地域に寄り添い、「より楽しく、より仲良く、より元気に」を支える――東京福祉サービス株式会社の歩みと挑戦

東京福祉サービス株式会社 代表取締役 田中 愼吾氏

訪問介護事業を中心に、居宅介護支援事業や福祉用具のレンタル・販売、福祉相談など、地域に根差した介護サービスを展開している東京福祉サービス株式会社。2000年の介護保険制度開始と同時に事業をスタートし、20年以上にわたり地域の暮らしを支えてきました。今回お話を伺ったのは、代表の田中愼吾氏。介護への想いや経営理念、組織づくり、そして今後の展望について語っていただきました。

介護保険制度とともに歩み続けた地域密着のサービス

――現在の事業内容について教えてください。

当社は訪問介護事業を中心に、居宅介護支援事業、福祉用具のレンタル・販売、福祉相談などを行っています。中でも訪問介護は、創業当初から続けている事業であり、現在も最も人数が多い事業です。

創業は2000年4月。ちょうど介護保険制度が始まった年でした。つまり、介護保険制度とともに歩んできた会社なんです。26年近くこの事業を続けてきたことは、当社の大きな特徴の一つだと思っています。

もう一つの特徴は、地域密着であることです。介護という仕事は、利用者様が自分一人や家族だけでは難しい部分を支援する仕事です。その難しい部分を公的支援として介護保険を使いながら支え、ご本人の自立を尊重する。そうした「自立支援」の考え方をとても大切にしています。

介護保険サービスは、一般的な便利屋サービスとは違い、できること・できないことが制度で決まっています。だからこそ、本当に必要な支援をどう届けるかを常に考えながら取り組んでいます。

変えたくない理念と、変え続ける方法論

――経営理念や大切にされている考え方を教えてください。

私が代表をしている間でも、「変えたくないもの」と「変えてもいいもの」があります。その中で絶対に変えたくないものの一つが経営理念です。

当社の理念は「より楽しく、より仲良く、より元気に」。この“より”という言葉を大事にしています。誰かと比べるのではなく、今の自分より少しでも楽しく、少しでも仲良く、少しでも元気になってほしい。私は死ぬまで楽しく、死ぬまで仲良く、死ぬまで元気に生きてほしいと思っています。

創業理念として大切にしているのが「感謝」と「調和」です。創業当初から「ありがとう」という言葉を大切にしていて、それが感謝の精神につながっています。介護は一人ではできません。周囲と協力しながら、チームケアとして支えていくことが重要です。

さらに、介護の精神として大事にしているのが「人の価値は変わらない」という考え方です。認知症になっても、身体が動かなくなっても、人としての価値は変わりません。介護福祉の世界では「尊厳」という言葉がありますが、その精神をずっと守っていきたいと思っています。

一方で、方法論は変えていかなければならないとも考えています。例えばITやAIの活用もそうです。良い結果につながるのであれば、積極的に取り入れるべきだと思っています。ただし、方法そのものが目的になってはいけない。大切なのは、組織や利用者様にとって良い結果を生み出せるかどうかです。

福祉への想いは、人生経験の中で育まれてきた

――介護の道に進まれたきっかけを教えてください。

もともとはコンピューター関連の会社を経営していました。1980年頃からオフィスコンピューターの販売やソフト開発、サポートなどを行っていたんです。その後、会社を分社化しながら、NPO活動や協会活動などにも関わるようになりました。

この会社に関わるきっかけになったのは、友人からの相談でした。会社を継ぐ予定だった息子さんが若くして亡くなられ、事業承継が難しくなってしまった。それで「誰か引き継いでくれる人はいないか」と声がかかったんです。

ただ、振り返ると、自分の中にはもともと福祉への想いがありました。私は中学生の頃に父を亡くし、母が保育園の給食の仕事を住み込みで始めたことで、弟と一緒に保育園で暮らしていた時期があります。

保育園に育ててもらったという感覚があって、「いつか余裕ができたら福祉の仕事をしたい」という気持ちがずっとありました。

人は一人ひとり違うからこそ、多様性が必要

――組織づくりや採用で大切にしていることはありますか。

訪問介護は基本的に一人で利用者様のもとへ伺う仕事です。そのため、孤立しやすい面もあります。だからこそ、コミュニケーションでは「会うこと」を大切にしています。

業務連絡のような要件的なことは、ITや文章で共有した方が効率的です。ただ、感情や気持ちは文字だけでは伝わりません。表情や声のトーン、人柄は、実際に会わないと分からないんです。だから食事会や花見など、人として関係をつくる時間も大切にしています。

採用については、「いろんな人がいていい」と考えています。明るく積極的なヘルパーさんを好む利用者様もいれば、静かで穏やかな人を好む方もいる。利用者様も多様なら、働く側も多様でいいんです。

また、私は組織を“ダイヤモンド型”で考えています。突出してできる人もいれば、そうでない人もいる。その間に多くの人がいる。いろんな人がいることで、多様な利用者様に対応できる組織になると思っています。

また、資格についても、資格があることと仕事ができることは必ずしも同じではないと感じています。本当に現場で利用者様に寄り添えているか、仲間に貢献できているか、そうした部分もきちんと評価していきたいと思っています。

介護保険の枠を超え、地域の困りごとを支えていきたい

――今後取り組みたいことについて教えてください。

今、介護業界は求人が大きな課題です。介護保険制度では価格もサービス内容も細かく決められていて、一般企業のような価格戦略が取りにくい。責任の重い仕事であるにもかかわらず、賃金水準も決して高くありません。その現状には強い課題意識を持っています。

その一方で、介護保険では対応できないニーズも増えています。そこで今後は、地域サービスとしての自費事業にも力を入れていきたいと思っています。

例えば、家具の移動や片付け、電球交換、リフォームのお手伝いなど、高齢者の方が日常で困ることを地域密着で支えていきたいです。熱帯魚の水替えを手伝ったこともありますし、将来的にはペット関連のサービスもできるかもしれません。

また、AI活用にも関心があります、多角経営にも挑戦していきたいと考えています。

“人のため”が自然にできる毎日を楽しむ

――休日のリフレッシュ方法を教えてください。

実は、休みの日の方が忙しいんですよ。朝は3時頃に起きて、まずAIの勉強を1時間ほどします。それから畑仕事をして、カラオケに行き、テニスをする。午後はまた畑に行って地域の人たちとコミュニケーションを取ったり、スーパー銭湯に行ったりしています。

自治会活動も好きで、ラジオ体操やミニコンサートの企画などもやっています。朝のラジオ体操では、私がコーヒーを準備したり、サンドイッチを作ったりして、地域の皆さんと交流しているんです。

人に喜んでもらうことが好きなんでしょうね。それが自分の特徴だと思っています。自分の良さを活かして、相手にも喜んでもらえる。それが仕事でも人生でも大切なんじゃないかなと思っています。

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