風景の感動を事業にする――あゆわらが切り拓く「風景ビジネス」の可能性

あゆわら株式会社 代表取締役 榎本高行氏

風景を「感動」として捉え、それを多角的に商品化・提供する――そんな独自のコンセプトで事業を展開しているのが、あゆわら株式会社です。「風景」というテーマを軸に事業を定義し、現在では絵画を中心としたEC事業で確固たるポジションを築いています。本記事では、代表取締役の榎本高行氏に、事業の原点や強み、今後の展望について伺いました。

風景の感動を届けるという発想から生まれた事業

――現在の事業内容や特徴、主力事業について教えてください。

もともとは自分の写真を販売するネットショップからスタートしました。ただ、それだけでは広がりがないと感じていましたし、自分自身が写真そのものよりも「風景」が好きだと気づいたんです。風景を見ることが好きで、その魅力をどうにか事業にできないかと考えたとき、「風景の感動」を軸にしたビジネスは世の中に存在していないと気づきました。

そこで、風景の感動を企画・制作・販売する事業を立ち上げました。「風景ビジネス」や「風景専門店」という言葉も商標化し、独自のポジションを築いています。

風景の感動とは、視覚だけでなく五感すべてに関わるものだと捉えています。例えば、写真や絵、映像は視覚の風景、旅行は体験としての風景、世界の名水は味覚の風景、風鈴の音は聴覚の風景、ラベンダーの精油は嗅覚の風景です。こうした商品を企画・販売し、五感に訴えかける風景の感動を提供しています。

現在は絵画が事業の中心で、売上の9割以上を占めています。もともと一人でできる領域として絵に特化する戦略を取り、そこに集中してきました。

2005年頃はネットで絵を販売するという発想自体が一般的ではなく、「売れるわけがない」と言われることも多かったのですが、継続する中で市場が徐々に形成されていきました。気づけば長年取り組み続ける事業となり、現在では約2万点以上の作品数と累計20万枚以上の販売実績を持つ、日本最大級の風景専門店へと成長しています。

「好き」を軸に選んだ経営の道

――経営者になられたきっかけを教えてください。

もともと経営者を目指していたわけではありません。ただ、社会人になる際に「どうせ働くなら嫌々8時間働くより、自分がやりたいことに10時間取り組みたい」と考えたのが原点です。その延長線上に、結果として経営という選択があったという感覚です。

直接的なきっかけは、最初に勤めたIT専門商社での経験です。社会人3年目の頃にベンチャー企業を担当し、新しい事業を立ち上げる方々と関わる機会がありました。

事業がうまくいかないケースも少なくありませんでしたが、それでも新しいことに挑戦している姿は非常に魅力的で、「自分も事業をつくりたい」と思うようになりました。27〜28歳頃には、起業への意思が明確になっていたと思います。

少数精鋭で回す組織体制 

――現在の組織体制について教えてください。

現在は私を含めて7名の体制です。営業専任の人材はおらず、対外的な対応は基本的にすべて私が担っています。

一方で、毎月約2000枚の絵が販売されており、出荷や事務処理だけでも相当な業務量があります。限られた人数でも事業を回せる体制を構築してきましたが、現状は大規模な営業活動まで手が回っていないのが実情です。

今後の展望と課題――人材と事業拡張

――今後の展望について教えてください。

風景専門店として、視覚だけでなく、音や香り、味といった五感すべてに関わる分野の展開に、より一層注力していきたいと考えています。

その実現に向けた課題は人材です。新しい事業を立ち上げられる人材が限られており、現状はほぼすべてを自分で立ち上げている状況です。本来であれば、右腕となるような人材が加わることで、よりスピード感を持って事業を展開できると考えています。そうした体制を整えていくことが、今後の成長に向けた重要なテーマだと捉えています。

将来的には、100年続く会社にしたいと考えています。コンセプトや商標を押さえていること、そして絵という分野自体が普遍的であることを踏まえると、その可能性はあると感じています。そのためにも、売上を伸ばし、雇用を増やし、組織として機能する体制を築いていきたいと考えています。現在は経営幹部候補の募集も行っており、外部や学術分野との接点を通じて人材との出会いも模索しています。

ぶれない経営――風景の感動にすべてを懸ける理由 

――経営される中で、譲れない哲学はありますか。

経営上の哲学は「ぶれないこと」です。具体的には、「風景の感動に関係すること以外はやらない」と決めています。

これまで事業がうまくいかず、借金が1000万円ほどに膨らんだこともありました。そのときは、売れるものを扱えば立て直せる状況でしたが、それでも風景と関係のないものを扱うことは絶対にやりたくなかった。そうしてしまえば、ただの雑貨店になってしまうと感じたからです。

また、もともとシステムエンジニアとしての経験があり、システム開発やコンサルティングで収益を上げることもできましたが、それも行っていません。あくまで「風景の感動を提供する事業をやる」という軸にこだわってきました。

私が考えるアートは、自己表現だけで完結するものではなく、見る人に喜んでもらえるものであるべきだと思っています。人と人との関係の中で成り立つものだからこそ、結果として誰かの心に届くものをつくることが重要だと考えています。

お金ではなく、自分たちが何をやる会社なのか。その軸をぶらさないことが、最も大切にしている考え方です。

風景と向き合い続ける理由――仕事観と社会への考え方

――リフレッシュ方法を教えてください。

趣味は音楽鑑賞などですが、基本的には仕事をしている時間が多く、土日も仕事をしていることが多いですね。ただ、特にストレスを感じているわけではなく、自然と続けられている感覚です。

学会への参加や大学との交流もあり、そうした時間が良い刺激になっています。また、休日は子どもの部活動の付き添いなど、家族と過ごす時間も大切にしています。

――この事業を通して、社会をどのように変えていきたいとお考えですか。

日本中の壁に彩りを増やしていくことで、世の中が少し優しくなればいいなと思っています。

絵や風景には、人の気持ちを和らげたり、ほっとさせたりする力があると感じています。そうしたものが日常の中に増えていけば、少しギスギスした空気もやわらいで、より穏やかな社会につながるのではないでしょうか。

風景の感動を届けることで、そうした形で世の中の役に立てたらいいなと考えています。

――ご覧になっていただいてる読者へメッセージをお願いいたします。

やはり大切なのは「やめずに続けること」です。そのためには、自分が本当にやりたいことに取り組むことではないでしょうか。

実際に、事業がうまくいかず借金を抱えた時期や、売上が大きく落ち込んだこともありましたが、それでも続けてこられたのは、自分がやりたいことだったからだと思います。

振り返ると、続いている理由はシンプルで、「やめなかっただけ」なんですよね。だからこそ、自分がやりたいと思えることに挑戦し、それを続けていくことが大切だと感じています。

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