「科学的思考で留学を再定義する──フィリピン留学『CebuGo』を運営する合同会社YK ZION・増本圭が描く、持続可能な人材育成のかたち」
フィリピン留学CebuGo運営/合同会社YK ZION 代表 増本圭氏
フィリピン留学支援ブランド『CebuGo(セブゴー) 』を軸に、データに基づいた科学的アプローチで学生の成長を支援する合同会社YK ZION。一般的な留学紹介とは一線を画し、クリティカルシンキングと持続可能な社会貢献を重視する独自の姿勢を貫いています。本記事では代表の増本圭氏に、事業の特徴、経営に対する考え方、組織運営、今後の展望、そしてご自身の価値観について伺いました。
科学的アプローチで「成長できる留学」を設計する
――御社の事業内容と、他社との違いについて教えてください。
弊社はフィリピン留学に特化したブランド『CebuGo』を運営しています。単に学校を紹介するのではありません 。 多くの他社は個人の経験や情報量に基づいて紹介するケースが多いですが、CebuGoは科学的なアプローチを取っています。
データに基づき、学生一人ひとりに適した学校を選定します。そして、どの学校が有名か、どの学校が実績があるかではなく、その学生が成長できるかどうかを基準にしています。さらに、メンタリングの視点も重視しています。学生の特性に合わせた対応を行い、成績だけでなく成長を重視する。それがCebuGoのUSPです。
私が考えているのは、留学は単なる語学力向上の手段ではなく、その後の人生にどう影響するかという点です。英語ができるかどうかよりも、その経験を通じてどのような思考を身につけるのかが重要だと思っています。そのため、学生の現在地を正しく把握し、どの環境であれば最も成長できるのかを分析します。感覚ではなく、できる限りエビデンスに基づいて判断する。それがCebuGoの基本姿勢です。
――理念やビジョンに込めた思いは何でしょうか。
弊社は短期的な売上を追うのではなく、長期的な社会貢献を重視しています。持続可能な視点で、人材育成に取り組むことがビジョンです。そのため研究活動も行っており、定期的に学会発表や論文執筆をしています。
クリティカルシンキングを重要視し、思考の違いこそが他社との差だと考えています。単なるサービス提供ではなく、考え方から変えていく。そのための研究と実践を続けています。私は、売上を最大化することよりも、社会にどのような影響を与えられるかを考えたい。目の前の利益ではなく、長期的に価値を残すことを選びたいと考えています。そのために研究を行い、理論を積み上げながら、実践に落とし込む。この循環をこれからも続けていきたいと思っています。
自分が満たされるからこそ続けられる経営
――事業を始めた動機について教えてください。
自分がしたいからやっている、というのが正直なところです。人の役に立つことによって自分が満たされる。それが好きなんです。誰かの成長に関われることや、何かのきっかけを提供できること自体が、自分にとっての価値になっています。
人は結局自分のために生きる生き物だと思っています。だからこそ、社会貢献をすることが巡り巡って自分に返ってくる。偽善ではなく、自分のためでもあるという考え方です。社会生物学でいう利己的な遺伝子の考え方にも通じる部分があると思っています。自分のために動いた結果が、結果として他者のためにもなる。それならば、その循環を前向きに活用した方がいいと考えています。
――経営判断の軸は何ですか。
エビデンスをもとに解釈することです。感覚や雰囲気ではなく、できる限り根拠に基づいて考えるようにしています。そして、どれだけ準備を100%しても、5割成功すれば成功だと思っています。失敗は前提です。準備を重ねても想定外は必ず起きる。その中で改善し続けることが大切だと考えています。完璧を目指すよりも、挑戦し続けることの方が重要だと思っています。
――これまでの人生でのターニングポイントはありますか。
結婚ですね。自分を変えないといけない部分が出てくる出来事でした。自分に合う人が無限にいるわけではないですし、合わせるというよりも、お互いに話し合えるかどうかが大事だと思っています。その過程で、自分の考え方や行動を見直すことになりました。それが一つの転機だったと思います。
――将来のイメージはありますか。
死ぬまで学びたいです。研究を続けたい。そのために仕事をしていると言ってもいいかもしれません。何かを成し遂げるというよりも、学び続ける状態そのものを続けたい。常に疑い、考え、検証しながら前に進んでいく。その過程をこれからも大切にしていきたいと思っています。
ビジョンはトップのものではない
――組織運営で大切にしていることは何でしょうか。
自分の思い通りに動く人間は存在しないと思っています。言われた通りにしか動けない人は必要ありません。ビジョンに合わせて、自分で工夫して動ける人が前提です。指示待ちの状態は、その人の思考を止めてしまうと思っています。私は、縛られて動く人間よりも、自分で問いを立てられる人と一緒に仕事がしたい。考え続けることができるかどうかを大切にしています。
日本ではビジョンをリーダーの意見と捉えがちですが、本来は組織全体から生まれるものです。構成員全員で立てるものだと考えています。トップの考えをそのまま共有するだけでは成果は上がらない。議論し、解釈し直し、それぞれが自分の言葉で理解できてこそ意味があると思っています。そのため、意見の違いが出ること自体を前向きに捉えています。違いがあるからこそ議論が生まれ、より精度の高い方向性に近づけると考えています。
――社内のコミュニケーションで意識していることはありますか。
思ったことをストレートに言うことです。空気を読むフィルタリングよりも、本質的な対話を重視します。遠慮や忖度で形を整えても、課題は解決しません。もちろん感情的になるという意味ではなく、事実と考えをそのまま共有するということです。ただし、ビジョンに共感していることが前提です。同じ方向を向いているからこそ、率直な意見交換が可能になります。立場に関係なく意見を出せる環境であることも大切にしています。
――どんな人と一緒に働きたいですか。
失敗を恐れない人です。失敗は当たり前で、それを共有し、成功にどう近づけるか工夫できる人ですね。失敗を隠すのではなく、次の改善材料として扱える人と仕事をしたいと思っています。挑戦を重ねる中で成長していける人であれば、経験の有無は本質ではないと考えています。
――社内の雰囲気を一言で表すと?
