食文化の本質を問い直す――フードアナリストが拓く新たな価値創造のかたち

一般社団法人日本フードアナリスト協会 理事長 横井裕之氏

食を「評価する」という行為には、単なる美味しさの判断を超えた奥深さがあります。一般社団法人日本フードアナリスト協会は、日本独自の食文化に基づいた評価軸を構築し、食の新たな価値を発信する仕組みを創り上げてきました。今回は代表の横井裕之氏に、事業の成り立ちや理念、そして今後の展望について伺いました。

食文化を支える二つの柱――資格制度と認証事業

――現在の事業内容について教えてください。

当協会は、フードアナリスト・プロモーション株式会社と連携し、「フードアナリスト」という資格の運営・育成を行っています。4級から1級までの体系があり、食に関する幅広い知識とリテラシーを身につけた人材を育てる仕組みです。資格取得後は、フードライターや審査員、インフルエンサーとして活動する方も多く、食の分野における専門人材の育成を担っています。

もう一つの柱が「ジャパンフードセレクション」です。これは食品や飲料に特化した審査・認証制度で、現在では毎月多数のエントリーがあり、日本最大級の規模に成長しています。審査では細かなチェック項目に基づき評価を行い、受賞商品には認証が与えられます。

――事業の強みはどのような点にありますか。

単なるグルメ評価ではなく、「食文化そのもの」を扱っている点です。食は命に直結するものであり、そこに上下はありません。高級料理も日常の食事も等しく価値があるという前提のもと、食を総合的に捉え、発信できる人材を育てていることが大きな特徴です。

日本独自の評価軸を生み出した創業の背景

――事業立ち上げの経緯を教えてください。

もともとは証券会社で働いており、企業経営者からの相談に応じるコンサルティングのような業務を行っていました。その中で、ある出版社の経営者から「これからの時代、食の評価を日本人の感性で行う仕組みが必要ではないか」と相談を受けたことがきっかけです。

当時、海外の評価基準が日本に入ってくる流れがありましたが、日本には独自の食文化があります。それを日本人自身の視点で評価する仕組みを構築すべきだと考え、フードアナリストという概念を設計しました。

その後、出資を受けて会社を設立し、最初は依頼を受ける形で経営に関わりましたが、事業の奥深さに惹かれ、次第に自らの意思で取り組むようになりました。

――経営の道に進まれた背景についても教えてください。

証券会社時代の後半は、すでにコンサルティング業務が中心でした。企業の課題に対して調査し、レポートを作成して提案するという経験が、現在の事業にも活きています。

一方で「食」という分野は、学べば学ぶほど哲学的な領域にまで広がっていきます。単なるビジネスではなく、人の生き方や価値観に直結するテーマであるため、自然とこの道に深く関わるようになりました。

「命は食なり」――理念に込めた思想

――理念について教えてください。

当協会の理念は「尊命敬食」です。命を尊び、食べ物を敬うという考え方を大切にしています。食は命そのものであり、どんな食にも優劣はありません。

例えば、高級レストランの料理と日常的な食事を比較してどちらが優れているかという議論は本質ではありません。食べる人の状況や背景によって価値は変わるため、それを理解した上で評価する力が必要です。

そのためには、単なる知識ではなく、幅広い教養や経験が求められます。当社の教育プログラムでは、語学や文化、歴史など多角的な視点から食を学ぶ仕組みを整えています。

主体性と熱量を重視した組織づくり

――組織運営で大切にしていることを教えてください。

組織は大規模ではなく、少人数で運営しています。日々の審査会やイベントを通じて多くの人が関わりますが、スタッフとの距離感には配慮し、過度な緊張を生まないよう工夫しています。

また、採用において最も重視しているのは「やる気」です。学歴や経歴よりも、食に対する情熱と主体性を持っているかどうかが重要だと考えています。熱量のある人材こそが、この分野で価値を生み出せると感じています。

新たな挑戦――認証から流通へ

――今後の展望について教えてください。

今後は、認証事業で評価された商品を活用した物販事業にも取り組んでいきたいと考えています。フードアナリストの会員向けに、認証商品を特別価格で提供する仕組みを構築し、新たな流通の形を生み出したいと思っています。

また、事業拡大に伴い、営業や運営を支える人材の確保も重要になります。外部の協力者や専門人材の力を借りながら、より強固な体制を築いていく方針です。

――経営において譲れない価値観は何でしょうか。

現在は、自分の使命に近い感覚でこの事業に取り組んでいます。以前は金融の世界で大きなお金を扱っていましたが、今は一つひとつの食に向き合う仕事です。その分、やりがいは非常に大きいと感じています。

食は人の命に直結するものだからこそ、軽く扱うことはできません。この領域に真摯に向き合い続けることが、何よりも大切だと考えています。

学び続ける姿勢が支える日常

――リフレッシュ方法について教えてください。

日々の生活では、朝のウォーキングや筋力トレーニングを習慣にしています。体を動かすことで思考も整理され、仕事にも良い影響があります。

また、本を読むことも欠かせません。図書館で複数冊を借り、継続的に学び続けています。食の世界は非常に奥深く、長年関わっていても新たな発見が尽きることはありません。

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