人とのつながりを育む場づくり――株式会社エイトナインが届ける“楽しさ”と“実感”の価値
株式会社エイトナイン 代表取締役 寺田悟氏
株式会社エイトナインは、パーソナル加圧トレーニングジムの運営とスノーボードブランドの展開という、異なる領域を軸に事業を行っています。代表の寺田悟氏は、明確な計画よりも「直感」と「人との出会い」を大切にしながら、独自の経営スタイルを築いてきました。本記事では、創業の背景から現在の取り組み、そして今後の展望まで、その考え方と価値観を伺いました。
楽しさとつながりを生むジム運営
――現在の事業内容について教えてください。
パーソナル加圧トレーニングジムを運営しています。また、スノーボードのブランドも手がけており、この二つが事業の柱です。
――どのような想いで事業を行っていますか。
スタッフと2人で運営していることもあり、明確な企業理念を掲げているわけではありません。ただ、人の笑顔が見られること、そして「ありがとう」と言ってもらえることを大切にしています。そのためにトレーニングを提供し、楽しんでもらえる場をつくることを意識しています。
――具体的に喜ばれている取り組みはありますか。
会員向けのイベントをいくつか実施しています。例えば、年末にはお相撲さんを招いたちゃんこパーティーを開催しているほか、ゴルフコンペも年に2回行っています。これらはビジネスとしてではなく、純粋に喜んでもらうための取り組みです。参加は希望者のみですが、こうしたイベントを通じて会員同士の新たなつながりが生まれ、仕事やプライベートに発展することもあります。こうした関係性が生まれる場をつくりたいという想いが、ジムを始めた理由の一つでもあります。
支えられて始まった経営の道
――創業の経緯を教えてください。
もともとは雇われのトレーナーとして働いていました。しかし、当時の環境に限界を感じていたとき、担当していた会員の方から「独立したほうがいい」と背中を押されました。本来は実家に戻る予定でしたが、その方の支援を受けて独立することになりました。自分から強く望んだというよりは、周囲の後押しによって経営の道に進んだ形です。現在は、会社としてスタートしてから14年が経ちます。
――独立にあたって不安はありませんでしたか。
特にありませんでした。資金についても、実家が自営業ということもあり、親の協力で銀行から借り入れを行うことができました。そのため、大きな不安を感じることなく、自然な流れで経営をスタートできた感覚です。
――トレーナーという仕事に就いたきっかけは何だったのでしょうか。
最初に入社した会社がスノーボードブランドを展開しており、その後、加圧トレーニングジムへ業態転換しました。その際、会社の方針でトレーナーになったのが始まりです。自分から志したわけではありませんが、結果的に自分に合っていた仕事だったと感じています。振り返ると、あの経験があったからこそ今につながっていると感じています。
――仕事のやりがいはどのような点にありますか。
例えば、3キロ痩せたいという方に対して、その目標を達成させることができると、はっきりとした成果として反応が返ってきます。その喜んでいる姿を見ることが、自分にとって大きなやりがいです。
直感を軸にした経営スタイル
――組織体制について教えてください。
現在は2人体制で運営しています。これまで人の入れ替わりはありましたが、3人体制になると現状のスペースでは手狭になってしまいます。そのため、今の規模では2人が最適だと感じています。大きく利益を追求するよりも、無理のない形で一店舗を着実に運営することを重視しています。
――経営において大切にしている考え方はありますか。
計画を立てて動くというよりも、感覚で判断するタイプです。「今だ」と思ったらすぐに行動し、「今ではない」と感じたときは無理に動きません。たとえば、偶然出会った人が過去にトレーナーをしていたと知った際に、直感的にこの人とはつながっておいたほうがよいと感じれば、そこから行動に移します。時間の流れの中で何かのきっかけが訪れたとき、それが自分を動かす原動力になっています。
京都への出店と新たな挑戦
――今後の展望について教えてください。
京都にはこれまでに170回ほど訪れています。独立を手助けしてくださった方が京都出身で、その方に連れて行っていただいたことがきっかけで、京都が好きになりました。また、春日野部屋の力士の専属トレーナーをしていた際には、大阪場所や名古屋場所の出張があり、そのたびに京都に宿泊していました。そうした中で現地での人脈も広がっていきました。
3年前からは京都の知り合いを対象に出張トレーニングを始め、「ジムをつくれないか」という声をいただくようになりました。現在は、京都で信頼できるトレーナーを探しているところです。東京に1店舗、京都に1店舗という形は一見珍しく映るかもしれませんが、人とは違う発想で人生を歩んでいきたいと考えています。
人生に残る存在でありたい
――お客様にどのような価値を届けたいと考えていますか。
人生のどこかで「寺田という人がいた」と思い出してもらえる存在でありたいです。例えば、「あの人のおかげで足に力が入るようになった」と、一つでも実感してもらえれば十分です。現在はパーキンソン病の方のトレーニングにも取り組んでおり、その関わりを通じて、その人の人生の中に自分の存在が残るような価値を提供したいと考えています。関わっているすべての方に、出会いや一緒に過ごした時間が、今後の人生の中で「ありがとう」と思ってもらえるような存在でありたいと考えています。
すべての経験を仕事に活かす
――仕事以外で取り組んでいることを教えてください。
19年前に総合格闘技に取り組んでおり、今年になって再び始めました。現在はパーソナルで指導を受けていますが、そこで得た経験がトレーニングの現場にも活かせると感じています。サーフィンやスノーボード、ゴルフなどにも取り組んでいます。
会員の中にはトライアスロンやダンスに取り組んでいる方もおり、自分がその競技を理解していなければ、十分なコミュニケーションが取れないと感じています。そのため、経験できることはできる限り自分でも挑戦したいと考えています。まず自分が経験し、相手への理解を深めることで、より良い提案につなげていきたいと思っています。
楽しさを軸に生きるという選択
――最後に読者へのメッセージをお願いします。
人生は一度きりなので、楽しくなければ意味がないと考えています。無理に計画を立てて進むよりも、自分が「楽しい」と感じることを大切にしてほしいです。人は楽しいと感じることで前向きになれますし、その積み重ねがより良い人生につながります。ノンストレスで、自分らしい生き方を大切にしてほしいです。