普通の小学校の学校みたいな感じです。それぞれが自由に考え、学び合いながら成長していくような雰囲気だと思います。上下関係よりも学びの姿勢が中心にある組織でありたいと思っています。
研究を一般化し、理論へ昇華する
――今後の挑戦について教えてください。
研究を続けたいです。今集めているデータを一般化し、理論として確立したいと考えています。個別事例の積み重ねだけではなく、そこから再現性のある形に落とし込むことが重要だと思っています。研究が楽しいから仕事をしているという部分もあります。成果を出すこと以上に、検証し、問いを立て、仮説を修正していくプロセスそのものに価値を感じています。その積み重ねが、最終的に学生にとってもより良い支援につながると考えています。
単にサービスを提供する会社で終わるのではなく、理論を提示できる存在になりたい。経験談ではなく、データと検証に基づいた知見を積み上げることが、業界全体にも影響を与えると考えています。研究を通して、自分たちのやっていることをより明確にし、説明できる形にしていきたいと思っています。
――業界の変化についてはどう見ていますか。
あまり変わらないと思っています。クリティカルシンキングが欠けている状況が続いているからです。名目的な部分で顧客を集める形は、しばらく変わらないのではないでしょうか。表面的な違いは出てくるかもしれませんが、根本的な思考の部分が変わらない限り、本質的な変化は起きにくいと感じています。だからこそ、自分たちは思考の部分から変えていくことを続けるしかないと思っています。少数でも、考え方を提示し続けることに意味があると考えています。
――現在の課題は何ですか。
地方で事業を構えているため、人材確保が難しいことです。優秀な人材を確保するのは簡単ではありません。ただ、現状は自動化を進めています。AIアシスタントの構築などを行い、人を増やすより効率化を重視しています。限られたリソースの中で、どう最適化するかを考えながら運営しています。人に依存しすぎない仕組みを整えることも、今後の安定につながると考えています。
自然から学び続ける姿勢
――経営で譲れないものはありますか。
自然選択説の理論をベースに考えています。決まった正解はないという前提で動いています。環境が変われば最適解も変わる。だからこそ、固定化された考えに縛られるのではなく、状況に応じて適応していくことが重要だと思っています。その中で大事にしているのは、他人と共有できるものを持つことです。一方的な正しさではなく、検証しながら共有できる考え方を積み重ねることが経営だと捉えています。
――尊敬する人物はいますか。
ダーウィンです。進化論を学ぶことで自然の摂理が見えてきます。弱肉強食という単純な話ではなく、環境との相互作用の中で適応していくという考え方に共感しています。自然から学ぶことが重要だと思っていますし、人間社会もその延長線上にあると考えています。
――リフレッシュ方法はありますか。
何もしないことです。思考を停止して、外に出てぼーっとしています。常に考えている状態が続くと偏りが出るので、一度止める時間をつくるようにしています。
――経営以外で情熱を持っていることはありますか。
若者から学ぶことです。お客様から学び、お客様のためになることを考える。それは自分のためでもあります。利他的に見えても、自分が学び成長できるから続けられる。少しでも失敗を減らしたい。そのために学び続けています。
私はとにかく学び続けたいと思っています。研究が楽しいからこそ仕事をしているだけですし、データを集め、理論を一般化していきたい。自然の摂理に従いながら、これからも考え、検証し、より良い形を模索し続けていきたいと思っています。