ます

——お忙しい日々の中でのリフレッシュ方法や、趣味などはありますか。

私はとにかく本を読むのが大好きで、それが一番のリフレッシュです。最近は、小学生の頃に夢中になった「青空文庫」のシリーズを古本屋で大人買いして、子供と一緒に読み返したりしています。小説から経営書までジャンルを問わず読みますが、週末に夫の協力を得て、1日中本の世界に引きこもる時間が、私にとっての「心の栄養」です。

夫は家事や育児に非常に協力的で、私が仕事や読書に集中できるようサポートしてくれます。

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