人と向き合い、健康と幸せを広げる──マシンピラティスと哲学で築く持続的な経営
株式会社Blue Grain 代表取締役 出井和也 氏
マシンピラティスのパーソナルセッションを通じて、人の健康と幸せに向き合う株式会社Blue Grain。急成長する業界の中で、拡大ではなく「人づくり」に軸を置いた経営を実践しています。本記事では、事業の特徴や創業の背景、組織運営、今後の展望、そして出井氏の価値観について伺いました。
目次
マシンピラティスを軸に、一対一で身体と向き合う事業
――現在の事業内容について教えてください。
マシンを用いたピラティスのパーソナルセッションを提供しています。日本ではマットピラティスが先に広まった印象がありますが、本来のピラティスはマシンを使うものです。リフォーマーやチェアなどの器具を活用しながら、一人ひとりの身体の状態に合わせて運動を行います。ヨガのように自重だけで行うものとは異なり、器具を使うことで細かい調整ができる点が特徴です。
身体の動きに制限がある方でも無理なく取り組めるため、幅広い年齢層の方に対応できる点も強みだと感じています。
また、その日の体調やコンディションに応じて負荷を調整できるため、継続しやすい運動として選ばれるケースも増えています。
――セッションの形式についても教えてください。
当スタジオではすべて一対一のパーソナル形式で提供しています。お客様ごとに課題や目的が異なるため、集団ではなく個別に向き合うことを大切にしています。身体の使い方やクセは人それぞれ違うので、その人に合った指導を行うことが必要だと考えています。
結果として、より安全に、かつ効果的に身体を整えていくことができると感じています。加えて、一対一だからこそ細かな変化にも気づきやすく、その場で修正を重ねながら進められる点も大きな価値だと思っています。単なる運動指導ではなく、長く健康を維持していくためのサポートとして関わっていきたいと考えています。
トレーナーから独立へ──経験を積み重ねて築いた現在
――経営の道に進まれたきっかけを教えてください。
もともとは学生の頃からスポーツトレーナーを目指していました。ただ、トレーナーとして生計を立てるのは簡単ではなく、模索していた時期がありました。そんな中でピラティススタジオから声をかけていただき、副店長として入社したのが転機でした。
ゼロから立ち上げる環境の中で、店長まで経験させてもらい、現場で多くを学びました。立ち上げの段階から関わったことで、運営や顧客対応など、現場以外の視点も身についたと感じています。
単に技術を提供するだけでなく、スタジオ全体をどう良くしていくかを考える経験が、その後の進路に大きく影響しました。
――独立までの流れについても教えてください。
入社してから5~6年ほど経験を積み、2013年に独立しました。現在のスタジオもその時に立ち上げたものです。気づけば長く続けてきたなという感覚があります。
特別な転機があったというよりも、現場での経験を積み重ねる中で、自分のやり方でやっていきたいという思いが自然と強くなっていった形です。日々お客様と向き合う中で、もっとこうしたいという考えが少しずつ明確になり、それを実現する場として独立を選びました。
無理に背伸びをするのではなく、自分のペースで積み上げてきたことが今につながっていると感じています。
少人数だからこそできる、人と向き合う組織づくり
――現在の組織体制について教えてください。
従業員やスタッフを含めて、全体で11名ほどの体制です。規模としては大きくはありませんが、その分、一人ひとりとしっかり向き合える環境だと思っています。
特に一対一のサービスを提供しているため、スタッフの質や考え方がそのままサービスの質につながります。人数を増やすことよりも、どれだけ質の高いサービスを提供できるかを重視しています。
日々のコミュニケーションも取りやすく、それぞれの状況や成長度合いを把握しながらサポートできる点は、この規模だからこその強みだと感じています。
――人材育成において意識していることは何でしょうか。
ピラティス業界では、短期間の研修だけでインストラクターとしてデビューしてしまうケースも多く見られます。経験や知識が十分でない状態で指導を行うと、お客様が怪我をしてしまうリスクもあります。そのため、時間をかけてでもしっかり育てることを重視しています。
月に1回の社内勉強会や、週に1回のメッセージ発信を通じて、技術面だけでなく接客や考え方も伝えています。すぐに結果を求めるのではなく、基礎を大切にしながら積み重ねていくことで、長く信頼されるインストラクターへと成長していくと考えています。
拡大ではなく積み重ね──人づくりと哲学の普及へ
――今後の展望について教えてください。
急激な拡大を目指すというよりも、人材をしっかり育てていくことを重視しています。インストラクターの質が上がれば、お客様の満足度も自然と高まり、結果としてスタジオの成長にもつながっていくはずです。一人ひとりの積み重ねが、長期的な価値になっていくと捉えています。
売上や規模といった数字を追いかけるよりも、目の前のお客様やスタッフと丁寧に向き合うことを大切にしたいですね。そうした日々の積み重ねが信頼につながり、無理のない形で広がっていくのが理想です。時間はかかるかもしれませんが、その分ぶれない土台ができていく感覚があります。
――ピラティスの哲学についてもお考えがあると伺いました。
ピラティスはエクササイズとしての側面だけでなく、「どうすれば健康に幸せに生きられるか」という哲学が根底にあります。その考え方に強く惹かれました。
日本ではどうしても運動の部分だけが注目されがちですが、本来の思想まで含めて伝えていきたいと思っています。今は情報や環境の変化も激しくて、心身のバランスを崩しやすい時代ですよね。だからこそ、身体だけでなく心の在り方にも目を向けることが大事だと感じています。
ピラティスを通じてその両方にアプローチしながら、より多くの人が健やかに過ごせる状態をつくっていけたら嬉しいです。
自分の信じる道を貫く──経営における価値観と日常
――経営において大切にしていることを教えてください。
外部からの出資は受けないようにしています。うまくいっている時は問題なくても、状況が変わったときに関係が崩れてしまう可能性があると感じているからです。
意思決定は自分で責任を持って行いたいという思いが強くて、どれだけ魅力的な話でもお断りしています。自分の信じる形で経営を続けていきたいですし、その方が納得感を持って進められるんですよね。経営の自由度を保つことで、自分の考えや価値観もぶらさずにサービスへ反映できると感じています。
――最後に、読者へのメッセージをお願いします。
自分が信じたことに対して、愚直に向き合い続けることが大切だと思っています。目先の利益に流されて方向を変えてしまうと、あとで後悔することもあると思うんですよね。やりたいことにしっかり向き合い続けていれば、多少の困難があっても乗り越えていけるはずです。
私自身、これまでやめたいと思ったことはありません。これからも自分の道を大切にしながら進んでいきたいですし、その積み重ねが結果につながっていくと信じています。