デジタルコミュニケーションの本質を追求する──“らしさ”を軸に価値を生み出す挑戦
株式会社フジスマートワーク 代表取締役 森英昭 氏
デジタルコミュニケーション領域に特化し、研修・コンサルティング・コンテンツ制作を一体で展開する株式会社フジスマートワーク。少人数制の実践型研修や、企業ごとに最適化された提案を強みとし、独自の価値を築いている企業です。本記事では、事業の特徴や創業の経緯、組織づくりの考え方、そして今後の展望について、代表の森英昭氏に伺いました。
目次
デジタルコミュニケーションに特化した独自の事業展開
――現在の事業内容や強みについて教えてください。
当社はデジタルコミュニケーションに特化した会社です。研修、コンサルティング、コンテンツ制作を軸に、それらを組み合わせた総合的な事業展開を行っています。特徴は、それぞれを単独で提供するのではなく、一連の流れとして対応できる点です。
例えば、コンサルティングでは企業ごとに課題や目的を整理し、どの媒体や手法が適しているのかを具体的に提案します。その結果として、実際のコンテンツ制作まで担うこともあります。情報があふれている時代だからこそ、何をどう組み合わせるかを判断する力が重要になります。その部分まで踏み込めるのが強みです。
研修については、理論だけで終わらせないことを重視しています。受講者が実際に手を動かし、ワークやディスカッションを通じてその場で身につける構成にしています。そのため、実作業の時間を多く取り、受講人数も20名以下に絞っています。講師とアシスタントが個々に対応しながら進めることで、理解度を高めることができます。
価格や効率だけを優先するのではなく、一人ひとりにしっかり価値を持ち帰ってもらうこと。それが当社の考え方です。
また、研修と実務を切り離さず、学んだ内容をそのまま現場で活用できる設計にしている点も特徴です。単なる知識の提供にとどまらず、実践につながる形で支援できることに価値があると考えています。
経験を土台に、面白さを追求する経営の原点
――これまでのキャリアや創業の経緯について教えてください。
もともとはフジテレビに新卒で入社し、番組制作や報道、情報分野でディレクターやプロデューサーを経験してきました。その後、開発企画や経営管理など幅広い業務に携わり、グループ会社の人材会社に取締役として出向しました。
その中でデジタル分野に関わるようになり、デジタルハリウッドとの関係を通じて、研修とコンテンツ制作を組み合わせた事業の可能性を感じました。最初は業務提携の話でしたが、議論を重ねる中で会社として立ち上げた方が面白いという結論に至り、現在の形になりました。
経営者になったこと自体に特別な抵抗はありませんでした。これまでの経験の延長線上にあり、一つのプロデュースとして捉えていたからです。常に「面白いことをやるために苦労する」という感覚で仕事をしてきたので、その延長にあるという認識です。
経営の軸として大切にしているのは、他人の真似をしないことです。どんなに小さなことでも一番を目指す。そのために考え続け、試行錯誤を重ねることを大事にしています。ひらめきはきっかけに過ぎず、それを形にするための積み重ねが重要だと考えています。
ひらめいた内容も、そのまま形にするのではなく、情報を集めて整理し、何が価値につながるのかを繰り返し検証していきます。日常の中でも考え続けながら修正を重ねていくことで、より実現性の高い形へと磨き上げています。
個性を尊重しながら育てる組織づくり
――組織運営で大切にしていることを教えてください。
社員一人ひとりには強みもあれば弱みもあります。それを個性として捉え、強みを引き出すことを意識しています。弱点についても放置するのではなく、把握したうえでサポートしながら成長につなげていくことを大切にしています。
採用や育成において重視しているのは、自己中心的でないことです。自分のことだけでなく、クライアントや周囲の人の立場を考えられるかどうか。そのうえで自分の経験や能力をどう活かすかを考えられる人と一緒に働きたいと考えています。
見極めについては、最初は直感に近い部分もあります。ただ、実際に関わりながらコミュニケーションを重ね、その人の可能性を見ていく形です。想定と違えば別の役割を考えるなど、柔軟に調整していきます。
会社としても「らしさ」は大事にしています。個人に個性があるように、企業にも独自性は欠かせません。競争が多い領域だからこそ、その軸を持ち続けることが重要だと思っています。
それぞれの強みを活かして役割を組み立てることで、個人と組織の両方が力を発揮できる環境がつくれると考えています。その積み重ねが、最終的に会社全体の価値につながっていくはずです。
AI時代に向けた新たな価値創出への挑戦
――今後の展望や課題について教えてください。
今後の大きなテーマは生成AIです。ただし、AIに頼るのではなく、あくまでツールとして活用し、新しいコンテンツビジネスを生み出したいと考えています。まだ試行段階ですが、この領域に向き合わなければ意味がないと感じています。
一方で、現場レベルの課題もあります。少人数制の研修は質を保つうえで重要ですが、外的要因によるキャンセルが発生すると運営に影響が出ます。特にインフルエンザのように予測しにくい状況では、急な欠席が重なり負担が大きくなることがあります。
それでも、このスタイルは当社の強みであり、変えるつもりはありません。人数を増やせば効率は上がるかもしれませんが、それでは提供している価値が変わってしまいます。今はまだ明確な解決策は見えていませんが、試行錯誤しながら最適な形を模索しています。
常に「フジスマートワークらしさ」を軸に、流れに流されるのではなく、自分たちの価値を追求していく。それが今後も変わらない方針です。どのような状況であっても、この軸を崩さずに続けていくことが、結果的に信頼につながると考えています。短期的な効率ではなく、長期的に価値を積み上げていく姿勢を大切にしています。
海とともにリセットする時間が次の原動力
――リフレッシュ方法について教えてください。
普段はまとまった休みが取りにくいため、年に2回ほどまとめて休暇を取り、海外に行くようにしています。もともとはダイビングをしていましたが、今はシュノーケリングを中心に楽しんでいます。
このスタイルは長年続いていて、正月を海外で過ごすことも多くあります。仕事から少し距離を置いて、環境を変えることで、頭の中が整理される感覚があります。その時間があるからこそ、また次に向かおうと思えるんですよね。
海に入ると、自然と余計なことを考えなくなります。日常ではどうしても仕事のことを考え続けてしまいますが、そういう時間をリセットできるのが大きいです。結果として、新しいアイデアにつながることもあります。
長く続けている習慣ですが、自分にとっては欠かせない切り替えの時間です。無理に休むというより、自然と次の仕事に向かうための準備に近いですね。こうしたリズムが、今の働き方を支えていると思っています。
これからも、この時間を大切にしながら、自分なりのペースで仕事と向き合い続けていきたいと考えています。