卓球を楽しみながら成長する――Kスタジオ卓球教室の取り組み
株式会社Kスタジオ 代表取締役 長屋洸佑氏
卓球指導を中心に、大人から子どもまで幅広い世代に向けたスクールを運営する株式会社Kスタジオ。卓球経験を活かした指導に加え、体育指導の経験を取り入れた独自のトレーニングや、生徒一人ひとりの成長を重視した運営方針が特徴です。岐阜県に拠点を置き、現在は約100名の生徒が在籍。卓球を「競技」としてだけでなく、「楽しみながら成長できるスポーツ」として広げる取り組みを続けています。今回は代表取締役の長屋洸佑氏に、事業の特徴や指導方針、経営に対する考え方、そして今後の展望について伺いました。
目次
卓球を楽しみながら成長する――Kスタジオ卓球教室の取り組み
――現在の事業内容について教えてください。
当社では「Kスタジオ卓球教室」を運営し、卓球の指導を中心としたスクール事業を行っています。子どもから大人まで幅広い年齢層を対象にコースを設け、卓球の技術指導だけでなく、遠征やイベントなども取り入れながら活動しています。
現在は約100名の生徒が在籍しており、子ども向けのクラスから大人向けのクラスまで時間帯ごとに分けて指導しています。初心者から競技志向の生徒まで、それぞれの目的に合わせて卓球に取り組める環境を整えています。
――他の卓球教室と比べて、御社の特徴や強みはどこにありますか。
大きく二つあります。
一つは、卓球の技術指導だけでなく、体育指導の経験を活かしたトレーニングを取り入れていることです。跳び箱などを使った体づくりのメニューを取り入れ、子どもたちが楽しみながら運動能力を伸ばせるようにしています。
もう一つは、指導の中心を「中間層」に置いている点です。多くのクラブでは、強い選手を中心に育成するピラミッド型の構造になりがちですが、それでは初心者や中級者が取り残されてしまうことがあります。
そこで当教室では、10人の生徒がいれば中間層の6人を特に大切に育てるという考え方をしています。上位の選手はさらに上を目指し、初心者は「自分もあのレベルになりたい」と思える環境をつくることで、結果として全体のレベルが上がると考えています。
卓球とともに歩んできた人生――起業に至るまで
――卓球教室を始めたきっかけを教えてください。
もともと小さい頃から卓球を続けていて、小学校・中学校・高校と競技に取り組んできました。その経験もあり、将来は子どもに関わる仕事がしたいと考えるようになりました。
その後、幼稚園や保育園の体育教室で指導をする仕事をしていました。結婚して住宅を建てるタイミングで、1階を卓球場、2階を住居とする形で卓球教室を始めたのが現在の事業の始まりです。
最初は妻が個人事業主として代表を務めていましたが、生徒数が増えてきたこともあり、自分が本業を辞めて事業に専念することを決め、株式会社として運営する形になりました。
――会社として立ち上げた理由は何だったのでしょうか。
理由として一番大きいのは「やってみたい」という気持ちでした。
卓球教室はコンビニのように同じ形の店舗が並ぶビジネスではなく、それぞれのクラブが個性を出して運営しています。近くにクラブがあっても、指導の方針や雰囲気によって合う・合わないがあるだけで、必ずしも競合関係になるわけではありません。
だからこそ、自分の考え方や指導スタイルを大切にしながら続けていけば、事業として成り立つのではないかと考えました。
「特別扱いをしない」――経営と指導の軸
――経営や指導をする上で大切にしている価値観はありますか。
大切にしているのは「特別扱いをしない」ということです。
当教室では、週1回のコースから週5回のコースまでさまざまな通い方がありますが、週5回来ている生徒だけを特別に大事にするという考え方はしていません。週1回の生徒も、同じように月謝を払って来てくれている大切な生徒です。
そのため、指導の姿勢としては誰に対しても平等であることを意識しています。
また、もう一つ大切にしているのは「無料で特別対応をしない」ということです。スポーツの指導の世界では、遠征や大会などで費用がかかることが多く、指導者側が無理をして負担してしまうケースもあります。しかしそれを続けてしまうと、運営そのものが成り立たなくなってしまいます。
当教室では遠征の際に10人乗りの車を用意し、参加するメンバーで費用を分担する形を取っています。誰かだけを特別に安くすることはせず、全員で公平に負担する仕組みにしています。
スポーツとして強くなりたいという気持ちと、事業として継続することの両方を大切にしながら運営しています。
家族とともに支える教室運営
――現在の組織体制について教えてください。
現在は私が代表として教室を運営し、家族とスタッフで指導を行っています。常勤のスタッフは2名で、その他にアルバイトのスタッフもいます。
教室の規模としては大きな組織ではないため、基本的には自分が中心となって運営を進める形になっています。さまざまな意見を出し合うよりも、方針を明確にして進めた方が生徒も混乱しないと考えているため、現在はそのような形で教室を運営しています。
生徒の変化とともに見えてきた新たな課題
――今後取り組んでいきたいことを教えてください。
以前は2号店を出す構想もありましたが、現在は教室運営に集中しているため、すぐに新しい店舗を展開する予定はありません。
最近感じているのは、生徒や保護者の意識が少しずつ変わってきていることです。以前は「卓球を楽しみたい」という理由で通う生徒が多かったのですが、最近は大会で結果を出したいという気持ちを持つ生徒が増えてきました。その影響もあり、週1回だった生徒が週2回、週3回と練習回数を増やすケースも増えています。
一方で、初心者・中級者・上級者が同じ環境で練習しているため、指導のバランスをどう取るかが課題になっています。強化を進めたい気持ちもありますが、初心者や中間層を大切にしたいという思いもあり、そのバランスをどう取るかを考えているところです。スポンサー募集なども行いながら、より良い環境づくりを進めていきたいと考えています。
卓球に向き合う毎日
――仕事以外でのリフレッシュ方法を教えてください。
正直なところ、これといった趣味はありません。仕事がそのまま生活の中心になっているので、卓球の指導をしている時間が一番充実していると感じています。
これまでトレイルランニングやキックボクシングなどに挑戦したこともありますが、どうしても「どうやったら上達するか」と考えてしまい、結局は真剣に取り組んでしまうんです。そのため、リフレッシュといえば銭湯に行ったり、お酒を飲んだり、映画を見たりするくらいです。
ただ、毎日卓球と向き合いながら、生徒の成長を見られること自体が自分にとって大きなやりがいになっています。