薬に頼らない健康づくりを広める――未病の思想から生まれた予防医学の実践
漢方アロマ療養師育成校株式会社 医学博士・院長 陶 恵栄氏
薬に頼らず、人が本来持つ力によって健康を維持する――。漢方アロマ療養師育成校株式会社は、中国医学の考え方と西洋医学の知見を融合させた独自の健康法、「陶師療法」を通じて、人々の健康づくりを支援しています。1998年の設立以来、予防医学の理念を軸に、施術・健康関連商品の提供・教育事業の三つを柱として活動してきました。医学博士であり院長でもある陶恵栄氏は、中国で医師としての経験を積み、日本で研究と臨床を重ねながら独自の健康観を築いてきた人物です。本記事では、同社が取り組む事業の特徴や理念、経営者としての考え方、そして今後の展望について話を伺いました。
予防医学の思想から生まれた独自の健康支援
――現在の事業内容について教えてください。
当社の取り組みは、中国医学の考え方と西洋医学の知識を融合させた健康支援です。特徴は、薬を使わずに人々の健康を支える「予防医学」を中心にしています。病気を治療するというよりも、「健康をつくる」という考え方を基本にしています。
中国医学には古くから「未病を治す」という思想があります。これは、病気になってから治療するのではなく、病気になる前の段階で身体を整え、健康を保つという考え方です。当社では、この思想を基盤にした方法を臨床の中で実践してきました。
西洋医学は、症状を抑えるための治療を得意としています。例えば、血圧が高ければ降圧剤、熱があれば解熱剤、痛みがあれば鎮痛薬というように、症状に対して対処する医療です。救急医療の場面ではとても重要な役割を果たします。しかし日常生活における健康の維持という点では、生活習慣そのものを見直すことが必要です。
生活習慣が変わらなければ、生活習慣病は根本的には改善しません。そこで当社では、中国医学の考え方をもとに、身体の状態や生活のあり方を見直し、健康を取り戻すためのサポートを行っています。約28年にわたって取り組んできた中で、多くの結果が生まれてきました。
――事業の柱について教えてください。
現在は大きく三つの柱で事業を展開しています。
一つ目は、中国の伝統的な療法をもとにした施術です。健康関連製品を活用しながら、身体の状態を整える施術を行っています。
二つ目は、健康関連商品の提供です。健康食品や食材、例えば有機の砂糖や玄米などの食品、またパイロゲンや漢方精油など、健康をサポートする商品を取り扱っています。これらはインターネット販売ではなく、信頼関係のある方への紹介や店頭での販売が中心です。
三つ目は教育事業です。学校を設立し、この健康法を学びたい人に指導を行っています。2007年頃から教室を続けており、これまでに100名以上の生徒を育ててきました。自宅でも実践できる健康法として広げていきたいという思いから始めた取り組みです。
医師としての経験から始まった経営の道
――経営の道に進まれたきっかけを教えてください。
私はもともと医師で、中国では病院に勤務していました。日本に来てから大学院で学び、医学博士を取得しました。もともと経営を志していたわけではなく、研究や医療の仕事を続ける中で、自然と自分の院を立ち上げることになったという流れです。
そのため、経営については最初から経験があったわけではありません。日本で当院を開いてから、経営についても学ぶ必要がありました。中小企業の団体や倫理法人会など、さまざまな経営者の集まりに参加し、成功している方々の経験から学んできました。そうした学びを積み重ねながら、現在の経営を続けています。
現在の体制は家族経営に近い形で、妻と息子、そして従業員一名の計四名で運営しています。家族と共に支え合いながら、事業を続けてきました。
――経営の中で大切にしている考え方は何でしょうか。
一番大切にしているのは、「お金のために仕事をしない」ということです。特に健康に関わる食品や製品は、人の体に直接関わるものです。どれほど利益が出るとしても、身体や地球環境に良くないものは取り扱いません。
健康に本当に役立つものだけを普及させたい。その考え方が、経営の根本にあります。利益を追求するよりも、社会にとって意味のあることをする。その結果として経営が成り立つことが理想だと思っています。
「病院がいらない社会」を目指して
――今後の展望について教えてください。
私の最終的な目標は、「病院がいらない社会」をつくることです。もちろん医療そのものを否定しているわけではありません。病気を治療する医療は必要です。しかし本来は、病気をつくらない社会を目指すべきだと考えています。
院を始めてから約28年が経ちました。もうすぐ30周年を迎えます。その節目のタイミングで、院長の役割を息子に引き継ぎ、私は会長という立場になろうと考えています。経営の第一線からは少し離れ、理念や健康法を広げていく活動に力を入れていきたいと思っています。
具体的には講演活動や出版です。現在、本の執筆も進めています。これまで全国で講演や学会発表を行ってきた経験や知識をまとめ、健康法をより多くの人に伝えるための一冊にしたいと考えています。
私は中国出身ですが、日本で活動する中で多くの経験を積みました。今後は日本だけでなく、中国でも健康づくりの取り組みを広げていく可能性があります。食べ物づくりから地域の健康づくりまで含めた取り組みができればと考えています。
健康こそ経営の基盤
――最後に、経営者の方々へメッセージをお願いします。
私は健康の仕事をしていますが、健康があればどんな仕事でもうまくいくと思っています。身体の臓器を企業に例えることもできます。心臓はエネルギーの中心、手足は現場の働き手のようなものです。身体のバランスが整っていれば、人は長く元気に活動できます。
経営も同じで、まず経営者自身の健康が大切です。体が健康であれば、判断力も行動力も保つことができます。逆に体調を崩してしまえば、どんなに良い経営戦略があっても実行することが難しくなります。
だからこそ、まずは自分の健康管理から始めてほしいと思います。健康を保ちながら仕事をすることで、人生も経営もより良いものになるはずです。健康とともに、自分の事業を成長させていく――そのような経営をぜひ実践していただきたいと思います。